レイヤーの設計—ArcGIS Collector

Collector を使用して、現場で対象物目録を作成したり、観測点を記録したり、調査を実行することができます。モバイル作業者は、現場でアプリを使用して、位置を収集し、フォームに記入します。モバイル作業者が入力できる情報は、操作するマップによって決まります。そのため、マップを定義します。既存のレイヤーだけでなく、新しいレイヤーを含めることもできます。レイヤーは、フォームで取得できる情報を決定します。マップを介して、モバイル作業者用のフォームをカスタマイズすることができます。

マップを作成する前に、Collector で使用する収集プロジェクト用のレイヤーに関して、いくつかの選択を行う必要があります。

取得する必要がある空間情報は何ですか？単一の場所、長さ、または面積ですか？

プロジェクト用のレイヤーを、どのように格納する必要がありますか？収集の目的、および品質保証 (QA) または品質確認 (QC) を必要とするかどうかに応じて、推奨事項が変わります。


収集の目的	モバイル作業者の作業
対象物目録を作成するか、新しい観測点を記録する	位置およびフォームを含めて、新しいタイプの対象物または観測点を取得する
対象物または観測点を既存の収集データに追加する	既存の対象物目録または観測点のセットを補完して、(位置およびフォームを含めて) 追加の対象物または観測点を取得する
矛盾が見つかったときに、既存の対象物および観測点に対して現地調査を行って修正する	既存の対象物または観測点を調査し、それらが現場で見たものと一致しない場合に、必要に応じて位置およびフォームを更新する
過去のレポートを必要とせずに、現在の状態を使用して、既存の対象物または観測点を更新する	調査に基づいてフォームを更新する
過去のレポートを利用可能に保ちながら、現在の状態を使用して、既存の対象物または観測点を更新する	新しい関連するフォームを調査に関するレポートに追加する

何をフォームに含める必要がありますか？フォームは、モバイル作業者が取得できる情報のタイプを決定します。

空間情報の選択

レイヤーを作成する前に、モバイル作業者が実行している作業にとっての空間情報の重要性について考えます。適切なタイプをサポートするレイヤーを作成する必要があります。


取得する情報	使用する空間タイプ	例
地球上の単一の場所	Points	消火栓
取得して計測する距離または長さ	ライン	道路
取得して計測する面積または空間	ポリゴン	建物の区画

レイヤーを格納する方法の選択

収集の目的、および品質保証 (QA) または品質確認 (QC) を必要とするかどうかに応じて、レイヤーの格納の推奨事項が変わります。収集の目的に応じて、次の推奨事項をご参照ください。

新しいレイヤーを作成している場合は、ホストフィーチャレイヤーを作成することをお勧めします。ただし、編集可能なレイヤーに ArcGIS Server を使用する必要がある場合もあります。その場合、新しい編集可能なレイヤーに対する ArcGIS Server の使用に関する推奨事項を確認してください。

対象物目録を作成するか、新しい観測点を記録する

モバイル作業者は、位置およびフォームを含めて、新しいタイプの対象物または観測点を取得します。そのようなプロジェクトをサポートするには、編集可能なホストフィーチャレイヤーを作成し、新しいタイプの対象物および観測点を保持することをお勧めします。プロジェクトが完了した後に、新しい対象物および観測点を確認します。その後、それらの対象物および観測点が信頼できるレイヤーになるか、それらを ArcGIS Server にインポートすることができます。

ヒント:

このプロジェクト用に作成されたホストフィーチャレイヤーを使用して、調査によって対象物および観測点を維持する予定である場合、過去の調査レポートが必要なのか、それとも現在の状態のみが必要なのかについて考えます。過去のレポートが重要である場合、調査情報の収集に後で使用する関連テーブルを含むレイヤーを作成します。これによって、複数のフォームを 1 つの位置に関連付けます。代わりに、現在の状態のみが重要である場合、レイヤーが調査に使用された後に、モバイル作業者が対象物および観測点の位置を更新する必要がなくなるため、そのレイヤーに対する編集権限を再評価することが必要になります。レイヤーを調査に使用する準備ができたら、モバイル作業者を属性の更新に制限して、モバイル作業者が既知の位置を誤って変更するのを防ぐことをお勧めします。

