高精度のデータ収集の準備

位置情報を収集する際に必要な精度は、作業しているプロジェクトによって異なります。 被害評価などのプロジェクトでは、被害から 10 フィート以内のポイントで十分な情報が得られる場合があります。 地下パイプラインの管理などのプロジェクトでは、収集する位置情報は実際の場所から数センチメートル以内である必要があります。 デバイスの位置情報サービスを使用して位置情報を収集するとき、位置情報は GPS、モバイル データ通信、Wi-Fi、Bluetooth ネットワークなど、さまざまなソースから判定できます。 これらのソースの精度は変化し、デバイスの位置情報サービスは常に信頼できるわけではありません。 高い精度と信頼できる品質管理が必要なデータ収集を行うユーザーにとって、通常は専門家向けまたは高精度な GPS 受信機を使用することが最善の選択です。

メモ:

GNSS (全世界的航法衛星システム) は、航法衛星システムの標準的な総称です。 GNSS 受信機は、さまざまな航法衛星システムを使用できます。一方、GPS 受信機は、全地球測位システムと呼ばれる航法衛星システムのみを使用できます。 GPS という用語は両方の受信機を指す用語として広く使用されているため、このヘルプでは GPS という用語を総称として使用しています。

高精度な GPS 受信機は、GPS 衛星からの情報を使用して、地理的な位置を正確に計算します。 これらの受信機の精度は、衛星信号をトラックおよび処理する機能に応じて、数メートルからセンチメートルになります。 GPS 衛星信号は、さまざまな周波数で伝送されます。 GPS 受信機が使用する周波数が高いほど、結果的に多くの信号も受信することになるため、精度が高くなります。 これは、全世界的航法衛星システム (GNSS) の数についても当てはまります。受信機が使用するシステムが多いほど (多くの信号を受信するほど)、精度が高くなります。 今日では、複数の航法衛星システムを利用できます。 ただし、通常は GPS 受信機の精度が高くなるほど、受信機は高価になり、現場に持ち運ぶことが困難になります。 また、位置情報の精度は、このトピックで後述するデータの差分補正 (一部の受信機でサポート) によっても改善できます。

Collector で高精度の受信機を使用するには、次の手順を実行します。

GPS メタデータを記録するためのデータの準備

地理座標のほかに、精度や補正タイプなど、フィーチャに関連付けられたその他の GPS メタデータも保存したい場合があります。 このメタデータの保存は、データ品質を評価したり、データ収集の標準が満たされていることを確認するときに役立ちます。 ポイント フィーチャ レイヤーに GPS メタデータ フィールドを追加すると、ポイント フィーチャの編集時に Collector が GPS メタデータを対応するフィールドに書き込むことができます。 また、一部のデータをモバイル ワーカーには表示しないように、フィーチャのポップアップを構成する必要もあります。

メモ:

このトピックは高精度の受信機を対象としていますが、これらの手順を実行することで、デバイスの内部 GPS を含む任意の GPS からメタデータを記録することができます。 内部 GPS を使用している場合、すべてのメタデータ フィールドに値が設定されるわけではありません。

GPS メタデータの格納を構成する前に、注意すべき点がいくつかあります。

  • GPS メタデータを指定できるのは、ポイント レイヤーのみです。
  • ポイントの位置情報が GPS を使用せずに入力または更新された場合、およびメタデータが利用できない場合、GPS メタデータは消去されます。

フィールドの追加に推奨される方法は、レイヤーの準備方法によって異なります。

サポートされている GPS メタデータ

構成済みのフィーチャ レイヤーを使用している場合に Collector で記録される GPS メタデータ値は次のとおりです。

  • 受信機名
  • 緯度 - 位置情報プロファイルにデータ変換を適用する前に GPS 受信機から受信した位置
  • 経度 - 位置情報プロファイルにデータ変換を適用する前に GPS 受信機から受信した位置
  • 高度 - GPS 受信機から受信した楕円体の高さ (z 値に使用されるような海抜高度ではない)
  • 補正時間
  • 移動方向
  • 速度 (km/h)
  • Azimuth
  • 位置ソース

