リアルタイムのビッグ データ解析で使用できます。
[モーションの統計情報を計算] ツール は、[Track ID] および [開始時間] オプションに指定されたキー フィールドに基づいてモーションの統計情報および観測データの測定値を計算します。 このツールは、[データへの情報付加] ツール フォルダー内にあります。 計算には、[開始時間] オプションの時間値およびポイントベースのイベントのジオメトリに基づく距離、タイムスパン、高さ、速度、加速度、方向、傾斜角、アイドリングが含まれます。
例
ある都市が、除雪作業を監視しており、市職員は車両の移動をより良く理解しようとしています。 [モーションの統計情報を計算] ツールを使用して、アイドル状態の場所とアイドリングに費やされた時間、平均速度と最大速度、観測データ間の平均移動距離、およびその他の統計情報を決定できます。
使用上の注意
[モーションの統計情報を計算] ツールを操作する際には、以下の点に注意してください。
- [モーションの統計情報を計算] ツールには、[トラッキングごとに直近の <観測データの数> 個の観測データを使用してモーションの統計情報を計算する] パラメーターの値を指定する、状態ストアの深さの値があります。 この値により、ツールが状態ストア内のトラッキングごとにキャッシュする観測データの数が決まります。 トラッキングの新しい観測データが受信されるため、同じトラッキングの古い観測データは削除されます。 このツールは、状態ストア内の観測データを使用してモーションの統計情報を計算します。 たとえば、状態ストアの深さがトラッキングごとに 5 個の観測データに設定されている場合、現在の観測データと以前の 4 個の観測データが最小加速度、最大速度、観測データごとの平均移動距離などの統計情報の計算に使用されます。
- 加速度値を計算するにはトラッキングごとに 3 観測データが必要であるため、このパラメーターは 3 以上の正の整数値に設定する必要があります。
- モーションの統計情報すべてが、状態ストア内のすべての観測データを使用して計算されるわけではありません。 たとえば、アイドル状態の統計情報は、現在の観測データと以前の観測データのみを使用して計算されます。
- このツールは、入力されたすべての観測データを出力します。 その結果、計算に使用する前の観測データが状態ストアに存在しないため、モーションの統計情報では、トラッキングごとの最初の観測データは NULL 値を含みます。 状態ストアの深さの値を満たすのに十分な観測データがトラッキングに存在するようになるまで、状態ストアの使用可能な観測データを使用してモーションの統計情報を計算します。 状態ストアの深さの値を満たすのに十分な観測データが存在するようになったら、指定された観測データの数を使用してモーションの統計情報を計算します。
- リアルタイム解析では、[モーションの統計情報を計算] ツールは、観測データを保持する最大時間の値を使用して、[トラッキングの観測データを保持する最大時間] パラメーターの値を設定します。 以前の観測データは、その [開始時間] の値とこのパラメーターで指定された値の合計が、現在の観測データの [開始時間] の値よりも小さい場合、状態ストアから削除されます。
- たとえば、値に 1 時間を指定すると、[開始時間] の値が現在の観測データの [開始時間] の値から 1 時間以内でない、以前のすべての観測データが状態ストアから削除されます。 状態ストアの深さが 4 に設定され、現在の観測データの [開始時間] の値が 2025 年 12 月 10 日午前 8 時、状態ストア内の以前の観測データの [開始時間] の値が 2025 年 12 月 10 日午前 6 時 59 分、2025 年 12 月 10 日午前 7 時、2025 年 12 月 10 日午前 7 時 30 分の場合、[開始時間] の値が 2025 年 12 月 10 日午前 6 時 59 分の観測データは状態ストアから削除されます。 その他の観測データは、[開始時間] の値が現在の観測データの開始時間から 1 時間以内であるため保持されます。
- このパラメーターにより状態ストアから観測データが削除され、残ったトラッキングあたりの観測データの数が 2 個未満の場合、現在の観測データについて統計情報を計算できません。 加速度に関するモーションの統計情報を計算するには、トラッキングごとに 3 個の観測データが必要です。
- このツールは、観測データがアイドル状態かどうかを判断するために、距離と時間に関する 2 つの値 (アイドル距離許容値とアイドル タイムスパン許容値) を使用します。 ArcGIS Velocity では、[観測データは、最後の観測から <アイドル距離許容値 (距離の単位)> 以下の距離しか移動していない場合、および経過した時間が <アイドル時間許容値 (時間の単位)> より大きい場合、アイドル状態になります] と表示されます。
- 現在の観測データと以前の観測データ間の距離がアイドル距離許容値以下で、かつ現在の観測データと以前の観測データ間の所要時間がアイドル時間許容値以上である場合に、アイドル状態は [True] に設定されます。 条件の 1 つまたは両方が満たされない場合、アイドル状態は [False] に設定されます。
