モーション イメージのオブジェクト トラッキング

Image Analyst ライセンスで利用できます。

モーション イメージの機能の 1 つに、ビデオ データの再生中に特定のオブジェクトをトラッキングできることがあります。 これらのオブジェクトは静止していることもあれば、動いていることもあり、また、見えなくなった後に再び現れることもあれば、形状が変化することもあります (乗車中の人など)。 FMV (Full Motion Video) のオブジェクト トラッキング機能では、ビデオ画像内のオブジェクトをトラッキングするときのさまざまな状況に対処できるように、自動化されたコンピューター支援ツールが提供されます。 この機能は、ディープ ラーニングおよびコンピューター ビジョン テクノロジを利用して、オブジェクト トラッキング、フィーチャ抽出、およびマッチングを支援します。 ディープ ラーニング オブジェクト トラッキング モデルを構築し、一連のツールを使用して、対象オブジェクトを選択し、トラッキングできます。 オブジェクトの識別用四角形に対応する重心をデジタイズして、プロジェクトのジオデータベースにポイント クラスとして保存できます。 その後、アーカイブ ビデオの再生時に、保存されたポイントを表示できます。

要件

FMV のオブジェクト トラッキング機能は、ArcGIS AllSourceArcGIS Image Analyst エクステンションで利用可能です。

注意:

ビデオ カード ドライバーが最新であることを確認します。

ディープ ラーニング モデル

ビデオ内のオブジェクトをトラッキングするには、トレーニング済みのディープ ラーニング モデルが 1 つ以上必要です。 トラッキングの有効性は、ディープ ラーニング トレーニング サンプル データの品質および対象オブジェクトとトレーニング データがどれだけ密接に関連しているかによって決まります。 たとえば、高速道路に沿って移動中のトラックをトラッキングするには、トラックのトレーニング サンプルが多くの角度からラベル付けされている必要があります。 トレーニング サンプルのソース (注釈付きの画像) はモーション イメージでなければなりません。 ラベル付きのトレーニング サンプルは、オブジェクト (この例ではトラック) をトラッキングするようにディープ ラーニング モデルをトレーニングするために使用されます。 このモデルは、自動車のように外観が異なるオブジェクトをトラッキングする機能が制限されていますが、より大型のレクリエーショナル ビークルやバスをトラッキングするには十分な機能を備えています。

ArcGIS AllSource でディープ ラーニング ワークフローを実行するには、ディープ ラーニング フレームワーク パッケージをインストールする必要があります。 ビデオおよび静止画像トレーニング データの準備、オブジェクトのラベル付け、ディープ ラーニング モデルの作成、推測、および結果の確認のためのさまざまなツールを使用できます。 これらのパッケージのインストール方法については、「ArcGIS 用のディープ ラーニング フレームワークのインストール」をご参照ください。

ディープ ラーニングは計算上の負荷が大きいため、バージョン 6.0 以降の CUDA 計算機能がサポートされている高性能 GPU が推奨されます。

ディープ ラーニングおよびディープ ラーニング ワークフローの詳細については、「ディープ ラーニングの概要」および「ArcGIS Pro のディープ ラーニング」をご参照ください。 ArcGIS の一連のディープ ラーニング ツールに関する詳細については、「ディープ ラーニング ツールセットの概要」をご参照ください。