単一の GPS 位置を使用してポイントの位置を設定している場合、次のメタデータ値も記録されます。

  • 水平精度
  • 垂直精度
  • PDOP
  • HDOP
  • VDOP
  • 補正タイプ
  • 補正の有効期間
  • ステーション ID
  • 衛星数

GPS 平均化を実行してポイントの位置を設定している場合、次のメタデータ値も記録されます。

  • 平均水平精度
  • 平均垂直精度
  • 平均化された位置の数
  • 標準偏差 - 平均化で記録された最終的な平均化後の位置と個々の位置間のばらつきを距離で示します。 高い値は、位置が外れ値の影響を受けていたことを示します。

どの値をデータに記録するかを選択できます。フィーチャ レイヤーに追加しないフィールドの値は無視されます。 同様に、単一の GPS 位置、平均化された位置、またはその両方のデータを設定できます。平均化が有効の場合、関連フィールドに値が入力され、単一位置収集のフィールドは空白のままになります。無効の場合は、その逆となります。

メモ:

Collector の設定で、精度に対して 95% の信頼度を有効にした場合、データ収集の精度が許容できるかどうかの判定に 95% の信頼度が使用されます。 記録される精度は、二乗平均平方根 (RMS) を使用して計算されます。 そのため、記録される精度の信頼度は、水平精度は 63 ~ 68%、垂直精度は 68% です。

受信機の選択

Collector は、デバイスに組み込まれた GPS を使用したり、外部の GPS 受信機を追加して高精度なデータを取得することができます。 市場では多くの GPS 受信機を入手できますが、すべての機種を Collector で直接使用できるわけではありません。 GPS 受信機を Collector で使用するには、受信機が NMEA センテンスの出力をサポートしている必要があります。 位置の精度を改善するために、差分補正をサポートする GPS 受信機の使用を検討してください。 iOS デバイスを使用している場合は、iOS でサポートされている GPS 受信機の 1 つを選択する必要もあります。 Esri は、Android でサポートされている GPS 受信機のリストを公開していませんが、AndroidCollector のテストを行った受信機のリストを提供しています。

ヒント:

ほとんどの高精度の GPS 受信機は Collector が使用する NMEA センテンスをサポートしていますが、Collector に接続する前に、受信機がこれらの NMEA センテンスをサポートしているかどうかを受信機のユーザー マニュアルで確認することをお勧めします。

NMEA のサポート

NMEA 0183Collector が GPS 受信機との通信に使用するデータ仕様規格です。 NMEA メッセージには、センテンスと呼ばれる複数の行が含まれています。 Collector は、NMEA メッセージの特定のセンテンスを読み取ることで、緯度、経度、高さ、補正タイプなどの GPS 情報を取得します。

CollectorNMEA 4.00 および 4.10 をサポートしています。 次の NMEA センテンスを読み取ることができます。

  • GGA: 時間、位置、補正関連データ
  • GSA: GNSS DOP およびアクティブな衛星
  • GSV: GNSS 衛星の位置や信号強度
  • RMC: 時刻、緯度・経度などの基本的な GNSS データ
  • VTG: 進行方向と対地速度
  • GST: GNSS 疑似誤差統計

Collector は、特定の座標の精度情報を含む GST センテンスを受信する場合、それらを使用して精度を判定します。 デフォルトでは、水平精度と垂直精度の数値は、二乗平均平方根 (RMS) で指定されます。 RMS を使用した信頼度は、水平精度は 63 ~ 68%、垂直精度は 68% です。 [95% の信頼度] の精度設定が有効な場合、Collector は変換係数を RMS の計算に適用し、95% の信頼度を使用して水平精度と垂直精度を報告します。

メモ:

一部の Android デバイスの内部 GPS は NMEA を出力します。 デバイスが無効な NMEA を出力する場合、Collector はデバイスの位置情報サービスが報告する精度を使用します。

推定精度

Collector が GPS 受信機から GST センテンスを受信せず、GSA センテンスを受信した場合、Collector は水平精度低下率 (HDOP) と垂直精度低下率 (VDOP) を使用して精度を推定します。 推定水平精度は HDOP に 4.7 を乗算して算出され、推定垂直精度は VDOP に 4.7 を乗算して算出されます。

