ダウンロードするマップの準備

現場では、モバイル作業者は、信頼できるデータ接続が存在しないか、接続されていないエリアで作業することがよくあります。 このような場合に、モバイル作業者はマップをダウンロードし、オフラインで使用することができます。 マップをダウンロードしたら、モバイル作業者は、オンライン時と同様にそのマップを使用できます。 必要なときにダウンロードしたマップに更新するだけで、ダウンロードしたマップを使用すると、モバイル作業者はデータ接続がない場合でも、共有された GIS データを使用して作業を続行することができます。

Explorer は、Web マップと MMPK (モバイル マップ パッケージ) のダウンロードをサポートしています。 Web マップは、オンライン時に使用したり、ダウンロードすることもできます。 複数のオフライン マップエリアをマップの一部として、またはデバイス上に定義できます。Web マップは、オフラインでの使用をサポートするように構成する必要があります。 MMPK はダウンロード専用に ArcGIS Pro で作成されます。

メモ:

作成できるマップはユーザー タイプによって制限されます。 CreatorsGIS Professionals で Web マップを作成できます。 MMPK を作成するには ArcGIS Pro が必要です。これは、GIS Professional ユーザー タイプに含まれています。

メモ:

ユーザーが常時データ接続を使用できる場合は、使用するユーザー向けに Web マップを作成します。

ダウンロードするマップの準備方法の選択

Web マップと MMPK のどちらもオフラインで作業できます。 選択とその構成方法は、プロジェクトの要件によって異なります。 ダウンロードするマップの準備方法を次の 3 つから 1 つ選択して、モバイル作業者が Explorer でオフライン作業できるようにします。

  • ダウンロードする Web マップを構成して、モバイル作業者がオフライン取得するマップ エリアを作成します。

    オフライン ワークフローでは主に、ダウンロードする Web マップを構成し、モバイル作業者がダウンロードできるマップ エリアを定義します。 エリア (郡の地域や到達圏など) は、マップの作成者が ArcGIS Online または ArcGIS Enterprise で定義します。 モバイル作業者は、Explorerこれらのマップ エリアを表示およびダウンロードできます。

    モバイル作業者が作業する場所 (郡の地域や到達圏など) を知っている場合、このオフライン ワークフローをお勧めします。 モバイル作業者がダウンロードする必要があるすべてのエリアを把握しなくても、Explorer でその他のマップ エリアを定義およびダウンロードできます。

    ヒント:

    可能であれば、マップ エリアをマップの一部として定義します。 これにより、モバイル作業者はエリアを定義する必要がなくなり、マップ エリアを準備してパッケージ化したら、複数のモバイル作業者がダウンロードできるようになります。 Explorer で定義されたマップ エリアは、単独使用のためにパッケージ化およびダウンロードされます。 削除して再びダウンロードする必要がある場合、または別のモバイル作業者が必要とする場合、再定義および再生成されます。

  • ダウンロードする Web マップを構成して、モバイル作業者がオフライン取得するマップ エリアを定義できるようにします。

    モバイル作業者が事前に準備されていない場所でオフライン作業する必要がある場合 (事前に計画されていない作業が発生した場合など)、モバイル作業者が Explorer でオフライン取得できるエリアを定義します。

    マップ作成者は、オフラインで使用する Web マップを構成する必要があります。 モバイル作業者がオフライン取得できるマップ エリアを定義する必要はありません (定義することもできますが、ワークフローの妨げにはなりません)。 その後、モバイル作業者は、Explorerマップ エリアを定義してダウンロードできます。

  • モバイル作業者がダウンロードできる、またはデバイスに直接コピーできる MMPK を作成して共有します。

    Web マップがオフライン マップ要件を満たしていない場合は、MMPK を作成して共有します。 たとえば、Web マップがマップの共有方法をサポートしていない場合があります。 モバイル作業者は自分のデバイスに Web マップをダウンロードしなければなりませんが、MMPK は、デバイスがモバイル作業者に渡される前にモバイル作業者のデバイスに直接コピー (サイドロード) できます。 モバイル作業者がデバイスを入手する前にコピーする必要はありません。 モバイル作業者は、MMPK をコピーするか、ArcGIS Online または ArcGIS Enterprise を使用して ExplorerMMPK をダウンロードできます。 ただし、コピーすると、MMPK のサイズ制限 (デバイスの格納領域以外) が削除されます。 MMPK はパブリックで共有することも、それ以降は開けなくなる有効期限を設定することもできます。

    メモ:

