
このドキュメントは、ArcGIS Living Atlas of the World で提供されている Insulator Defect Detection 事前トレーニング済みモデルの使用方法について説明しています。 このモデルは、送電塔の碍子 (がいし) 連の高解像度方向付き画像から碍子を検出して不具合を分類するときに使用します。
送電塔では、電線から地面に漏電するのを防止するため、碍子が使われています。 このような送電線を流れる超高圧電流によって、碍子が損傷することがあります。 碍子間の空隙を電流が流れると、フラッシュオーバーによる破損が発生します。 高電圧電流が碍子本体を流れた場合や機械的負荷が発生した場合にも碍子は損傷します。 碍子のこのような不具合を識別することは、保守と修理の優先順位付けに役立ちます。 これにより、エネルギーの損失や送電インフラのさらなる損傷を防止することができます。
電力会社は送配電インフラの定期点検を実施しています。 このような点検を実施するため、ヘリコプター、ドローン、そして場合によっては地上から車や人によって送電設備の画像が収集されています。 収集された画像を手作業でチェックして、送電設備の不具合を識別しています。 点検用のフライトではたった 1 マイルで数百の画像が生成されます。 国全体を網羅する送電線は数千マイルにも及びます。 個々の画像を手作業でチェックするのは面倒な作業です。 このモデルを使用することで、碍子の不具合を検出するタスクを自動化することができます。
ライセンス要件
このワークフローを完了する場合のライセンス要件は次のとおりです。
- ArcGIS Desktop - ArcGIS Pro の ArcGIS Image Analyst エクステンション
- ArcGIS Enterprise—ArcGIS Image Server
- ArcGIS Online—ArcGIS Image for ArcGIS Online
モデルの詳細
このモデルには以下の特性があります。
- 入力 - 8 ビット、3 バンドの高解像度の方向付き画像。
- 出力 - 検出および分類された碍子を表すフィーチャ レイヤー。
- 計算 - このワークフローは計算負荷が高いため、計算能力が 6.0 以上の GPU が推奨されます。
- 適用できる地域 - このモデルは、米国で適切に機能します。
- アーキテクチャ - このモデルは、ArcGIS API for Python に実装された MMDetection-reppoints モデル アーキテクチャを使用します。
- 精度メトリクス - 下の表は、検証データセットでのモデルの平均精度をまとめたものです。
クラス 平均精度スコア 破損している碍子
0.92
フラッシュオーバーによる破損が発生した碍子
0.86
問題がない碍子
0.72
モデルへのアクセスとダウンロード
Insulator Defect Detection 事前トレーニング済みモデルを ArcGIS Living Atlas of the World からダウンロードします。 または、ArcGIS Pro からモデルに直接アクセスするか、ArcGIS Image for ArcGIS Online でモデルを使用します。
- ArcGIS Living Atlas of the World を参照します。
- 自分の ArcGIS Online アカウントの認証情報を使用してサイン インします。
- 「Insulator Defect Detection」を検索して、検索結果からアイテム ページを開きます。
- [ダウンロード] ボタンをクリックして、モデルをダウンロードします。
ダウンロードした .dlpk ファイルを ArcGIS Pro で直接使用することも、ArcGIS Enterprise にアップロードして使用することもできます。 さらに、必要に応じて事前トレーニング済みモデルを微調整できます。
リリース ノート
以下はリリースノートです。
日付 | 説明 |
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2023 年 7 月 |
Insulator Defect Detection の初回リリース |