差分補正

位置の精度を改善するために、差分補正をサポートする GPS 受信機の使用を検討してください。 差分補正テクノロジは、基準局 (基地局) を活用して精度を大幅に改善します。 基準局は、既知の位置に設置されている別の GPS 受信機です。 基準局は、衛星信号に基づいて自分の位置を推定し、この推定位置を既知の位置と比較します。 これらの位置の差異が、ユーザーの GPS 受信機 (ローバー) が計算した推定 GPS 位置に適用され、より正確な位置が取得されます。 差分補正を行うには、ユーザーの受信機が基準局から一定の距離内にある必要があります。 差分補正は、現場でリアルタイムに適用したり、オフィスでのデータの後処理時に適用したりできます。

メモ:

Collector は後処理で使用する情報を保存しますが、その情報を直接サポートしているわけではありません。

差分補正は、パブリックまたは商用のソースによって指定できます。 最も広く使用されパブリックにアクセスできるリアルタイムの補正ソースの 1 つは、SBAS (衛星型衛星航法補強システム) です。米国では一般に WAAS (Wide Area Augmentation System) とも呼ばれています。 SBAS は自由に使用できますが、GPS 受信機が SBAS をサポートしている必要があります。 商用の補正サービスを使用するには通常、サブスクリプションが必要で、これらの補正信号を受信できる特定タイプの GPS 受信機を購入する必要がある場合もあります。 詳細については、ArcUser の「Differential GPS Explained」をご参照ください。

iOS でサポートされている GPS 受信機

iOS デバイスに Bluetooth 受信機を直接接続するには、受信機が NMEA センテンスの出力をサポートするとともに、MFi プログラムの一部である必要があります。 サポートされている iOS デバイス上で Collector とともに直接使用できる受信機を次に示します。

ヒント:

GPS 受信機が使用するファームウェアのバージョンを調べるには、受信機をデバイスと接続し、デバイスの [一般] > [情報] 設定を開いて、接続した受信機の名前をタップします。

  • Bad Elf GNSS SurveyorGPS Pro+GPS Pro、および GPS for Lightning Connector

    GNSS Surveyor および GPS Pro+ はファームウェア バージョン 2.1.40 以降が必要です。 GPS Pro には、ファームウェアのバージョン 2.0.90 以降が必要です。 GPS for Lightning Connector には、ファームウェアのバージョン 1.0.24 以降が必要です。

  • Dual XGPS160 - ファームウェアのバージョン 2.5.4 以降
  • Eos Arrow LiteArrow 100Arrow 200、および Arrow Gold - ファームウェアのバージョン 2.0.251 以降
  • Garmin GLO および GLO 2

    GLO はファームウェアのバージョン 3.00 以降、GLO 2 はファームウェアのバージョン 2.1 以降が必要です。

  • Geneq SxBlue II および SxBlue III - ファームウェアのバージョン 2.0.251 以降
  • Juniper Systems Geode - ファームウェアのバージョン 1.0.0 以降
  • Leica Zeno GG04 plus - プロセッサー ボード ファームウェアのバージョン 1.0.20 以降
  • Trimble R1R2、および R10 Model 2

    Trimble R1 はファームウェア バージョン 5.03 以降、Trimble R2 はファームウェア バージョン 5.14 以降、および Trimble R10-2 はファームウェア バージョン 5.34 以降が必要です。

    これらの受信機は、Collector で直接構成する必要があります。 Trimble が提供する GNSS Status アプリを使用しないでください。 iOSTrimble構成をご参照ください。

Android でテスト済みの GPS 受信機

Collector は、NMEA 0183 センテンスを出力する、Android でサポートされている受信機で動作します。 開発チームは、いずれのデバイスも保証はしていませんが、次のリストは、使用されたことのあるデバイスのリストです。

注意:

これには、Collector で動作するすべてのデバイスが網羅されているわけではありません。

  • Bad Elf GNSS SurveyorGPS Pro+、および GPS Pro
  • Carlson BRx6+
  • Dual XGPS150A および XGPS160
  • Eos Arrow LiteArrow 100Arrow 200、および Arrow Gold
  • Garmin GLO
  • Juniper Systems Geode
  • Leica GG03GG04、および Zeno 20
  • Spectra Precision SP20SP60SP80、および SP85
  • Trimble R1R2R8sR10R10 Model 2R12CatalystTDC100TDC150TDC600、および Nomad 5