    有効期限は Windows でのみサポートされています。 AndroidiOS でも近日中にサポートされる予定です。

    データのサポートが、MMPK を使用するもう 1 つの理由です。なぜなら、Web マップでオフライン作業できないデータを MMPK で使用できるからです。 たとえば、同期を有効にしていないレイヤーまたは公開しないフィーチャ サービスとして利用できないレイヤー (ファイルベースのデータ) がある場合、それらのレイヤーを MMPK にパッケージ化して Explorer で使用できます。 また、MMPK は、Web マップよりも高度なシンボルをサポートしています。

    Web マップの作成に比べて、MMPK の作成には追加のライセンス要件があります。 MMPK を作成するには、GIS Professional ユーザー タイプが必要で、ArcGIS Pro を使用する必要があります。

ダウンロードする Web マップの構成

オフライン要件を満たす Web マップは、Explorer でのマップ エリアのダウンロードを自動的にサポートします。 次の手順を実行して、モバイル作業者が Explorer で Web マップをダウンロードできるようにします。

マップが構成されたら、モバイル作業者は Explorerマップ エリアをダウンロードできます。

ヒント:

Explorer でのマップのダウンロードを無効にするには、マップのアイテム詳細で [オフライン モードを有効化] チェックボックスをオフにします。詳細については、「ArcGIS Online のオフライン オプション」または「ArcGIS Enterprise のオフライン オプション」をご参照ください。マップがオフライン要件を満たしていない場合、[オフライン モード] オプションは表示されません。

ArcGIS Enterprise 10.6.1 以前を使用しているユーザーのマップにベクター タイル レイヤーが含まれている場合、デフォルトではマップ エリアをダウンロードできません。すべてのレイヤーがオフライン要件を満たしている場合 (すべてのフィーチャ レイヤーが同期をサポートし、すべてのラスター レイヤーとベクター タイル レイヤーがエクスポートをサポートしている場合)、マップのアイテム詳細を編集し、[Offline-Ready] タグを追加します。これで、マップをダウンロードできるようになります。

データ要件

Explorer でダウンロードされる Web マップは、すべてのレイヤーでオフライン使用が有効化されていることに加えて、Explorer で使用される Web マップのデータ要件を満たしている必要があります。 「ArcGIS Online でのレイヤーおよびマップのオフライン使用の有効化」または「ArcGIS Enterprise でのレイヤーおよびマップのオフライン使用の有効化」をご参照ください。

デバイスに直接コピーするためのベースマップの作成 (オプション)

ベースマップをモバイル作業者のデバイスに直接コピーし (このプロセスはサイドロードと呼ばれます)、複数のマップで再利用することができます。この方法には、マップ エリアと一緒にベースマップをダウンロードするのに比べて複数のメリットがあります。同じベースマップをダウンロードする場合よりも、ほとんどの状況で処理速度が速く、はるかに大きいエリアのベースマップを用意できます。また、デバイスにコピーされたベースマップは、Explorer を使用するすべてのモバイル作業者が利用でき、各ユーザーは独自のコピーを保有する必要がなくなるため、共有デバイスの領域を節約できます。。

マップをダウンロードするときに (ベースマップは残りのデータと一緒にダウンロードしないで) コピーされたベースマップをデフォルトで使用する場合、マップがそのベースマップを参照する必要があり、ベースマップがモバイル作業者のデバイスにコピーされている必要があります。

ベースマップをデバイスに直接コピーするには、ベースマップをマップ タイル パッケージ (*.tpk または *.tpkx) またはベクター タイル パッケージ (*.vtpk) として用意します。パッケージの作成方法は、作成する環境やタイル パッケージの種類によって異なります。

モバイル作業者のデバイスにパッケージを直接プロビジョニングします。 Android デバイスでは、この処理は、ファイルをデバイスまたは SD カードにコピーして行います。 iOS デバイスでは、ファイル アプリか iTunes を使用します。 Windows デバイスでは、この処理は、ファイルをデバイスにコピーして行います。 「ベースマップのデバイスへのコピー」をご参照ください。

デバイス上のベースマップの参照

モバイル作業者に操作レイヤーのみをダウンロードさせて、マップのベースマップはダウンロードさせずに、デバイスに直接コピーするために作成したベースマップを使用させることができます。 マップ作成の一環として、オフラインの高度な設定の一部としてオフライン ベースマップ用に使用するタイル パッケージを指定します。 そのベースマップがデバイス上にある場合は、操作レイヤーのみがダウンロードされます。 参照したベースマップがデバイス上にない場合、モバイル作業者は処理を続けて、操作レイヤーを含むマップのデフォルトのベースマップをダウンロードできます。 「ArcGIS Online でタイル パッケージをオフライン ベースマップに使用」または「ArcGIS Enterprise でタイル パッケージをオフライン ベースマップに使用」をご参照ください。