- たとえば、アイドル距離許容値が 50 メートルに設定されており、アイドル時間許容値が 5 秒に設定されている場合、現在の観測データと以前の観測データの間の距離が 45 メートルで、現在および以前の観測データの [開始時間] の差が 6 秒であれば、その観測データはアイドル状態と見なされます。 現在の観測データと以前の観測データ間の時間が 5 秒の場合、アイドル距離許容値の条件のみが満たされるため、フィーチャはアイドル状態とは見なされません。
- 出力のモーションの統計情報の計測単位は、アイドル距離許容値およびアイドル タイムスパン許容値で指定した計測単位によって決まります。 たとえば、750 メートルのアイドル距離許容値および 10 分のアイドル タイムスパン許容値を指定した場合、出力距離フィールドはメートル単位になり、出力タイムスパン フィールドは分単位になり、出力速度フィールドには、メートル/分の計測単位の値が含まれます。
- [方法] パラメーターは、距離およびその他の空間計算の実行方法を定義します。
- [平面] - ユークリッド計算が生成されます。 ユークリッド距離は、2 次元のデカルト平面で計測されます。そこでは直線が、平面 (デカルト平面) 上の 2 点間で計算されます。 ユークリッド距離の方が一般的な距離計算であり、投影座標系内の比較的狭い領域 (1 つの UTM ゾーンなど) に集中するフィーチャの周辺の距離を解析する場合に適しています。 ユークリッド距離は、平面距離と呼ばれます。
- [測地線] - 測地線計算が生成されます。 測地線距離では、地球の実際の形状 (楕円体、すなわち、より正確にはジオイド) が考慮されます。 平面 (デカルト平面) 上の 2 点間ではなく、曲面 (ジオイド) 上の 2 点間の距離が計算されます。 以下の状況の場合、測地線計算の使用を検討してください。
- 入力フィーチャが、複数の UTM ゾーン、広い領域、または地球全体をカバーして分散している場合。
- 入力フィーチャの空間参照、つまり、地図投影法によって、面積などの他の特性を保護するために距離が歪んでしまう場合。
- リアルタイム解析では、このツールはステートフルな形式で動作し、シーケンシャルな観測データを互いに比較してモーション統計情報を計算できます。たとえば、現在の位置、速度、高度などの統計情報が、以前の観測データとどのように異なるかを調べることができます。
- リアルタイム解析では、[モーションの統計情報を計算] ツールは、Track ID ごとの現在の観測データの状態ストアを維持します。 状態ストアの深さパラメーターにより、トラッキングごとの状態ストアのサイズが決まります。 新しい観測データを受信すると、同じ Track ID の現在の観測データと比較され (存在する場合)、モーションの属性が計算されます。 新しい観測データのタイムスタンプが、状態ストア内の現在の観測データよりも新しい場合、現在の観測データは置き換えられます。 同じ Track ID の現在の観測データと同じタイムスタンプが付与されている場合、ツールは 2 つの観測データを区別できません。 これにより、ツールが状態ストア内の現在の観測データが新しい観測データを置き換えず、新しい観測データが状態ストアに追加されないため、この Track ID に対する今後の観測データは、新しいタイムスタンプが付与された新しい観測データを受信するまで、状態ストアに残っている現在の観測データと比較されます。 この事象が発生すると、ツールで警告がログに記録されます。
- ビッグ データ解析では、[Track ID] オプションで指定されたフィールドに加えてトラッキングを識別するために、1 つ以上のフィールドを指定できます。 トラッキングは、1 つ以上のトラッキング フィールドの一意の組み合わせで表されます。
パラメーター
以下は、[モーションの統計情報を計算] ツールの必須パラメーターです。
パラメーター | 説明 | データ タイプ |
---|---|---|
入力レイヤー | モーションの統計情報が計算されるポイント観測数。 このデータセットには、[トラッキング ID] および [開始時間] オプションに対して定義されたキー フィールドが必要です。 | フィーチャ |
