画像内の地面フィーチャの計測 (画像計測) は、多くの画像解釈またはフィーチャ編集アプリケーションにおける重要な機能です。画像計測とは、幾何学的ルールを適用して、ラインと角度から取得した情報を基に距離、2 次元または 3 次元サーフェスの面積を決定することと定義されます。また、これにはフィーチャの高さや絶対位置の計測も含まれます。
最新のセンサーによる画像には、画像の収集時のセンサー プラットフォームの位置や姿勢 (ロール、ピッチ、ヨー) を決定する重要なメタデータが含まれています。この情報を使用することで、ジオリファレンス画像を使用して計測値を提供できるようになります。計測値は、マップ空間ではなく画像空間に表示される画像を使用して収集することもできます。これらには、距離や面積などの基本計測値が含まれます。さらに、センサー モデルが存在する場合は高さの計測値を取得することができ、太陽の角度情報を利用して、画像に表示される影を使用した計測値を決定できます。すべての計測値は、DEM を使用してテレイン効果を計算に入れることで、高精度の調整を行うことができます。
画像を使用した計測
ArcGIS AllSource では画像計測用のツールが提供されます。ここには、センサーの情報によって、ジオリファレンスされたラスターおよびモザイク データセットから、距離、ポイントの位置、角度、高さ、周長、面積、体積、および領域の重心を計測するツールが含まれます。
ツール | ツール名 | 空間参照系 | カメラ モデル | 太陽の情報 | 標高 |
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地点 | |||||
距離 | |||||
面積 | |||||
重心 | |||||
底面から最上部の高さ | |||||
底面から影の最上部の高さ | |||||
最上部から影の最上部の高さ | |||||
3D 地点 | |||||
3D 距離 | |||||
3D 面積 | |||||
体積 | |||||
3D 重心 |
計測値は [計測結果] ウィンドウで記録することができ、プロジェクトと一緒に保存されます。
基本計測値
画像またはラスターのジオリファレンスが完了したら、次のツールを使用して基本計測を実行できます。
- [地点] - 地理座標に基づいてポイントの位置を決定します。
- [距離] - 2 つ以上のポイント間の距離を計測します。1 本のライン上に複数の頂点がある場合、ポリラインの累積距離が計算されます。
- [面積] - 対象地域を定義するために対話的に描画されたポリゴンのサイズと周長を計算します。
- [重心] - 対話的に描画されたポリゴンによって定義される対象地域の重心を決定します。
- [3D ポイント] - ポイントの位置とその標高を計測します。
- [3D 距離] - 標高サーフェスを組み込むときの 2 つ以上のポイント間の距離を計測します。
- [3D エリア] - 標高サーフェスを組み込むときのエリアのサイズと周長を計算します。
- [体積] - 標高データセットを使用して、切り取り体積、埋め立て体積、総体積 (切り取り + 埋め立て)、2D サイズ、およびエリアの周長を計算します。
- [3D 重心] - 標高サーフェスを組み込むときのエリアの重心の位置を計算します。
[計測オプション] ウィンドウで標高データセットを定義した場合、DEM を使用してすべての計測タイプの計算精度が高められます。
高さの計測
画像のセンサー モデルが使用可能な場合、画像内のオブジェクトの高さを計測できます。さらに、メタデータ内で太陽の角度情報が使用可能な場合は、画像に表示される影を使用して計測を実行できます。各ラスター タイプとプロダクトがサポートする計測ツールについては、以下の表をご参照ください。高さを計測するには、次のツールを使用します。
- [底面から最上部の高さ] - オブジェクトの底面から最上部までを計測して、地面フィーチャの高さを計算します。計測は底面から垂直に行われることを想定しています。このため、建物に沿って計測されるラインの終点は始点の真上にある必要があります。底面から先細りまたは傾斜しているオブジェクトは正確に計測されません。
- [底面から影の最上部の高さ] - オブジェクトの底面から、地面に伸びたオブジェクトの影の最上部までを計算し、フィーチャの高さを計算します。影のポイントは、底面と垂直な表示オブジェクトのポイントを表している必要があります。
- [最上部から影の最上部の高さ] - オブジェクトの最上部から、地面に伸びたオブジェクトの影の最上部までを計算し、フィーチャの高さを計算します。オブジェクトとその影の計測ポイントは、同じポイントを表している必要があります。このツールは、たとえば建物の最上部に小さな部屋や塔がある場合など、建物の最上部にあるオブジェクトの高さを取得するのに便利です。画像内でこのフィーチャの最上部のポイントを指定してから、影の同じポイントを特定します。
計測精度の向上
[計測オプション] ウィンドウで標高データセットを指定して、さらに正確な距離と高さの計測値を計算します。そうでない場合、提供される距離または高さの計測値は、画像内の情報のみを使用して計測された投影距離または投影高さになります。
標高データセットを使用すると距離の計測値が変更され、テレインを計算に入れた計測値が提供されます。テレインは計測に大きく影響する可能性があります。そうでない場合、提供される距離は、画像内の情報のみを使用して計測された投影距離になります。
画像計測の詳細
計測ツールは、メインの [画像] タブの [計測] グループにあります。ギャラリーを展開すると、すべてのツールが表示されます。使用可能な計測ツールのタイプは、画像に関連付けられたメタデータの情報によって異なります。基本計測は、ジオリファレンス画像に対して実行できます。フィーチャの高さの計測にはセンサー モデルが必要で、画像に表示される影に基づいてフィーチャの高さを計測するには、関連メタデータ内の太陽の角度情報が必要です。
以下の表は、ラスター プロダクトの計測機能や、ラスター タイプを使用してモザイク データセットに追加されるデータについて説明したものです。ラスター プロダクトまたはラスター タイプにはその他の機能もあります。メタデータに情報を格納できて、そこからアプリケーションが高さ情報を引き出せるからです。
