高精度な受信機の使用

高精度な GNSS 受信機は事前に構成しなくても任意のプロジェクトで使用できます。ArcGIS QuickCapture で高精度の受信機を使用するには、次のワークフローに従います。

受信機の選択

QuickCapture は、デバイスに組み込まれた GPS を使用したり、外部の GPS 受信機を追加して高精度なデータを取得することができます。 多くの GPS 受信機を入手できますが、すべての機種を QuickCapture で直接使用できるわけではありません。 GPS 受信機を QuickCapture で使用するには、受信機が NMEA センテンスの出力をサポートしている必要があります。

位置の精度を改善するために、差分補正をサポートする GPS 受信機の使用を検討してください。 iOS デバイスを使用している場合は、iOS でサポートされている GPS 受信機の 1 つを使用する必要もあります。 Esri は、Android または Windows でサポートされている GPS 受信機のリストを公開していませんが、Android および Windows でテストを行った受信機のリストを提供しています。

ヒント:

ほとんどの高精度の GPS 受信機は QuickCapture が使用する NMEA センテンスをサポートしていますが、QuickCapture に接続する前に、受信機がこれらの NMEA センテンスをサポートしているかどうかを受信機のユーザー マニュアルで確認することをお勧めします。

NMEA のサポート

NMEA 0183QuickCapture が GPS 受信機との通信に使用するデータ仕様規格です。 NMEA メッセージには、センテンスと呼ばれる複数の行が含まれています。 QuickCapture は、NMEA メッセージの特定のセンテンスを読み取ることで、緯度、経度、高さ、補正タイプなどの GPS 情報を取得します。

QuickCaptureNMEA 4.00 および 4.10 をサポートしています。 次の NMEA センテンスを読み取ることができます。

  • GGA: 時間、位置、補正関連データ
  • GSA: GNSS DOP およびアクティブな衛星
  • GSV: GNSS 衛星の位置や信号強度
  • RMC: 時刻、緯度・経度などの基本的な GNSS データ
  • VTG: 進行方向と対地速度
  • GST: GNSS 疑似誤差統計

QuickCapture は、特定の座標の精度情報を含む GST センテンスを受信する場合、それらを使用して精度を判定します。 デフォルトでは、水平精度と鉛直精度の数値は、二乗平均平方根 (RMS) で指定されます。 RMS を使用した信頼度は、水平精度は 63 ~ 68%、鉛直精度は 68% です。

推定精度

QuickCapture が GPS 受信機から GST センテンスを受信せず、GSA センテンスを受信した場合、QuickCapture は水平精度低下率 (HDOP) と垂直精度低下率 (VDOP) を使用して精度を推定します。 推定水平精度は HDOP に 4.7 を乗算して算出され、推定垂直精度は VDOP に 4.7 を乗算して算出されます。

差分補正

位置の精度を改善するために、差分補正をサポートする GPS 受信機の使用を検討してください。 差分補正テクノロジは、基準局 (基地局) を利用して精度を大幅に改善します。 基準局は、既知の位置に設置されている別の GPS 受信機です。 基準局は、衛星信号に基づいて自分の位置を推定し、この推定位置を既知の位置と比較します。 これらの位置の差異が、GPS 受信機 (ローバー) が計算した推定 GPS 位置に適用され、より正確な位置が取得されます。 差分補正を行うには、受信機が基準局から一定の距離内にある必要があります。 差分補正は、現場でリアルタイムに適用したり、オフィスでのデータの後処理時に適用したりできます。

差分補正は、パブリックまたは商用のソースによって指定できます。 最も広く使用されパブリックにアクセスできるリアルタイムの補正ソースの 1 つは、SBAS (衛星型衛星航法補強システム) です。米国では一般に WAAS (Wide Area Augmentation System) とも呼ばれています。 SBAS は自由に使用できますが、GPS 受信機が SBAS をサポートしている必要があります。 商用の補正サービスを使用するには通常、サブスクリプションが必要で、これらの補正信号を受信できる特定タイプの GPS 受信機を購入する必要がある場合もあります。 詳細については、「ディファレンシャル GPS について」をご参照ください。

iOS でサポートされている GPS 受信機

iOS デバイスに Bluetooth 受信機を直接接続するには、受信機が NMEA センテンスの出力をサポートするとともに、MFi プログラムの一部である必要があります。 サポートされている iOS デバイス上で QuickCapture とともに直接使用できる受信機を次に示します。