レイヤーを作成する場合には、ホストフィーチャレイヤーを作成することをお勧めします。ただし、ArcGIS Server を編集可能なレイヤーに対して使用することが必要になる場合があります。この操作はサポートされています (ただし、このヘルプではサービスの作成方法について、詳細な説明はありません)。「新しい編集可能なレイヤーでの ArcGIS Server の使用」をご参照ください。

既存の収集データへの追加

モバイル作業者は、既存の対象物目録または観測点のセットを補完して、(位置およびフォームを含めて) 追加の対象物または観測点を取得します。そのようなプロジェクトにとって、多くの場合、QA および QC が重要であるため、推奨されるワークフローは、QA および QC をサポートするワークフローです。

収集プロジェクト中に新しく追加された対象物および観測点を保持するために、編集可能なホストフィーチャレイヤーを作成します。プロジェクトが完了した後に、追加内容を確認し、信頼できる (既存の) レイヤー (別のホストフィーチャレイヤーまたは ArcGIS Server 上のいずれか) にインポートします。
ArcGIS Server フィーチャサービスで、新しい対象物および観測点を既存のバージョン対応登録されたデータに追加します。バージョン対応登録されたデータを使用して、リコンサイルおよびポストによって、QA/QC ワークフローを可能にします。
新しい対象物および観測点を既存のレイヤーに追加し、それらに確認のためのフラグを付けます。「new」や「not reviewed」などのデフォルト値を使用して、対象物または観測点が確認されたかどうかを示す非表示フィールドを含めます。この値は、QA/QC 中に (たとえば、「reviewed」に) 更新されます。新しい対象物または観測点は、収集されたときに、信頼できるレイヤーの一部になることができますが、フラグエントリが、レイヤーが確認中であるかどうかをユーザーに示します。ホストフィーチャビューを使用して、信頼できるレイヤーが、確認中の対象物または観測点を表示するかどうか、あるいは確認中の対象物または観測点を除外するかどうかを選択することもできます。

既存のレイヤーを使用する場合、そのレイヤーは、編集可能なデータの要件を満たす必要があります。

既存の対象物および観測点に対して現地調査を行う

モバイル作業者は、既存の対象物または観測点を調査し、それらが現場で見たものと一致しない場合に、必要に応じて位置およびフォームを更新します。プロジェクトレイヤーの推奨事項は、既存のレイヤーの格納方法、および QA と QC が必要であるかどうかに基づきます。次の既存のレイヤーに関する推奨事項があります。

既存のレイヤーまたはサービスを使用する場合は、「編集可能なレイヤーの要件」をご参照ください。

既存の編集可能なホストフィーチャレイヤー

既存の編集可能なホストフィーチャレイヤーが存在し、QA/QC が不要である場合、その既存のレイヤーを使用します。プロジェクトが QA/QC を必要とする場合、プロジェクトレイヤーに関して、2 つの推奨される構造があります。次のうちから、自分の組織のワークフローに最も良く適合するものを選択してください。

プロジェクト用の編集可能なホストフィーチャレイヤーを作成し、そのレイヤーに既存のレイヤーをインポートします。プロジェクトの実施中に何が変更されたかを知るために、変更を示すフラグを含めるか、編集情報の記録を使用します。プロジェクトが完了した後に、変更内容を確認し、信頼できる (既存の) レイヤーに追加します。
編集された対象物および観測点に確認用のフラグを付けるために、エントリを既存のホストフィーチャレイヤーのフォームに追加します。プロジェクト用の既存のホストフィーチャレイヤーを使用して、フラグが付けられた対象物および観測点を確認します。

ArcGIS Server フィーチャサービスでの既存のバージョン対応登録されたデータ

既存のバージョン対応登録されたデータが ArcGIS Server フィーチャサービスに存在する場合、その既存のサービスを Collector で使用します。レイヤーがバージョン対応であるため、編集内容をシステムの現在の状態を表すバージョンに反映する前に、品質保証の確認を実行します (バージョン対応登録されたデータは、リコンサイルおよびポストによるワークフローを可能にします)。

