さまざまな種類のドローン、カメラ、フライト計画アプリケーションを利用できる今、正しい鉛直単位と鉛直参照を設定することは Drone2Map プロダクトと ArcGIS プラットフォームの他のレイヤーを揃えるうえで重要です。 以下の情報をもとに、鉛直データと座標系、ジオイド面と楕円体面の違い、Drone2Map プロジェクト向けの正しい画像の選択方法と鉛直参照設定のコントロール方法についての理解を深めてください。
用語
以下の用語を理解しておくと、正しい鉛直参照の設定を選択するうえで役立ちます。
鉛直座標系
鉛直座標系は、高さの値の基準を定義します。 水平座標系と同様に、鉛直座標系は、データが他のデータに対して空間的に正しく配置されることを保証します。
鉛直測地基準系
鉛直座標系は、楕円体の面 (回転楕円体) またはオルソメトリック (ジオイド/重力依存) の 2 種類の表面を基準とすることができます。 ほとんどの鉛直座標系は、重力に関連しています。 どの鉛直座標系も、さまざまな水平座標系と併用できます。
ジオイド
ジオイドは、地球の重力場の等位面または水準面です。 海面が潮や大気による影響を受けず、重力のみの作用によって安定しており、海洋間がトンネルで結ばれ、海水が海洋間を自由に移動する様子を想像してください。 その結果として生じる表面がジオイドです。 ジオイドは平均海面 (MSL) にほぼ等しく、一般にローカルな平均海面から 1 メートルほど差があります。 ジオイドの形状は複雑です。 ジオイドは地球の組成による影響を受けるため、傾斜の途切れる場所があるかもしれません。 つまり、楕円体のような数学的なサーフェスに対して、ジオイドは解析的なサーフェスです。 一般に、地球を中心とする水平測地基準との差は 100 メートル未満です。
上に示した図では、緑色の線がジオイド面を表しています。 この面はおおよそ地形に沿って湾曲しています。 破線は回転楕円体の面を表しています。 「h」は、回転楕円体、または楕円体 (HAE) からの高さです。 この場合の高さは負の値です。 ジオイドの起伏「N」は、回転楕円体とジオイド面の間の距離です。 海抜高度「H」は、次の式によって回転楕円体の高さと関連付けられます。
h = H + N
鉛直参照の入力
鉛直単位と鉛直参照の設定は、Drone2Map の重要なプロパティです。 x,y 座標参照に加え、画像位置とコントロール ポイントの位置には、それぞれ鉛直単位と鉛直参照の設定があります。 x,y 座標系、鉛直単位、鉛直参照の組み合わせが、Drone2Map の出力プロダクトの座標を決定します。
鉛直単位
鉛直 (Z) 単位は、ほとんどの場合、指定された水平の x,y 座標系単位と一致します。 ただし、水平座標系が地理座標系である場合は除きます。 その場合は、鉛直単位はメートルになります。
Drone2Map では、次の鉛直単位を使用できます。
- メートル
- フィート
- U.S. survey フィート
鉛直参照
鉛直参照は、標高値が基準にする鉛直モデルを示します。 [楕円体高] を選択すると、適切な楕円体の上の高さを指定できます。 このオプションは、Geoid12B などの他のジオイド モデルをシミュレートしたり、Drone2Map の出力モデルの標高を上下したりするために使用されます。 なお、鉛直参照の選択肢は、画像とコントロール ポイントとでは異なる場合があります。 鉛直参照には次のオプションがあります。
- EGM 84 - EGM84 ジオイドに基づく高度用。
- EGM 96 - EGM96 ジオイドに基づく高度用。
- EGM 2008 - EGM2008 ジオイドに基づく高度用。
- 楕円体 - x,y 座標系で指定された楕円体に基づく高度用。
- 楕円体高 - x,y 座標系で指定された楕円体に基づく高度用。適切な楕円体の上の高さを指定できます。
EGM 84、EGM 96、EGM 2008 はオルソメトリック高さモデルです。 画像またはコントロール ポイントの標高値が EMG84、EGM96、EGM2008 ジオイドのいずれかの高さを表す場合に使用します。
高さの値が、画像またはコントロール ポイントで指定された水平の x,y 座標系で定義された楕円体を基準にしている場合に、楕円体に鉛直参照を設定します。 ジオイド高と楕円体高の関係については、ジオイドのセクションをご参照ください。
コントロールがある場合、Drone2Map プロダクトは地上コントロールの鉛直単位と鉛直参照モデルを使用します。 コントロールがない場合、出力プロダクトは画像の鉛直単位と鉛直参照モデルを使用して作成されます。
注意:
コントロールがなく、画像の x,y 座標系が WGS84 である場合、Drone2Map の出力プロダクトは UTM (x,y 座標系)、メートル (鉛直単位)、画像に指定した鉛直参照を使用して作成されます。
ArcGIS Online と ArcGIS Pro はいずれも EGM96 ジオイド高モデルを使用します。 3D メッシュをシーン レイヤーとして公開する予定がある場合は、メートルの鉛直単位を使用し、3 つの EGM ジオイド高モデルのいずれかを参照する 3D メッシュ プロダクトを使用することをお勧めします。 または、楕円体の上の高さの値を指定することで、EGM モデルを密接に近似する Geoid12B などのジオイド面をモデル化することもできます。 ここでの目標は、EGM96 面に沈んでいるか、浮かんでいるように見える 3D メッシュではなく、地上に適切に配置される 3D メッシュを作成することです。
鉛直参照の選択
鉛直参照の選択肢は、画像とコントロールとでは異なることがあります。 画像とコントロール ポイントの鉛直参照を選択する際は、次のガイドラインを参考にしてください。
画像
画像のデフォルトの鉛直参照は EGM96 です。 ほとんどの画像の高さは EGM96 ジオイドを基準にし、画像の exif ヘッダーに埋め込まれるか、個別のファイルに保存されます。 大半の GPS レシーバーは、全球測位衛星が提供する WGS84 の楕円体の高さを EGM96 の高さに変換します。不確かな場合は、EGM96 のデフォルトを使用してください。
画像の高さが地表を基準にしているか、リアルタイム キネマティック (RTK) システムで飛行したプロジェクトの場合は、[楕円体高] を選択します。
注意:
画像の高度が地表を基準としている場合、ミッション プランニング ソフトウェアの設定を確認して、EGM ジオイドまたは楕円体を参照するオプションがあるかどうかを確認します。 地表を基準とした高度を使用することはお勧めできません。
画像の鉛直参照は、[座標系] タブの [オプション] ダイアログ ボックスで設定します。
コントロール
コントロールのデフォルトの鉛直参照は EGM96 です。 コントロール ポイントが EGM ジオイド高モデルを参照しない場合は、楕円体の高さを使用します。 コントロール ポイントの高さを増減させてジオイドをモデル化するには、プロジェクト位置で楕円体の高さと目的のジオイド間に正または負のオフセットを入力します。 高さ単位は常に水平 (x,y) 座標系の単位になるので、高さの値を適宜スケーリングする必要があります。
マップからコントロールを追加する場合、コントロール ポイントのデフォルトは EGM96 になります。 CSV ファイルまたはテキスト ファイル、ファイル ジオデータベース、またはホスト フィーチャ レイヤーからコントロールをインポートする際、コントロールの鉛直参照を設定できます。