ヒント:

GPS 受信機が使用するファームウェアのバージョンを判定するには、受信機をデバイスと接続し、デバイスの [一般] > [情報] 設定を開いて、接続した受信機の名前をタップします。

  • Bad Elf FlexBad Elf GNSS SurveyorGPS Pro+GPS ProGPS for Lightning Connector

    GNSS SurveyorGPS Pro+ には、ファームウェアのバージョン 2.1.40 以降が必要です。 GPS Pro には、ファームウェアのバージョン 2.0.90 以降が必要です。 GPS for Lightning Connector には、ファームウェアのバージョン 1.0.24 以降が必要です。

  • Eos Arrow LiteArrow 100Arrow 200、および Arrow Gold - ファームウェアのバージョン 2.0.251 以降
  • Garmin GLO および GLO 2

    GLO はファームウェアのバージョン 3.00 以降、GLO 2 はファームウェアのバージョン 2.1 以降が必要です。

    Garmin GLO によって提供される精度値は、位置情報と同じ割合で更新されません。 この受信機の精度は PDOP および HDOP の値から計算され、これらは受信機の起動時に 1 回のみ出力されます。

  • Geneq SxBlue II および SxBlue III - ファームウェアのバージョン 2.0.251 以降。
  • Juniper Systems Geode
  • Leica Zeno GG04 plus - ファームウェアのバージョン 1.0.20 以降。
  • Trimble R1R2R10 Model 2R12R12iCatalyst DA2

    受信機を構成するには、Trimble Mobile Manager を使用する必要があります。 Trimble GNSS Status アプリを使用しないでください。

Android および Windows でテスト済みの GPS 受信機

QuickCapture は、NMEA 0183 センテンスを出力する、Android または Windows でサポートされている受信機で動作します。 Esri は、いずれのデバイスも保証はしていませんが、次のリストは、使用されたことのあるデバイスのリストです。

注意:

これには、QuickCapture で動作するすべてのデバイスが網羅されているわけではありません。

  • Bad Elf FlexBad Elf GNSS SurveyorGPS Pro+GPS Pro
  • Eos Arrow Lite、Arrow 100、Arrow 200、および Arrow Gold
  • Garmin GLO¹、Garmin GLO

    Garmin GLO によって提供される精度値は、位置情報と同じ割合で更新されません。 この受信機の精度は PDOP および HDOP の値から計算され、これらは受信機の起動時に 1 回のみ出力されます。

  • Geneq SxBlue II および SxBlue III²
  • Juniper Systems Geode
  • Leica GG03¹、GG04、および Zeno 20¹
  • Trimble R1R2R8s¹、R10¹、R12¹、R12i¹ および Catalyst DA2¹

    Windows では、Trimble R1 または R2 で補正された位置を受信するには、Trimble の GNSS Status が必要です。 Android では、受信機を構成するには、Trimble Mobile Manager が必要です。

    WindowsTrimble R1 受信機の場合、QuickCapture は RTX によるディファレンシャル GPS 補正にアクセスできません。 ただし、QuickCapture は自律 GPS 補正による位置や、NTRIP を介して SBAS およびローカル基地局で補正された位置を識別できます。

    WindowsTrimble R2 受信機の場合、QuickCapture は RTX による位置や NTRIP を介してローカル基地局で補正された位置にはアクセスできません。 QuickCapture は、自律 GPS 補正および SBAS 補正された位置にのみアクセスできます。

    Trimble R10 と Samsung Galaxy S5 および S7 デバイスとのペアリングで問題が発生しています。

¹Android のみ

²Windows のみ

受信機の構成

NMEA センテンスの出力をサポートするすべての受信機が、すぐに使用できるように構成されているわけではありません。 NMEA センテンスを出力するように構成する手順については、デバイスのユーザー マニュアルをご参照ください。

受信機とデバイスの接続

QuickCapture は、デバイスに統合されている受信機と、Bluetooth で接続されている外部の受信機をサポートしています。 受信機がデバイスに統合されている場合は、次の「」セクションに進みます。 外部の受信機を使用している場合は、以下の手順に従いデバイスに接続します。

