ArcGIS Velocity の TAK クライアント フィードは、TAK (Team Awareness Kit) サーバーに接続して、CoT (Cursor on Target) イベントを受信します。 CoT は、2002 年に MITRE と米空軍の ESC (Electronic Systems Center) により開発された、ターゲット関連の情報を共有するためのメッセージング プロトコルです。 CoT は特定のイベントの時間制約のある場所または W3 (何を、いつ、どこで) に重点を置き、標準化された XML 形式を使用して、重要かつ実用的なイベントデータを交換します。
例
フィードの使用例を次に示します:
- あるアナリストは、iTAK および ATAK モバイル アプリを備えた人員からデータを取り込むように、TAK クライアント フィードを構成します。 このフィードはリアルタイム解析で使用され、人員が指定されたエリアの外に移動したとき、または特定の条件を満たしたときに Microsoft Teams メッセージを送信します。
- ある緊急対応機関は、TAK クライアント フィードを使用して、山火事の発生時に法執行機関、緊急医療サービス、複数の地方自治体から位置データを取り込みます。 TAK クライアント フィードに加えて、機関は他の IoT (Internet of Things) センサー フィードを統合して、共通状況図 (COP) を作成します。 COP は、組織と場所にまたがって関連する情報を表示したもので、状況認識に基づいて十分な情報を得てから正確な意思決定を下すことができます。
使用上の注意
フィードを操作する際には、以下の点に注意してください:
- CoT は、ターゲット、目標物、または他の重要なマーカーの位置に関するリアルタイムの情報を共有するためのメッセージング プロトコルです。 TAK クライアント フィードは、既存の TAK サーバーに接続して、CoT イベントを受信します。
- TAK クライアント フィードは、XML 形式の CoT イベントの取り込みのみをサポートしています。
- TAK クライアント フィードの構成時に、スキーマは、TAK サーバーが返すサンプル値から自動的に取得されます。 フィード スキーマは CoT 基本スキーマで構成されます。これには、緯度、経度、タイプ、UID などの属性が含まれます。
注意:
元の CoT 基本スキーマの緯度、経度、高度、円形誤差、線形誤差属性は、TAK クライアント フィードの point_lat、point_lon、point_hae、point_ce、point_le フィールドに自動的にマッピングされます。
- TAK サーバーは、CoT イベントの <detail> エレメントに格納されるカスタム データをサポートしています。 Velocity はフィード スキーマを作成する際、TAK サーバーが返す 30 秒間のサンプル メッセージを使用します。 サンプル メッセージのいずれかに <detail> エレメント内の値が含まれていると、これらの値は解析されてフィード スキーマに追加されます。 サンプル メッセージを手動で指定して、有効なスキーマを作成することもできます。
- [Cursor on Target タイプ] フィルター パラメーターでは、カンマ区切りの文字列を使用して、タイプに基づいて受信 CoT イベントをフィルターできます。 CoT タイプ属性は表現されるオブジェクトを定義します。 たとえば、タイプ値として a-f-G, a-f-A を選択すると、CoT イベントがフィルターされ、friendly ground および friendly air イベントのみが返されます。
- Velocity サブスクリプション レベルには、フィードによって取り込むことができるデータ量に制限があります。 フィードがライセンス レベルの取り込み制限を超えた場合、ログにメッセージが書き込まれ、制限に達したことをユーザーに通知する電子メールが送信されます。 データの取り込みが制限を超えた状態が 1 時間以上継続すると、フィードは停止されます。 必要に応じて、Esri の担当者、または Esri テクニカル サポートと連携して、ワークフローをサポートする Velocity ライセンス レベルを検討してください。 ライセンス レベルは以下のとおりです。
- Standard - 25 KB/秒 (約 100 イベント/秒) でデータを取り込んで処理します。
- Advanced - 250 KB/秒 (約 1,000 イベント/秒) でデータを取り込んで処理します。
- Dedicated - 2,500 KB/秒 (約 10,000 イベント/秒) でデータを取り込んで処理します。
パラメーター
フィードには、次のパラメーターがあります:
| パラメーター | 説明 | データ タイプ |
|---|---|---|
| TAK サーバーの URL | TAK サーバーとの接続の確立に必要な完全な URL または IP アドレス。 | String |
| ポート | TAK サーバーとの接続の開始に使用するポート番号。 | Integer |
| 認証タイプ | TAK サーバーにアクセスするために使用する認証の種類を指定します。 オプションには、[なし] および [証明書] があります。 [なし] を選択した場合、認証は実行されません。 | String |
| 証明書の URL | TAK サーバーにアクセスするために使用するクライアント証明書の場所の URL。 このパラメーターは、[認証タイプ] パラメーターが [証明書] に設定されている場合にのみ適用されます。 | String |
| パスワード | クライアント証明書のパスワード (設定されている場合)。 このパラメーターは、[認証タイプ] パラメーターが [証明書] に設定されている場合にのみ適用されます。 | パスワード |
| Cursor on Target タイプ (オプション) | タイプ値に基づいて、CoT イベントをフィルターします。 詳細については、上の「使用上の注意」セクションをご参照ください。 | String |
検討事項および制限事項
フィードを使用する際には、以下の点を検討してください:
- インターネット上で、外部から TAK サーバーにアクセスできる必要があります。
- [認証タイプ] パラメーターに [証明書] を使用している場合は、インターネット上で、外部からそのクライアント証明書にもアクセスできる必要があります。 このクライアント証明書は、パスワードを使用してセキュリティー保護できます。
- TAK クライアント フィードは、XML 形式の CoT イベントの取り込みのみをサポートしています。 このフィードを使用して、プロトコル バッファー (Protobuf) 形式で CoT イベントを取り込むことはできません。