トラッキングごとに直近の <観測データの数> 個の観測データを使用してモーションの統計情報を計算する (状態ストアの深さ) | 現在の観測データを含む、状態ストア内のトラッキングごとにキャッシュする観測データの数。 モーションの統計情報は、状態ストア内の観測データに基づいて計算されます。 たとえば、状態ストアの深さの値を 3 に設定した場合、観測データが処理されるたびに、現在の観測データおよび以前の 2 つの観測データの速度に基づいて、平均速度などのモーションの統計情報が計算されます。 現在の観測データと以前の観測データのみを使用するアイドル状態など、モーションの統計情報すべてが、状態ストア内のすべての観測データを使用して計算されるわけではありません。 注意:計算に使用する前の観測データが状態ストアに存在しないため、モーションの統計情報では、トラッキングごとの最初の観測データは NULL 値を含みます。 状態ストアの深さの値を満たすのに十分な観測データがトラッキングに存在するようになるまで、状態ストアの使用可能なすべての観測データを使用してモーションの統計情報を計算します。 状態ストアの深さの値を満たすのに十分な観測データが存在するようになったら、指定された観測データの数を使用してモーションの統計情報を計算します。 たとえば、状態ストアの深さの値を 3 に設定した場合、各トラッキングの最初の観測データは NULL のモーションの統計情報を含みます ([Track ID] オプションに固有のキー フィールドに基づきます)。 2 番目の観測データには、現在および以前の観測データに基づいて計算されたモーションの統計情報が含まれます。 以下のすべての観測データについて、モーションの統計情報は利用可能な観測データ (トラッキングごとに 3 つの観測データ) から計算されます。 | Integer |
トラッキングの観測データを保持する最大時間 (観測データを保持する最大時間) (リアル タイム解析のみ) | 以前の観測データは、その [開始時間] の値とこのパラメーターで指定された値の合計が、現在の観測データの [開始時間] の値よりも小さい場合、状態ストアから削除されます。 たとえば、値に 1 時間を指定すると、開始時間が現在の観測データの開始時間から 1 時間以内でないすべての観測データが状態ストアから削除されます。 注意:このパラメーターにより状態ストアから観測データが削除され、残ったトラッキングあたりの観測データの数が 2 個未満の場合、現在の観測データについて統計情報を計算できません。 加速度の統計情報を計算するには、トラッキングごとに少なくとも 3 個の観測データが必要です。 | String |
観測データは、最後の観測から経過した時間が <時間の単位> より大きい場合、アイドル状態になります (アイドル タイムスパン許容値) | アイドル状態の決定に使用されるアイドル タイムスパン許容値。 現在の観測データと以前の観測データ間の距離がアイドル距離許容値以下で、かつ現在の観測データと以前の観測データ間の所要時間がアイドル時間許容値以上である場合に、アイドル状態は [True] に設定されます。 これらの条件の 1 つまたは両方が満たされない場合、アイドリングは [False] に設定されます。 | String |
観測データは、最後の観測から <距離の単位> 以下の距離しか移動していない場合、アイドル状態になります (アイドル距離許容値) | アイドリングの決定に使用されるアイドル距離許容値。 現在の観測データと以前の観測データ間の距離がアイドル距離許容値以下で、かつ現在の観測データと以前の観測データ間の所要時間がアイドル時間許容値以上である場合に、アイドル状態は [True] に設定されます。 これらの条件の 1 つまたは両方が満たされない場合、アイドリングは [False] に設定されます。 | String |
方法 | 距離計算方法を [測地線] または [平面] (ユークリッド) のどちらにするかを指定します。 注意:[平面] を選択した場合、入力ポイントを投影変換する必要があります。 距離を計算する前に、[投影変換] ツールを使用して入力フィーチャを投影変換できます。 入力ポイントがすでに投影されている場合、このツールを使用する必要はありません。 | String 許容値: 平面 | 測地線 |
トラッキング ID フィールド (ビッグ データ解析のみ) | 処理されるフィーチャを一意に識別するフィールド。 Track ID フィールドが指定されている場合、[Track ID] 値は [入力レイヤー] 値に自動的に設定されます。 | フィールド |
出力レイヤー
出力レイヤーには、フィーチャごとに元の属性に追加して以下に示す属性を含みます。 一部の統計は以前と現在の観測データのみを使用して計算されるのに対し、他の統計は状態ストア内のすべての観測データを使用して計算されます。
注意:
出力のモーションの統計情報の計測単位は、アイドル距離許容値およびアイドル タイムスパン許容値パラメーター値で指定した計測単位によって決まります。 たとえば、750 メートルのアイドル距離許容値および 10 分のアイドル タイムスパン許容値を指定した場合、出力距離フィールドはメートル単位になり、出力タイムスパン フィールドは分単位になり、出力速度フィールドには、メートル/分の計測単位の値が含まれます。
フィールド名 | 説明 | 計算方法 | フィールド タイプ |
---|---|---|---|
Distance | 前の観測データからの移動距離。 | 現在と以前の観測データ | Float64 |
TotalDistance | 状態ストア内の最も古い観測データから現在の観測データまでの合計移動距離。 | 状態ストアのすべての観測データ | Float64 |
