ArcGIS IPS Setup を使用して屋内測位システムの無線参照データを収集するには、屋内測位を有効にしたいすべてのエリアを通過するパスを作成してサーベイします。 エリアごとに計画済みのサーベイ パスを両方向にサーベイして、十分なデータが収集されるようにします。
サーベイの計画
サーベイの計画は、サイトを訪問する前に ArcGIS Pro を使用して遠隔で実行することも、IPS Setup アプリの計画モードを使用してサイトで実行することもできます。
サーベイを開始する前に、サーベイ デバイスのセンサーが有効になっていることを確認します。
サーベイ パスがすでに計画済みの場合は、サーベイを開始した時点で次のオプションを含むポップアップが表示されます。
- [既存のパスの選択] - 手動でスケッチしたり変更したりする必要なくすぐに実行できるサーベイ記録パスのリストが表示されます。 このオプションを選択すると、施設内のアクティブなフロアに対してすでに計画済みのサーベイ パスのリストが表示されます。 既存のサーベイ パスは、次のカテゴリに分けられています。
- [計画済み] - 事前に準備したパスであり、このパスを使用すると、より迅速かつ効率的にサーベイを実行できます。
- [サーベイ済み] - すでにサーベイが完了しているパスであり、屋内測位エリアを再びサーベイする必要がある場合に使用できます。 サーベイ済みのパスは、緑色のバッファーで囲まれた状態で表示されます。
- [新しいパスの作成] - ArcGIS IPS で指定されたエリアまたはフロアに使用できる計画済みのパスがない場合にパスをスケッチしてサーベイすることができます。
IPS (屋内測位システム) で定義されたすべてのエリアがカバーされるよう、サーベイ レコーディングを十分に計画することが極めて重要です。 フロア プランを効果的にカバーするサーベイ パスを作成するには、30 ~ 60 フィート (10 ~ 20 メートル) ごとに、また方向転換の各ポイントに測点を配置します。 目に見えるランドマークの近くに測点を配置すると、サーベイ中の位置の特定に役立ちます。
ヒント:
サーベイ パスをスケッチする際には、次の点に留意してください。
- 記録したい位置でサーベイ パスをスケッチします。 これで、壁、柱、家具などの固形物を通るサーベイ パスが作成されなくなります。
- サーベイ パスに沿って方向転換する (たとえば、角を曲がる) 各位置に測点を配置します。
- 測量図には、少なくとも 2 つのポイント (サーベイ パスの始点と終点を表すポイント) を含める必要があります。
- サーベイは、停止も一時停止もせずに途切れることなく実行する必要があります。 間違いや中断の可能性を減らすため、長さが 10 メートル (30 フィート) 以上あり、3 分以内に記録できるパスをスケッチします。
- 少なくとも 1 つの測点を建物レベル内に配置する必要があります。つまり、IPS サーベイ レコーディングは屋外でスケッチし、完了させてはなりません。
IPS Setup を使用してサーベイを計画するには、次の手順を実行します。
- IPS Setup を開き、必要に応じてサイン インします。
マップ リストが表示され、ArcGIS 組織で共有されている ArcGIS IPS タグを含む Web マップが表示されます。
- 開く Web マップの名前をタップします。
Web マップがマップ モードで開きます。
注意:
インターネット接続が制限されているエリアでは、接続時にマップを読み込んで、インターネット接続がない状態でも施設をサーベイできます。 たとえば、屋外または WiFi ネットワークに接続された環境で安定したオンライン接続を使用してマップを読み込んでから、施設内に入り、サーベイを実施することができます。 この場合、記録は記録リストにキャッシュされ、インターネット接続が確立されたときに自動的にアップロードされます。
- フロア ピッカーをタップして、サーベイするフロアを選択します。
注意:
複数の施設を含むマップでフロア ピッカーを有効にするには、作業する施設にズームするか、その施設をタップします。
- [サーベイ] をタップします。
注意:
センサー チェック バーが赤色の場合は、サーベイを開始できないことを示すポップアップ メッセージが画面に表示されます。 センサー チェック バーをタップし、[センサー チェック] メニューを開いて、センサーに関する問題 (コンパスの精度が低い、Bluetooth 接続が存在しない、など) を解決します。
選択したマップおよび施設で既存のサーベイを使用できる場合は、既存のパスを選択するか、新しいパスを作成するオプションを含むポップアップが表示されます。
- [新しいパスの作成] を選択します。
- マップを画面移動およびズームして、十字線をサーベイの始点の中心に合わせます。
- [測点の追加] をタップして、最初の測点を追加します。
- マップを画面移動して、十字線の中心を次の測点の位置に合わせます。
サーベイ パスの候補を示す点線が表示されます。
- [測点の追加] をタップして、次の測点を追加します。
- 必要に応じて、追加の測点を作成します。
- 必要に応じて、[測点] ウィンドウのオプション ボタン をタップし、サーベイ パスを編集します。
次のオプションから選択します。
- [パスの反転] - 最後の測点を最初の測点に変換して、スケッチしたパスの向きを変えます。
- [最後の測点の削除] - 最後に追加された測点を削除します。
- [すべての測点の破棄] - すべての測点を削除します。
- [パスの保存] - 計画済みのパスのセクションへのパスを保存し、デスクトップ サーベイ計画ワークフローの代替手段を有効にします。
- [パスの読み込み] - 計画済みのパスのリストを表示し、既存のパスの読み込み、変更、サーベイを実行できるようにします。
- [元に戻す] - 前の操作を元に戻します。
- [完了] ボタンをタップして、パスを完成させます。