トラッキング タブ

[トラッキング] タブは、[コンテンツ] ウィンドウでビデオを選択すると有効になります。

注意:
[トラッキング] タブは、ArcGIS AllSource にディープ ラーニング パッケージがインストールされ、有効化された時点で使用可能になります。

[オブジェクト トラッキング] グループのツールを使用すると、次に示すように、ビデオ データでトラッキング中のオブジェクトを識別して管理できます。

  • トラッキング ウィンドウ - [オブジェクト トラッキングの表示] ウィンドウを開きます。このウィンドウでは、オブジェクト トラッキング ディープ ラーニング モデルを指定して、パラメーター設定を構成できます。
  • 有効化 - 対話型のオブジェクト トラッキング ツールをアクティブ化します。
  • オブジェクトの追加 - オブジェクトの周囲に対話形式で四角形を描画して、オブジェクト トラッキングを実行するためのオブジェクトを追加します。
  • オブジェクトの再配置 - 既存のオブジェクトのトラッキング四角形をクリックして選択し、オブジェクトの更新された位置の周囲に四角形を再度描画します。
  • オブジェクトの削除 - 既存のオブジェクトのトラッキング四角形をクリックし、アクティブなトラッキング対象からオブジェクトを除外します。
  • オブジェクトからフィーチャへの変換 - オブジェクト検出用四角形の重心を新しいフィーチャクラスとして保存します。

トラッキング ウィンドウ

[トラッキング ウィンドウ] ボタンをクリックすると、[オブジェクト トラッキングの表示] ウィンドウが開きます。 このウィンドウには、[設定] タブと [トラッキング対象オブジェクト] タブがあります。

ビデオのオブジェクト トラッキング ウィンドウ

設定

[設定] タブでは、ディープ ラーニング モデルを選択して、オブジェクトのトラッキング用のパラメーターを設定できます。

[ローカル パスまたは URL を使用してオブジェクト トラッキング モデルを追加] ボタン パスからのデータ をクリックすると、[パスからディープ ラーニング モデルを追加] ダイアログ ボックスが開きます。 URL を指定するか、ローカル ディレクトリにあるファイルを参照して、ディープ ラーニング モデル パッケージ ファイル (.dlpk) へのパスを指定します。 [モデル] テキスト ボックスでは、モデルの名前にエイリアスを割り当てることができます。 [追加] をクリックすると、モデルが読み込まれ、ダイアログ ボックスが閉じます。 モデル名が、[モデル] ドロップダウン リストに表示され、選択可能になります。

[設定] タブには、[トラックの失敗を検出][トラックの復元][自動検出機能] という、オブジェクト トラッキングの制御に役立つオプションがあります。

  • トラックの失敗を検出 - オブジェクトが、外観の変化に基づいて正常にトラッキングされるかどうかを指定します。 デフォルト設定はオンです。
    • 間隔 (フレーム) - アプリケーションが、オブジェクトの外観の変化をチェックする間隔 (フレーム数)。 デフォルト設定は 5 フレームです。
    • 最小オブジェクト サイズ (ピクセル) - 指定したこのサイズよりオブジェクトが小さい場合、オブジェクト トラッキングが停止します。 デフォルト設定は 10 ピクセルです。
    • 最大検索間隔 - オブジェクトが失われた場合、ビデオ フレーム単位で定義された最大検索間隔を指定します。 デフォルト値は 60 です。
    • ステータス キューのサイズ - 検索間隔が終了する前にオブジェクトが失われた場合に、オブジェクトの状態を維持するフレーム数。
  • トラックの復元 - トラックが失われた後にオブジェクトの検索が試行されるかどうかを指定します。 デフォルト設定はオンです。
    • 信頼度の閾値 (0-1) - 復元を成功させるために必要な、マッチング対象ソース イメージ フィーチャと検索対象オブジェクト フィーチャ間の最小比率。 信頼度の閾値は 0 ~ 1 の数値です。 デフォルト値は 0.1 です。
    • 最小オーバーラップ閾値 (0-1) - 復元を成功させるために必要な、検出対象オブジェクトと検索対象オブジェクト間の最小オーバーラップ率。 閾値は 0 ~ 1 の数値です。 デフォルト値は 0.1 です。
  • 自動検出機能 - ディープ ラーニング ベースの検出モデルを使用して、ターゲット オブジェクトの検出と識別を自動的に行うかどうかを指定します。 デフォルトはオフです。 URL を指定するか、ローカル ディレクトリにあるファイルを参照して、ディープ ラーニング モデル パッケージ ファイル (.dlpk) へのパスを指定します。