MinDistance | 観測データ間の最小移動距離。 | 状態ストアのすべての観測データ | Float64 |
MaxDistance | 観測データ間の最大移動距離。 | 状態ストアのすべての観測データ | Float64 |
AvgDistance | 観測データ間の平均移動距離。 | 状態ストアのすべての観測データ | Float64 |
Speed | 前の観測データから現在までの速度。 | 現在と以前の観測データ | Float64 |
TotalSpeed | 累積速度。 | 状態ストアのすべての観測データ | Float64 |
MinSpeed | 最低速度。 | 状態ストアのすべての観測データ | Float64 |
MaxSpeed | 最高速度。 | 状態ストアのすべての観測データ | Float64 |
AvgSpeed | 平均速度。 | 状態ストアのすべての観測データ | Float64 |
TimeSpan | 前の観測データからの経過時間。 | 現在と以前の観測データ | Float64 |
TotalTimeSpan | 状態ストア内の最も古い観測データから現在の観測データまで経過した合計時間。 | 状態ストアのすべての観測データ | Float64 |
MinTimeSpan | 観測データ間の最小経過時間。 | 状態ストアのすべての観測データ | Float64 |
MaxTimeSpan | 観測データ間の最大経過時間。 | 状態ストアのすべての観測データ | Float64 |
AvgTimeSpan | 観測データ間の平均タイムスパン。 | 状態ストアのすべての観測データ | Float64 |
Height | 観測データの現在の高さ。 | 現在の観測データ | Float64 |
HeightChange | 前の観測データからの高さの変化。 | 現在と以前の観測データ | Float64 |
TotalHeightChange | 状態ストア内の最も古い観測データから現在の観測データまでの高さの変化の合計。 注意:この値は負になることがあります。 | 状態ストアのすべての観測データ | Float64 |
MinHeight | 観測された最小の高さ。 | 状態ストアのすべての観測データ | Float64 |
MaxHeight | 観測された最大の高さ。 | 状態ストアのすべての観測データ | Float64 |
AvgHeight | 観測された平均の高さ。 | 状態ストアのすべての観測データ | Float64 |
Slope | 前の観測データから現在までの移動の傾斜。 | 現在と以前の観測データ | |
MinSlope | 最小傾斜角。 | 状態ストアのすべての観測データ | Float64 |
MaxSlope | 最大傾斜角。 | 状態ストアのすべての観測データ | Float64 |
AvgSlope | 平均傾斜角。 注意:平均傾斜角は、状態ストア内の最も古い観測以降に観測された傾斜角に基づいて計算されます。 状態ストアの深さが 3 である場合、平均傾斜角は、観測データ 1 から観測データ 2 までの傾斜角および観測データ 2 から観測データ 3 までの傾斜角の平均になります。 | 状態ストアのすべての観測データ | Float64 |
Acceleration | 前の観測データからの加速度。 | 現在および前の観測データ。速度は前の観測データに対して計算されている必要があります | Float64 |
TotalAcceleration | 状態ストア内の最も古い観測データから現在の観測データまでの合計加速度。 | 状態ストアのすべての観測データ | Float64 |
MinAcceleration | 最小加速度。 | 状態ストアのすべての観測データ | Float64 |
MaxAcceleration | 最大加速度。 | 状態ストアのすべての観測データ | Float64 |
AvgAcceleration | 平均加速度。 注意:平均加速度は、状態ストア内の最も古い観測以降に観測された加速度に基づいて計算されます。 状態ストアの深さが 3 である場合、平均加速度は、観測データ 1 から観測データ 2 までの加速度および観測データ 2 から観測データ 3 までの加速度の平均になります。 | 状態ストアのすべての観測データ | Float64 |
Idling | 現在の観測データと以前の観測データ間の、距離およびタイムスパンに基づいて、トラッキングがアイドルかどうかを指定します。 | 現在と以前の観測データ | Boolean |
TotalIdleTime | 状態ストア内の最も古い観測データ以降、アイドリングが検出された時間の累積。 | 状態ストアのすべての観測データ | Float64 |
PercentageIdleTime | 状態ストア内に保存されている最も古い観測データ以降、アイドリングが検出された時間のパーセンテージ。 | 状態ストアのすべての観測データ | Float64 |
Heading | 測地方位。 これは移動方向の平均 (北から時計回りに計測された角度である測地方位) です。 | 現在と以前の観測データ | Float64 |