メモ:

ArcGIS Enterprise でベースマップをオフライン使用するように指定するには、バージョン 10.7 以降であることが必要です。

マップの一部としてマップ エリアを作成 (オプション)

マップの一部としてマップ エリアを作成すると、マップ作成者は Explorer のモバイル作業者が表示範囲や詳細レベルを構成しなくてもダウンロードできるように、マップの 1 つ以上のエリアをあらかじめパッケージ化できます。「ArcGIS Online でのマップ エリアの作成、編集、管理」または「ArcGIS Enterprise でのマップ エリアの作成、編集、管理」をご参照ください。

ArcGIS Enterprise を使用している場合、マップ エリアを作成するための対話型の操作環境 (ArcGIS Online で提供されている環境) は、ArcGIS Enterprise 10.7 で導入されました。ArcGIS Enterprise 10.6.1 を使用している場合は、マップ エリアを ArcGIS API for Python で管理する必要があります。

メモ:

マップ エリアがマップの一部として作成されると、モバイル作業者はマップ エリアをダウンロードしないとマップを使用できなくなります。

ダウンロードする MMPK の作成

ArcGIS Pro で作成され、モバイル作業者により共有される MMPK は、Explorerダウンロードできます。

データ要件

次のタイプのデータをマップに含めることができます。

  • ローカルのファイルベース フィーチャ データ - ジオデータベース フィーチャクラスとシェープファイル
  • フィーチャ レイヤーとフィーチャ サービス - ArcGIS OnlineArcGIS Enterprise、または ArcGIS Server でホストされる
  • タイル パッケージ - TPK と TPKX
  • ベクター タイル パッケージ - VTPK
  • ラスター - 通常、PNG、TIF、JPG、JP2 など、あらゆるタイプを含む
  • ロケーター - 従来のロケーターと新しいロケーター
  • ネットワーク データセット
  • ArcGIS Pro で作成されたアノテーション

MMPK の作成と共有

Explorer でダウンロードできる MMPK は、次のワークフローに従って、ArcGIS Pro で作成できます。

  1. ArcGIS Pro でプロジェクトを作成します。
  2. サポートされているデータ (ベースマップなど) をマップに追加します。

    マップのユーザーがフィーチャの詳細を確認する必要がある場合は、フィーチャのポップアップを構成します。 ユーザーがマップで必要とする場合は、ラベルを追加します。

  3. また、ロケーター プロバイダーを追加したり、ロケーターを作成したりして、フィーチャ検索を構成します。

    ヒントの「フィーチャ検索のサポート」をご参照ください。

  4. [モバイル マップのパッケージ化] ツールを使用して、データをパッケージ化し共有します。
  5. 次のいずれかの方法で MMPK を共有して、Explorer でアクセスできるようにします。
    • ArcGIS 組織で共有し、Explorer でダウンロードします。

      組織で共有されるオフライン マップは、プライベートにする、グループまたは組織で共有する、一般に公開する、のいずれかを選択できます。 ArcGIS Pro を通じてオフライン マップを共有するには、[モバイル マップのパッケージ化] ツールまたは [パッケージの共有] ツールを使用します。 または、ArcGIS 組織のポータルにサイン インし、.mmpk ファイルをアップロードすることもできます (ArcGIS Online または ArcGIS Enterprise ヘルプの「アイテムの共有」をご参照ください)。

    • コンピューターからデバイスの Explorer アプリに *.mmpk ファイルをコピー (サイドロード) します。

      デバイスへのコピーが完了すると、次回アプリが起動するとき、または使用可能なマップのリストが更新されるときに、マップが [デバイス] マップとして指定されます。

      メモ:

      コンピューターから MMPK にアクセスするには、パッケージを作成したときに、それを ArcGIS Pro のファイルに保存するか、MMPK ファイルを ArcGIS Online コンテンツからダウンロードする必要があります。

  6. Explorer で、マップをダウンロードし、開いて、他のマップと同様にオフラインで操作します。

ヒント

オフラインで使用する MMPK の作成には、次のヒントが役立ちます。

  • フィーチャ検索のサポート - デフォルトで、マップで場所、住所、座標を検索できます。 マップのユーザーは、多くの場合、マップ上に表示された特定のフィーチャを検索する必要があります。 マップを作成する場合、マップの要件に応じて、次の 2 つの方法でフィーチャ検索をサポートできます。
    • ロケーター プロバイダーの追加