    URL を指定するか、ローカル ディレクトリにあるファイルを参照して、ディープ ラーニング モデル ファイル (.emd) へのパスを指定します。

    • 自動検出の頻度 - シーンでターゲット オブジェクトを再識別して再は配置するときの連続した検出実行の間隔。 値が小さいほど精度は高くなりますが、パフォーマンスは低下します。 デフォルト値は 1 です。
    • 最小信頼度閾値 - 検出をフィルタリングする際の最小信頼度。 閾値は 0 ~ 1 の数値です。 デフォルト値は 0.4 です。

トラッキング対象オブジェクト

[トラッキング対象オブジェクト] タブでは、トラッキング対象オブジェクトを表示して管理できます。 トラッキング対象オブジェクトごとに [ID][ソース]、および [ステータス] の値がテーブルにリスト表示されます。

  • ID - 各トラッキング対象オブジェクトの一意識別子。
  • ソース - 識別されるオブジェクトが含まれるソース ビデオ ファイル。
  • ステータス - 各トラッキング対象オブジェクトのステータス (アクティブなトラッキング対象、喪失、検索中)。

[トラッキング対象オブジェクト] タブには、トラッキング対象オブジェクトを管理するための次の 5 つのアクション ボタンも含まれています。

  • 追加 - 各対象オブジェクトの周囲に四角形を描画して、1 つ以上のオブジェクトをトラックに追加します。
  • 再配置 - 既存のオブジェクトのトラッキング四角形をクリックして選択し、オブジェクトの更新された位置の周囲に四角形を再配置します。
  • 削除 - 既存のオブジェクトのトラッキング四角形をクリックし、アクティブなトラッキング対象からオブジェクトを除外します。
  • 再関連付け - オブジェクトの更新された位置を再度描画することで、[喪失] ステータスであるリストされたオブジェクトを再度関連付けます。
  • 削除 - 選択したオブジェクトをトラッキング対象オブジェクト リストから削除します。

オブジェクト トラッキング ワークフロー

オブジェクト トラッキング ワークフローの概要は次のとおりです。

  • [オブジェクト トラッキングの表示] ウィンドウの [設定] タブでディープ ラーニング モデルを読み込んで、トラッキング パラメーターを設定します。
  • [有効化] をクリックして、オブジェクト トラッキング ツールをアクティブ化します。
  • [オブジェクトの追加] をクリックして、ビデオ プレイヤーでトラッキングするオブジェクトの周囲に四角形を描画します。 オブジェクトがビデオ フレームごとにトラッキングされます。
    注意:

    [自動検出機能] モードの場合、このステップは必要ありません。

  • [トラッキング対象オブジェクト] タブで、トラッキング対象オブジェクトのステータスを表示します。
  • オブジェクトが見えなくなって、トラッキングが失われた場合は、[再関連付け] をクリックし、オブジェクトの更新された位置の周囲に四角形を再度描画して再度トラッキングに参加します。
    注意:

    [自動検出機能] モードの場合、このステップは必要ありません。

  • トラッキング四角形の位置がトラッキング対象のオブジェクトからずれている場合は、[再配置] をクリックしてそのトラッキング四角形を選択し、オブジェクトの周囲に再度配置します。
    注意:

    [自動検出機能] モードの場合、このステップは必要ありません。

  • 必要に応じて、[追加] をクリックし、トラッキング対象のオブジェクトを追加します。
    注意:

    [自動検出機能] モードの場合、このステップは必要ありません。

  • 必要に応じて、[削除] をクリックし、アクティブなトラッキングからオブジェクトを除外します。
    注意:

    [自動検出機能] モードの場合、このステップは必要ありません。

  • [オブジェクト トラッキング] グループの [トラッキング] タブで、[オブジェクトからフィーチャへの変換] をクリックし、オブジェクトの重心をフィーチャクラスに格納するために使用する出力場所と接頭辞名を指定します。 必要に応じて、フィーチャクラスをマップ上に追加するかどうかや、重心が保存される秒単位での頻度 (間隔) を指定します。