    受信機を構成するには、Trimble Mobile Manager を使用する必要があります。 Trimble GNSS Status アプリを使用しないでください。

受信機の構成

NMEA センテンスの出力をサポートするすべての受信機が、すぐに使用できるように構成されているわけではありません。 デバイスのユーザー マニュアルには、NMEA を出力するように構成する方法が記載されているはずです。

RTK (Real-Time Kinematic) 位置計測を使用する場合は、使用している補正ソースのアクセス情報を設定する必要があります。 Trimble デバイスを iOS デバイスで使用する場合、位置プロバイダーの設定の一環として、この情報を Collector に設定します (「iOS での Trimble の構成」を参照)。 他の GPS デバイスでは、関連アプリを使用して、そのデバイスのユーザー マニュアルを参照できます。

受信機とデバイスの接続

Collector は、デバイスに統合されている受信機と、Bluetooth で接続されている外部の受信機をサポートしています。 受信機がデバイスに統合されている場合は、次の受信機の位置プロバイダーとしての設定セクションに進みます。 外部の受信機を使用している場合は、以下の手順に従いデバイスに接続します。

  1. GPS 受信機が Collector と互換性があることを確認します。

    受信機は、NMEA センテンスの出力をサポートし、出力するように構成されている必要があります。 「受信機の選択」および「受信機の構成」をご参照ください。 これらの手順は、受信機を Collector に接続する前に完了しておく必要があります。

  2. 受信機の電源を入れ、デバイスの近くに置きます。

    デバイスの Bluetooth 設定に移動し、利用可能なデバイスを表示します。 リストに受信機の名前が表示されるまで待ちます。

    ヒント:

    Bluetooth 受信機がリストに表示されない場合は、別のデバイスに接続されていないことを確認します。

    • iOS デバイスから受信機を切断するには、デバイスの Bluetooth 設定で、受信機の横にある情報アイコンをタップし、[このデバイスの登録を解除] をタップして、[デバイスの登録を解除] をタップします。
    • Android デバイスから受信機を切断するには、デバイスの Bluetooth 設定で、受信機の横にある設定アイコンをタップし、[切断] または [削除] をタップします。
  3. デバイスとペアリングする受信機の名前をタップします。

受信機の位置プロバイダーとしての設定

GPS 受信機をデバイスに接続したら、この受信機が Collector に GPS 位置を提供するように指定します。 受信機を選択した後は、新しい受信機を選択するまで、この受信機が使用される位置情報の唯一のソースになります。

  1. [マップ] リストが表示されているときに、[プロファイル] プロフィール をタップします。
  2. プロファイルの [位置情報] セクションで、[プロバイダー] をタップします。
  3. 受信機が表示されない場合は、次の手順を実行して受信機を追加します。
    1. [追加] をタップして、ペアリングされる受信機のリストを表示します。
    2. 受信機を選択します。
    3. 受信機を柱または乗り物に取り付けている場合は、アンテナ高を入力します。

      この設定は、高度を位置情報として使用する場合に重要です。

    4. Trimble R1R2、または R10-2iOS デバイスで使用している場合、「iOS での Trimble の構成」をご参照ください。
    5. [終了] をタップします。

    [位置プロバイダー] リストに戻り、受信機が表示されます。

  4. [位置プロバイダー] リストで受信機をタップします。
  5. アンテナ高を変更する必要がある場合、プロバイダーの詳細を表示し、新しいアンテナ高を指定して、[完了] をタップします。
    • Android で、プロバイダーの [オーバーフロー] メニュー オーバーフロー をタップし、[詳細] をタップして、プロバイダーの詳細を表示します。
    • iOS では、[情報] 情報 をタップしてプロバイダーの詳細を表示します。
  6. プロファイルに戻り、[マップ] リストに戻ります。

iOS での Trimble の構成

iOS デバイスで Trimble R1R2、または R10 Model 2 を使用している場合、Collector でデバイスに対して補正サービスを構成します。 マップの作成者は、Collector で位置プロバイダーを設定するか、モバイル ワーカーに補正ソース (NTRIP や RTX など) と接続に必要な情報 (サーバーの URL、ポート、マウント ポイントなど) を提供する必要があります。