パスのスケッチが終了したら、そのパスのサーベイ記録を実行できます。
サーベイの完了
測点を追加して計画モードでパスをスケッチするか、計画済みリストまたはサーベイ済みリストから既存のパスを読み込んだら、サーベイの実行を開始できます。 デバイスは周辺に設置されたビーコンから Bluetooth 信号を収集します。 収集された信号の強度測定値は、ArcGIS Pro でサーベイベースの [Indoor Positioning データセットの生成 (Generate Indoor Positioning Dataset)] ツールを使用してラジオ フィンガープリント マップを構築するときに使用されます。 サーベイを記録するには、選択したパス上の最初の測点から、計画済みのサーベイ パスに沿って歩いて移動します。 各測点の位置に到達した際に、その測点が可能な限り正確であることを確認します。 集中力を維持し、中断を避けるため、サーベイは 10 秒以上で、2 つ以上のポイントを含み、3 分程度に制限する必要があります。
サーベイを終了してアップロードすると、パスを反転させて逆方向から記録するよう求められます。 これで、人体による影の効果が無線信号に与える影響を少なくすることができます。 十分な参照データを生成するため、各プランを両方向でサーベイします。 たとえば、南北に走る通路をサーベイする場合は、まず北に向かってサーベイした後、パスを反転させて南に向かってサーベイします。
パスを反転させると、IPS Setup はサーベイ モードのまま維持され、パスが最後の測点から開始されます。 また、計画モードでパスを編集し、オプション ボタンを使用してスケッチしたサーベイ パスを保存することもできます。
注意:
同じブランドおよびモデルのデバイスを使用して、施設のすべてのサーベイを記録します。 異なるブランドのデバイスを使用すると、屋内測位データの品質と ArcGIS IPS の精度に悪影響が生じることがあります。
新しいパスをスケッチするか、既存のパスを選択したら、次の手順を実行してサーベイ記録を取得します。
- 最初のサーベイ記録ポイントに移動します。
ヒント:
[位置にズーム] をタップして、自分の位置が中心になるようマップを合わせます。
- [記録の開始] をタップします。
注意:
IPS Setup アプリは、サーベイ時に無線信号を連続的に捕捉します。 センサーが一貫した参照フレームを維持できるよう、携帯電話の向きを移動の方向に合わせておきます。 計画したパスをできるだけ忠実に一定の速度でたどります。
- 次の測点まで一定の速度で移動し、停止も一時停止もせずに到達したら、[測点の確認] をタップします。
ヒント:
計画したパスをできるだけ忠実にたどります。 計画モードで配置した場所に測点が正確に配置されていることを確認します。 たとえば、壁際でポイントをスケッチした場合、その場所に移動して、壁際のポイントを確認します。
- 最後の測点に到達するまで、順番にその位置を確認します。
最後の測点を確認すると、記録が停止し、[アップロード] ボタンが表示されます。 サーベイ記録が完了したら、そのサーベイ記録を IPS Recordings フィーチャ サービスにアップロードすることができます。
ArcGIS IPS を有効化する施設内のすべてのエリアをサーベイしたら、その記録を使用して屋内測位データを作成して有効化できます。
サーベイ記録のアップロード
パス上の最後の測点を確認すると、サーベイが自動的に終了し、[記録のアップロード] ボタンが表示されます。 これで、サーベイを ArcGIS 組織にアップロードし、屋内測位データの作成に使用できるようになりました。
サーベイ記録をアップロードするには、次の手順に従います。
- [記録のアップロード] をタップして、サーベイ記録を IPS Recordings フィーチャ サービスにアップロードします。
注意:
インターネット接続が利用できない場合、サーベイ記録がキャッシュされ、そのステータスが [記録] リストに表示されます。 接続が確立されると、アップロード処理が自動的に開始されます。
- 必要に応じて、[アップロード] メニューのテキスト ボックスにサーベイ記録に関するコメントを追加できます。
注意:
コメントは、サーベイ エリア、サーベイ記録の方向、測量者の名前を記録したり、記録中に発生しうる誤りのリマインダーとして特定したりする目的に使用できます。
- [アップロード] をタップして、サーベイ記録をアップロードします。
そのサーベイ記録が IPS Recordings フィーチャ サービスに追加されます。 インターネット接続が存在しない場合、接続が安定した時点で自動的に記録がアップロードされます。
サーベイをアップロードすると、パスを反転させるオプションが表示されます。
- 必要に応じて、パスを反転させます。
最初に既存のサーベイ パスを選択してからそのパスを反転させるように設定した場合は、反転させたパスのサーベイをすぐに開始することができます。 また、サーベイ パスを手動で作成した場合は、アプリが計画モードで開くので、サーベイを実施する前に、反転させたサーベイ パスを編集することもできます。
施設のサーベイが終了したら、ArcGIS 組織にサイン インして IPS Recordings フィーチャ サービスを表示し、すべてのサーベイ記録が追加されていることを確認します。 すべての記録が正常に追加されたら、Indoor Positioning データセットの生成ツールを使用して、屋内測位データを作成できます。
サーベイ記録が処理されると、屋内測位データが IPS_Positioning_Datasets フィーチャクラス、IPS_Positioning_Points フィーチャクラス、IPS_Positioning_Signals テーブルに正常に追加されます。 Indoor Positioning データ サービスを共有し、それを使用してマップを IPS 対応にします。 その後、IPS Setup アプリに戻り、測位の精度をテストします。