編集可能な ArcGIS Server フィーチャサービスでの既存の履歴管理が有効なバージョン非対応のデータ

履歴管理が有効なバージョン非対応のデータが編集可能な ArcGIS Server フィーチャサービスに存在し、QA/QC が不要である場合、その既存のレイヤーを使用します。プロジェクトが QA/QC を必要とする場合、プロジェクトレイヤーに関して、3 つの推奨される構造があります。次のうちから、自分の組織のワークフローに最も良く適合するものを選択してください。

プロジェクト用の編集可能なホストフィーチャレイヤーを作成し、そのレイヤーに既存のレイヤーをインポートします。プロジェクトの実施中に何が変更されたかを知るために、変更を示すフラグを含めるか、編集情報の記録を使用します。プロジェクトが完了した後に、変更内容を確認し、信頼できる (既存の) レイヤーに追加します。
編集された対象物および観測点に確認用のフラグを付けるために、エントリを既存のレイヤーのフォームに追加します。プロジェクト用の既存のレイヤーを使用して、フラグが付けられた対象物および観測点を確認します。
データをバージョン対応登録し、プロジェクトで使用するために、ArcGIS Server フィーチャサービスを公開します。リコンサイルおよびポストを使用して変更内容を確認し、それらの変更内容をバージョン対応登録されたデータに反映し、その後、元のバージョン非対応のデータにインポートします。

Collector での編集がサポートされていない既存のレイヤー

Collector での編集がサポートされていない既存のレイヤーが存在し、QA/QC を必要としない場合、プロジェクト用の編集可能ホストフィーチャレイヤーを作成し、そのレイヤーに既存のレイヤーをインポートします。プロジェクトが QA/QC を必要とする場合、プロジェクトレイヤーに関して、2 つの推奨される構造があります。次のうちから、自分の組織のワークフローに最も良く適合するものを選択してください。

プロジェクト用の編集可能なホストフィーチャレイヤーを作成し、そのレイヤーに既存のレイヤーをインポートします。プロジェクトの実施中に何が変更されたかを知るために、変更を示すフラグを含めるか、編集情報の記録を使用します。プロジェクトが完了した後に、変更内容を確認します。
プロジェクト用のバージョン対応登録されたデータを ArcGIS Server フィーチャサービスで作成し、そのデータに既存のレイヤーをインポートします。プロジェクトが完了した後に、リコンサイルおよびポストを使用して変更内容を確認し、それらの変更内容をバージョン対応登録されたデータに反映します。

その後、新しいレイヤーが信頼できるレイヤーになり、ArcGIS Server にインポートされるか、以前の形式でエクスポートされます。

現在の状態を記録する (過去の記録がない)

モバイル作業者は、調査に基づいてフォームを更新します。プロジェクトの推奨事項は、既存のレイヤーの格納方法に基づき、プロジェクトの現地調査に関して上で示された推奨事項に一致します。

プロジェクトの現地調査に関する推奨事項に加えて、モバイル作業者を属性の更新に制限して、モバイル作業者が既知の位置を誤って変更するのを防ぐことをお勧めします。これを実行するための 1 つの方法は、属性の更新のみを許可するホストフィーチャレイヤービューを作成することです (「モバイル作業者が利用できるデータを制限する」を参照)。これを実行する 1 つのメリットは、高精度の GPS 位置が更新されないことを保証し、記録されたメタデータを維持することです。

過去の記録とともに現在の状態を記録する

モバイル作業者は、新しい関連するフォームを調査に関するレポートに追加します。過去のレポートが重要である場合、関連テーブルを使用して調査を取得します。これによって、複数のフォームを 1 つの位置に関連付けます。過去の記録を使用しないで現在の状態を記録するモバイル作業者と同様に、この作業者も、対象物および観測点の位置を更新しません。

プロジェクトの推奨事項は、既存のレイヤーの格納方法に基づき、プロジェクトの現地調査に関して上で示された推奨事項に一致します。ただし、既存のレイヤーが関連テーブルを含んでいない場合、既存のレイヤーを、関連テーブルを含んでいる新しいレイヤーにインポートすることをお勧めします。このレイヤーは、新しいホストフィーチャレイヤーまたは ArcGIS Server フィーチャサービスにすることができます。