      ArcGIS Pro で [場所検索] ツールを使用すると、ユーザーがフィーチャを検索できるようロケーター プロバイダーを追加できます。 検索可能なレイヤーごとに 1 つずつ追加します。 ロケーター プロバイダーは、レイヤーの複数のフィールドを検索できます。検索可能なフィールドごとに検索モードを指定します。 ロケーター プロバイダーでは、検索のヒントはサポートされていません。 これにより、オフライン マップのファイル サイズが大きくなることがありません。 ArcGIS Pro ヘルプの「マップ上の場所の検索」をご参照ください。

    • ロケーターを作成します。

      ArcGIS Pro で、ユーザーがフィーチャを検索できるようにするロケーターを作成できます。 検索可能なレイヤーごとに 1 つずつ作成します。 ロケーターごとに 1 つのフィールドを検索します。 ロケーターには、検索のヒントを含めることができます。 ロケーターにより、オフライン マップのファイル サイズが大きくなります。 ArcGIS Pro ヘルプの「ロケーターの作成」をご参照ください。

  • 便利なポップアップ - ユーザーがマップ上にフィーチャに関する情報を表示すると、そのフィーチャに対して作成されたポップアップが表示されます。 マップを作成するときに、ユーザーが必要とする情報でポップアップを構成します。 ArcGIS Pro ヘルプの「ポップアップの構成」をご参照ください。
    メモ:

    フィーチャにポップアップがない場合、ユーザーはマップ上でポップアップを利用することはできません。

  • ラベルの追加 - ユーザーがマップ上にラベルを表示する必要がある場合があります。 ラベルを使用可能にするには、フィーチャ レイヤーのラベルを構成します。 ArcGIS Pro ヘルプの「ラベルの基礎」をご参照ください。
  • ベースマップへのベクター タイル パッケージの使用 - ベクター タイル パッケージは、元のデータではなく、データのタイルを使用します。 マップのすべてのレイヤーを 1 つの最適化されたレイヤーに変換します。これは、外観は同じですが、表示が高速です。 結果として、含まれているデータには属性がありません。ポップアップを作成できず、ユーザーは含まれているデータを検索できません。 ただし、マップのベースマップ データを定期的に更新していない場合、ベクター タイル パッケージを使用すると、データを一度ベースマップに処理し、MMPK を更新するたびにこれを再利用することができます。 したがって、MMPK の作成時間が大幅に短縮され、MMPK が生成されるたびにベースマップ レイヤーを再処理することなく、定期的に操作データを更新できます。
  • マップと *.mmpk ファイルのタイトルに同じ名前を使用 - オフライン マップをダウンロードする前に、Explorer に表示されるタイトルがアイテムの詳細から取得されます。これには、*.mmpk ファイルの名前が使用されます。 ダウンロードすると、マップの名前がタイトルになります。 ダウンロードしたマップとデバイス上のマップとの関係をユーザーが理解しやすいように、ArcGIS Pro のマップと *.mmpk ファイルに同じ名前を使用します。
  • オフライン マップがダウンロードされたときにアイテムが変更されないように、ポータルのアイテムにデフォルトのサムネイルを使用します。
  • MMPK の利用を特定の時間に終了するには、MMPK に有効期限を設定します。 期限後、モバイル作業者はその MMPK を開くことができなくなります。
    メモ:

    MMPK の有効期限は Windows でのみサポートされています。 AndroidiOS でも近日中にサポートされる予定です。

制限事項

Explorer でオフライン使用する MMPK を作成する際の制限事項を以下に示します。

  • TPK とマップの座標系は一致する必要があります。一致しない場合、TPK は表示されません。
  • バージョンが 2.1 より前の ArcGIS Pro を使用している場合、すべてのベースマップ データは、1 つのジオデータベースに含まれている必要があります。
    ヒント:

    ベースマップに複数のジオデータベースのデータがあり、それを再構築したくない場合は、ベクター タイル パッケージを作成し、それをオフライン マップのベースマップとして使用することを検討します。

  • サービスはオフライン マップに含めることはできません。

演習: パリの店舗の MMPK の作成

Explorer の MMPK を作成するのは、ArcGIS Navigator の MMPK を作成するのと同様です。 MMPK の作成手順については、Navigator の演習の「すべて独自のデータによるマップの作成」をご参照ください。 この演習に含まれる Navigator に特有の手順は、Explorer のマップを作成する際には省略できます。 具体的には、カスタム移動モードの作成とそのテスト実行は必要ありません。 ロケーター プロバイダーを追加したり、ロケーターを作成したりして、フィーチャ検索を有効化できます。 Navigator でマップをテストする代わりに、Explorer でテストします。

次の手順

これで、マップを Explorer でオフライン使用するための準備が完了し、ダウンロードしてオフラインで作業できます。