  1. GPS 受信機が QuickCapture と互換性があることを確認します。

    受信機は、NMEA センテンスの出力をサポートし、出力するように構成されている必要があります。 「受信機の選択」および「受信機の構成」をご参照ください。 これらの手順は、受信機を QuickCapture に接続する前に完了しておく必要があります。

  2. 受信機の電源を入れ、デバイスまたはコンピューターの近くに置きます。

    Bluetooth 設定に移動し、利用可能なデバイスを表示します。 リストに受信機の名前が表示されるまで待ちます。

    ヒント:

    Bluetooth 受信機がリストに表示されない場合は、別のデバイスに接続されていないことを確認します。

    • iOS デバイスから受信機を切断するには、デバイスの Bluetooth 設定で、受信機の横にある情報ボタンをタップし、[このデバイスの登録を解除] をタップして、[デバイスの登録を解除] をタップします。
    • Android デバイスから受信機の接続を解除するには、デバイスの Bluetooth 設定で、受信機の横にある設定ボタンをタップして、[Unpair] または [Forget] をタップします。
    • Windows デバイスから受信機の接続を解除するには、デバイスの Bluetooth 設定で、受信機の名前をタップして、[デバイスの削除] をタップし、[はい] をタップします。
  3. デバイスとペアリングする受信機の名前をタップします。

受信機を使用するように QuickCapture を構成

QuickCapture で使用するように複数の受信機を構成できます。受信機ごとに、名前、アラート、アンテナ高、および高度のオプションをカスタマイズできます。これらの設定は、後で使用できるようにデバイスに保存されます。

  1. QuickCapture を開きます。
  2. メイン メニューの [設定] を選択します。
  3. 設定メニューの [位置プロバイダー] を選択します。
  4. [プロバイダーの追加] を選択します。
  5. 外部受信機のリストから、接続する受信機を選択します。
    • デフォルトの位置プロバイダー タイプは、[Bluetooth] タイプの [外部受信機] です。[外部受信機] リストには、デバイスに接続されているが、まだ QuickCapture に追加されていないすべての受信機が表示されます。デスクトップ デバイス上では、USB 接続のデバイスを参照することもできます。リストされるデバイスのタイプを変更するには、デバイスの検出を無効化し、検索する外部受信機のタイプをオン/オフにしてから、検出を再度有効化します。
    • ネットワーク上で使用可能な受信機に接続することもできます。[ネットワーク接続] を選択し、ホスト名とポートを入力してから、[追加] を選択します。
    • デバイス上に NMEA ログ ファイルがある場合、このファイルに接続して記録された NMEA メッセージを再生できます。[ファイルから追加] をクリックして、ログ ファイルを選択します。[追加] を選択します。

受信機を選択すると、その受信機が接続され、[設定] ページが表示されます。このページで受信機の設定を確認または変更するか、[戻る] 矢印を選択して [位置] ページに戻り、このページで他の構成済みプロバイダーを参照したり、新しいプロバイダーを追加したり、QuickCapture 設定を閉じたりすることができます。

再生用に NMEA ログ ファイルを記録

現場に移動したら、NMEA ログを保存して、オフィスに戻ってからこれを再生できます。 これは、屋内で同僚にデモを行ったり、技術サポート担当者と協力して予期しない GNSS の動作の解決を図るのに役立ちます。

QuickCaptureNMEA ファイルを保存するには、はじめに外部受信機に接続していることを確認する必要があります。 接続したら、記録を開始できます。

  • [GNSS の位置ステータス] のページに移動します。
  • [デバッグ] タブに切り替えます。
  • 記録ボタンをクリックします。

記録中も、アプリのその他の機能を使用できます。 ひととおり作業が終わったら、[デバッグ] タブに戻って記録を停止します。

記録した NMEA ログ ファイルは、ArcGIS/ArcGIS QuickCapture/Logs フォルダーに保存されます。

注意:

Android では、このフォルダーがアプリ固有の格納場所 Android/data/com.esri.arcgisquickcapture/files/ArcGIS/ArcGIS QuickCapture/Logs 内にあります。

AppStudio Player では、この方法で、GNSS Discover サンプル、Survey123、または QuickCapture を使用して NMEA ログを収集できます。 これらのいずれかのアプリに収集されたログは、これらのアプリのうちの他のアプリでも使用できます。