メモ:

Collector を操作する際、Trimble が提供する GNSS Status アプリを使用しません。 iOS で、Collector の受信機を構成する必要があります。また、Android では、Trimble Mobile Manager を使用して受信機を構成する必要があります。

  1. 受信機を位置プロバイダーとして設定します (設定していない場合)。

    ステップ 3d では、このセクションで説明されている追加手順を実行します。

  2. 受信機の詳細で、[ソース] をタップして補正ソースを指定します。 たとえば、Direct IP、NTRIP、RTX、SBAS などです。

    選択すると、受信機の詳細が再び表示されます。 [リアルタイム補正] セクションに、補正ソースで必要な構成情報が表示されます。

  3. RTX または SBAS を使用している場合、構成は完了です。 受信機の位置プロバイダーとしての設定を完了します。
    メモ:

    RTX はインターネットおよび衛星接続を利用した補正をサポートしています。 インターネット接続が利用できない場合、衛星補正が使用されます。

  4. DirectIP または NTRIP を使用している場合、[サーバー] をタップし、ベース ステーションの URL とポートを入力して [接続] をタップします。
  5. NTRIP を使用している場合、[マウント ポイント] をタップして、接続する必要があるマウント ポイントを選択します。 プロンプトが表示されたら、ユーザー名とパスワードを入力します。
  6. 受信機の位置プロバイダーとしての設定を完了します。
ヒント:

位置プロバイダーを設定した後に期待どおりの精度が確認できない場合は、構成を確認してください ([位置プロバイダー] リストで受信機の [情報] 情報 をタップします)。 精度が低い場合、設定が無効な可能性があります。 接続に問題が発生している可能性もあります。

位置情報プロファイルの設定 (オプション)

受信機を接続したら、モバイル ワーカーは位置情報プロファイルを使用して、受信機からのデータの座標系を定義し、必要な場合は測地基準系変換をデータに適用する必要があります。 差分補正を使用していて、提供される位置が基づく地理座標系がマップと異なる場合は、測地基準系変換の情報を提供する必要があります。 詳細については、「測地基準系変換」をご参照ください。

メモ:

位置情報プロファイルは、内部と外部の両方の受信機に適用されます。 補正サービスを使用している場合は、位置情報プロファイルを使用することをお勧めします。 位置情報プロファイルを設定していない場合、デフォルトのプロファイルが使用されます。 デフォルトのプロファイルは、提供された位置が WGS 1984 Web メルカトル (球体補正) [WGS84] 座標系であることを想定しています。

デフォルト以外の位置情報プロファイルを使用する場合、位置情報プロファイルの空間参照と一致しないベースマップは使用できません。

  1. [マップ] リストが表示されているときに、[プロファイル] プロフィール をタップします。
  2. プロファイルの [位置情報] セクションで、[プロファイル] をタップします。
  3. プロファイルが表示されない場合は、次の手順を実行してプロファイルを追加します。
    1. [追加] をタップして、座標系のリストを表示します。
    2. [GNSS 座標系] リストで、受信機の補正サービスで使用されている座標系をタップします。 座標系の名前または ID で検索して、リストの結果をフィルタリングできます。 Android デバイスを使用する場合は、[次へ] をタップします。
    3. [マップ座標系] リストで、マップで使用される座標系 (マップが使用するベースマップによって決まる) をタップします。 座標系の名前または ID で検索して、リストの結果をフィルタリングできます。 Android デバイスを使用する場合は、[次へ] をタップします。
      注意:

      一部の投影座標系および地理座標系の名前は同じです。 正しいカテゴリから座標系を選択するようにします。

    4. 受信機の補正サービスとマップの座標系間で測地基準系変換が不要な場合は、[次へ] (Android) または [完了] (iOS) をタップして手順 g (プロファイルの命名) に進みます。
    5. 受信機の補正サービスとマップの座標系間で測地基準系変換が必要な場合は、マップ範囲をデータ収集エリアに設定して [次へ] をタップします。
      メモ:

      Wi-Fi や携帯電話のネットワークを介してデバイスがオンラインにアクセスしている場合は、データ収集エリアのみを指定できます。 オフラインの場合、データ収集エリアの指定はスキップされます。