新しい編集可能なレイヤーに対する ArcGIS Server の使用

新しいレイヤーを作成している場合は、ホストフィーチャレイヤーを作成することをお勧めします。ただし、編集可能なレイヤーに ArcGIS Server を使用する必要がある場合もあります。これは Collector でサポートされていますが、そのようなサービスを作成するための手順は、このヘルプでは詳細に扱われません。実行しているデータ収集プロジェクトのタイプに基づいて、ArcGIS Server フィーチャサービスに関するいくつかの推奨事項を以下に示します。

ArcGIS Server を使用して対象物または観測点を取得している場合 (対象物目録を作成すること、新しい観測点を記録すること、および対象物または観測点を既存の収集データに追加することを含む)、履歴管理が有効なバージョン非対応のデータをフィーチャサービスで使用することをお勧めします。各モバイル作業者は同じ対象物または観測点を編集していないため、競合解決を管理するために、バージョン対応登録されたデータは必要ありません。バージョン対応登録されたデータのもう 1 つのメリットは、システムの現在の状態を表すバージョンにデータを反映する前に、品質管理を実行できることです。ただし、新しいデータの取得は、独立して管理され、信頼できるデータの外部で実行される必要があります。データ品質は、バージョン対応登録されたデータの管理の一部としてではなく、プロジェクトの一部として確認できます。データ品質が確認された後に、そのデータを信頼できるデータにマージすることができます。今後、このデータが、信頼できるデータとして維持される可能性が高く、元々取得されていたデータは、維持のために使用されなくなります。 ArcGIS Server フィーチャサービスのデータ要件をご参照ください。

ArcGIS Server を使用して、既存のデータに対して現地調査を行う場合、または調査を実行する場合、バージョン対応登録されたデータをフィーチャサービスで使用することをお勧めします。各モバイル作業者は同じ対象物または観測点を調査しないかもしれませんが、すでに本番データベース内に存在し、組織全体で使用されているデータをモバイル作業者が編集することがよくあります。編集内容をシステムの現在の状態を表すバージョンに反映する前に、品質保証の確認を実行します (バージョン対応登録されたデータは、リコンサイルおよびポストによるワークフローを可能にします)。

フォームの設計

モバイル作業者は、フォームを利用します。レイヤーを準備するときに、フォームのエントリがレイヤーの構造によって決定されるということに注意してください。つまり、レイヤー内のフィールドが、モバイル作業者が Collector で使用するフォーム内のエントリになります。レイヤーを作成する場合、フィールドをレイヤーに追加するときに、このことを考慮してください。既存のレイヤーを使用する場合、より良いフォームを提供するように、そのレイヤーを更新することを検討します。


フォームのエントリ	エントリをサポートするデータ
ドロップダウンリスト	コード値ドメインを使用して、モバイル作業者に有効な選択肢のリストを提供します。サブタイプを使用して、他のエントリで行った選択に基づいて選択肢を制限することもできます。
数値範囲	範囲ドメインを使用することによって、有効な値の範囲を規定します。
必要な情報	必須フィールドを使用して、フォームの特定にエントリに情報を入力するようにモバイル作業者に対して強制します。
デフォルト値	新しいフォーム内のエントリに入力されるデフォルト値を提供します。
日付の選択	フォーム内で日付選択操作をモバイル作業者に提供するように、(文字列ではなく) 日付フィールドタイプを使用します。
写真、ビデオ、ドキュメントまたはオーディオクリップの添付メモ: オーディオ添付とドキュメント (.doc、.docx、.pdf、.xls、*.xlsx) は、iOS でのみサポートされています。	レイヤーに対してアタッチメントを有効化します。
バーコードまたは QR コードのスキャンからの情報	Collector を使用して、バーコードまたは QR コードをスキャンすることによって、テキストエントリまたは文字列エントリにデータを入力できます。
GPS メタデータの記録	GPS メタデータを記録するために、レイヤーを準備します。 (これは単に、高精度なデータ収集を準備することの一部です)。これは、ポイントレイヤーでサポートされています。
編集情報の記録	誰がデータを収集または変更しているかを知る必要がある場合、レイヤーに対して編集情報の記録を有効化します。そうすると、Collector が自動的にその情報を記録します。