ラスター タイプまたはラスター プロダクト | ||||||||
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ソース | 処理プロダクト | |||||||
GeoEye-1 IKONOS | Geo | |||||||
Geoprofessional | ||||||||
Landsat 5 TM Landsat 7 ETM+ Landsat 8 | ||||||||
QuickBird WorldView-1 WorldView-2 WorldView-3 | Basic | |||||||
Standard | ||||||||
Standard Orthoready (オルソレディ標準) | ||||||||
Orthorectified (オルソ補正) | ||||||||
SPOT 5 FORMOSAT-2 | SPOT レベル 1A | |||||||
SPOT レベル 2A | ||||||||
SPOTView Ortho (SPOTView オルソ) | ||||||||
KOMPSAT-2 | SPOT レベル 1A | |||||||
SPOT レベル 2A | ||||||||
RADARSAT-2 | ||||||||
Applanix DSS | ||||||||
ISAT | ||||||||
Match-AT | ||||||||
NITF | ||||||||
ラスター データセット |
計測オプション
[画像] タブの [計測] グループで、ランチャー ボタン をクリックして [計測オプション] ウィンドウを開きます。
[計測タイプ] の単位は、[計測オプション] ダイアログ ボックスで選択できます。また、計測タイプのシンボルと色を選択したり、参照ボタンを使用して [標高] データセットを割り当てることで、計測の精度を向上させることができます。標高ファイルまたは標高サービスの URL アドレスを指定できます。
計測の制限
計測ツールは、画像内のオブジェクトの高さを計測するための対話的な手法を提供します。[計測オプション] ウィンドウの [高さ計測ツールのカーソルの移動方向を制限] オプションは、高さを計測するときのポインターの動きを制限します。
3 つの高さ計測ツールでは、最初の計測ポイントがラインの終点になるように制限された動作になります。ポインターは、計測に適したラインに沿ってのみ移動します。たとえば、[底面から最上部の高さ] 計測ツールを選択した場合、最初のポイントがオブジェクトの底面になければなりません。このときポインターの動きは垂直方向に制限されます。底面の位置がオブジェクトの最上部から識別しにくいオブジェクトの計測の場合、この機能は重要です。たとえば、ピラミッド タイプのオブジェクトの底面のエッジを見つけることは簡単ですが、底面の中心を決定するのは困難です。計測の他の終点を確認するのが難しく、ユーザーが識別するのを制限によって支援するような場合もあります。
[底面と影による高さ] ツールでは、最初のポイントがフィーチャの底面になければなりません。このときポインターは、地面に伸びた影のパスに沿って動くように制限されます。
[最上部から影の最上部の高さ] ツールでは、最初のポイントがフィーチャの最上部になければなりません。アクティブにすると、フィーチャの最上部から影の最上部のエッジを形成する太陽光線のパスに沿って、ポインターの動きが制限されます。
計測の制限は高さの計測ツールを使用する場合に便利な方法で、画像のメタデータを使用して正確な計測値を収集するために役立ちます。
計測の保存
計測タイプは、プロジェクトのジオデータベースに適切なフィーチャクラスとして保存されます。たとえば、ポイントと重心の計測はポイント フィーチャクラスとして保存され、距離と高さの計測はポリライン フィーチャクラスとして保存され、エリアの計測はポリゴン フィーチャクラスとして保存されます。場所と適切なフィーチャクラス タイプはプロジェクト ファイル内で処理されるので、これらのファイルの検索や管理を行う必要はありません。
計測は、プロジェクトを保存するときか、プロジェクトを保存するかどうかに関係なくプロジェクトを終了する時点で保存されます。プロジェクト ファイルが ArcGIS AllSource に読み込まれると、自動保存された計測も読み込まれ、[計測結果] ウィンドウで表示または編集できるようになります。計測は、フィーチャクラスの属性テーブルを介して適切なソース画像ファイルとリンクしています。
注意:
プロジェクトのジオデータベース ファイルのデフォルトの場所を変更すると、[計測結果] ウィンドウに既存の計測が表示されなくなる可能性があります。
計測結果ウィンドウ
計測は [計測結果] ウィンドウに表示されます。[画像] タブからこのウィンドウを開くことができます。
[計測結果] ウィンドウには、[タイプ]、[名前]、[説明] など、選択したマップのすべての計測に関する情報が記録されます。特定の計測を選択すると、その計測の結果がハイライト表示されます。計測に関する追加のメタデータ ([センサー名]、[センサー モデル]、[計測時間] など) も表示されます。
[計測結果] ウィンドウの上部にあるツールを使用して、計測にズームしたり、選択した計測を削除したり、[計測オプション] ウィンドウを開いたり、タイプに基づいて計測をフィルター処理したりできます。
計測レポート
計測をリストするレポートを生成して保存できます。[計測結果] ウィンドウで [レポート] ボタン をクリックし、レポートに名前を付けて保存します。[計測結果] ウィンドウで選択したすべての計測がテキスト ファイルに書き込まれます。結果を選択しない場合は、マップのすべての計測がレポートに書き込まれます。
計測ごとに、次の情報が記録されます。
- 画像ソース - 解析する画像の名前とパス
- [計測結果] - マップ内の計測結果を指定された単位で表示
- [センサー モデル] - 画像の収集に使用され、計測値の計算にも使用されるセンサー モデルを指定します。
- 計測時間 - 計測が収集された時間
- [説明] - 計測データに追加した説明
- [計測の種類] - 計測値がポイント、ライン、面積、高さ、および体積のいずれであるかを識別します。
- 座標 - マップ座標 (X、Y、Z) での計測