    6. 使用可能な座標変換リストで目的の測地基準系変換をタップして [次へ] (Android) または [完了] (iOS) をタップします。

      iOS デバイスを使用しており、測地基準系変換がグリッド ベースでダウンロードする必要がある場合は、その横に [ダウンロード] ダウンロード が表示されます。 座標変換をタップすると、必要なファイルがダウンロードされ、位置情報プロファイルの作成を続行できます。 ファイルをデバイスに直接コピーする (サイドロードする) 場合は、プロファイルを作成する前に行う必要があります。

      ヒント:

      Android では、グリッドベースの測地基準系変換は、プロファイルを作成する前にデバイスに直接コピーする必要があります。 グリッドベースの測地基準系変換のダウンロードは、Android にも対応する予定です。

      メモ:

      測地基準系変換リストは関連性で並べ替えられ、最も関連性のある座標変換が最初に表示されます。 Collector は、GNSS 座標系、マップ座標系、および (指定されている場合は) データ収集範囲を使用して、該当する測地基準系変換のリストを提供および並べ替えます。

    7. プロファイルの名前を入力し、[追加] (Android) または [保存] (iOS) をクリックします。

    [位置情報プロファイル] リストに戻り、プロファイルが表示されます。

  4. [位置情報プロファイル] リストでプロファイルをタップします。
    ヒント:

    プロファイルの座標系と座標変換を確認するには、プロファイルの詳細を表示します。 Android では、[オーバーフロー] メニュー オーバーフロー を通じて詳細にアクセスします。 iOS では、[情報] 情報 をタップします。

  5. プロファイルに戻り、[マップ] リストに戻ります。

測地基準系変換

受信機から提供される位置が基づく地理座標系が Collector で使用しているマップと異なる場合があります。 この場合、データの精度を維持するために測地基準系変換を使用します。

GPS から位置を受信し、それを使用してフィーチャを追加または更新する場合、その位置は地理座標系 (GCS) で参照される地理座標です。 マップには、使用されているベースマップによって決まる座標系もあります。これは、GCS または投影座標系 (PCS) です。 位置とマップが基づく地理座標系が異なる場合、追加または更新される位置をマップの座標系に合わせて変換する必要があります。 この変換プロセスを測地基準系変換と呼びます。 測地基準系変換には水平方向と垂直方向がありますが、Collector がサポートしているのは水平方向の変換のみです。

座標、マップ、フィーチャ レイヤー、データベースにはすべて座標系があるため、データの使用箇所と座標系が一致しない場合 (GPS とマップ、マップとフィーチャ レイヤー、フィーチャ レイヤーとジオデータベース) は、必ず測地基準系変換を行う必要があります。 測地基準系変換が使用されると、必ず位置に誤差が生じます。 マップ、フィーチャ レイヤー、データベースに適切な座標系を選択することで、変換の数と変換のたびに発生する誤差を制限することができます。 さまざまな変換により発生する誤差の詳細については、「ArcGIS の地理座標系変換および鉛直座標変換テーブル」をご参照ください。

メモ:

座標系が一致せず、測地基準系変換が指定されていない場合、データは提供された状態のまま使用されます。 その結果、その位置は他の既存データの位置と整合しなくなります。 同様に、間違った測地基準系変換を指定した場合も、正しくない位置が表示されます。

Collector では、収集前に位置情報プロファイルを設定して、使用する特定の測地基準系変換を指定することができます。 位置情報プロファイルを作成するとき、GPS データとマップの座標系が指定されます。 この情報に基づき、関連する変換方法のみが提示されます。推奨される方法が最初にリストされます。 マップ作成者は、Collector で位置プロバイダーおよびプロファイルを設定するか、GPS とマップの座標系と、Collector の構成時に使用する必要がある変換方法をモバイル ワーカーに提供する必要があります。

ArcGIS OnlineEsri が提供しているベースマップの 1 つを使用している場合、その座標系は WGS84 です。 同様に、Collector で受信する GPS データのデフォルトの座標系は WGS84 です。 ArcGIS Online のベースマップとデフォルトの位置プロバイダーを使用している場合、Collector で測地基準系変換を使用する必要はありません。

グリッドベースの座標変換

グリッドベースの座標変換は Collector でサポートされています。 これらの座標変換は位置を計算するためにファイルを使用し、ファイルがデバイス上に存在する必要があります。 グリッドベースの座標変換を使用するには、ファイルをデバイスにダウンロード (iOS のみ) またはコピー (サイドロード) する必要があります。

  • iOS の場合 - 測地基準系変換がグリッドベースで、ファイルが必要な場合、位置情報プロファイルの設定時にファイルをダウンロードするように求められます。 必要であれば、デバイスにファイルを直接コピーすることも可能です。
  • Android の場合 - グリッドベースの測地基準系変換に必要なファイルを、デバイスに直接コピーする必要があります。

ファイルをデバイスに直接コピーする場合、ArcGIS Pro または ArcMap のインストールからファイルを入手できます (特定のグリッドベースの座標変換ファイルを入手するには、メインとなる製品のセットアップに加えて、[座標系データ] セットアップのインストールが必要な場合もあります)。 次のいずれかの方法で、デバイスにコピーします。

  • Android の場合 - デバイスまたは SD カードをコンピューターに接続します。 コンピューターのファイル エクスプローラーを使用して、\Android\data\com.esri.collector\files\PEData フォルダーを参照します (フォルダーが存在しない場合は作成します)。 グリッドベースの測地基準系変換のファイルを、その PEDdata フォルダーにコピーします。
  • iOS の場合 - ファイル アプリまたは iTunes を使用して、グリッドベースの座標変換用のファイルを Collector のドキュメントにコピーして、それを PEData フォルダーに配置します。
    ヒント:

    iTunes を使用してアプリのドキュメント内のフォルダーを更新するには、まずデバイスのフォルダーを保存し、変更を加えてからアップロードします。 前のフォルダーに代わって、新しいフォルダーが表示されます。

PEData フォルダー内の構造は、ArcGIS Pro または ArcMap での構造化と同じように維持する必要があります。 たとえば、Old_Hawaiian_To_NAD_1983_HARN_Hawaii + ~NAD_1983_To_HARN_Hawaii 座標変換用のファイルをコピーするには、デバイスの PEData フォルダーに、ファイル ohdhihpgn.lasohdhihpgn.loshihpgn.las、および hihpgn.los を含む harn フォルダーを追加します。

必要な精度と信頼度の指定

組織によっては、収集するすべてのデータが特定の最低精度と信頼区間を満たす必要がある場合があります。 Collector で、GPS 位置の必要な精度、および位置が 95% の信頼度を満たす必要があるかどうかを設定できます。 これによって、収集されたデータが組織のデータ収集の標準を満たすことを保証します。

詳細な手順については、「Collector の構成 - 必要な精度と信頼度の指定」をご参照ください。

メモ:

このトピックでは、モバイル ワーカーにデバイスをセットアップすることを前提とします。 セットアップしない場合は、必要な精度および 95% の信頼度の要否について、モバイル ワーカーに伝えてください。

モバイル作業者が度 (10 進) を使用している場合、デフォルトで、座標は小数点以下 6 桁の精度で表示されます。 これは、Collector の単位設定の一部として構成できます。

GPS 平均化の有効化 (オプション)

組織で、1 つの位置に対して多数のポイントを収集し、その情報を平均化して最終的な位置と精度を取得する必要がある場合があります。 Collector で、1 つの位置を取得するために平均化する必要のあるポイント数を設定できます。 データ収集で GPS 位置を使用しているときは常に、必要な数のポイントが収集されて、平均化されます。 平均化は、有効化されている場合、ポイント フィーチャに対して実行され、ラインおよびポリゴンの個々の頂点に対しても実行されます。

詳細な手順については、「Collector の構成 - GPS 平均化の有効化」をご参照ください。

メモ:

このトピックでは、モバイル ワーカーにデバイスをセットアップすることを前提とします。 セットアップしない場合は、GPS 平均化を有効にする必要があるかどうか、有効にする場合は平均化するポイント数について、モバイル ワーカーに伝えてください。

記録された高度 (z 値) の後処理

高度を記録する際、Collector は受信機のジオイド モデルに基づいて海抜高度を記録します (EGM96 が一般的。デバイスのユーザーマニュアルをご参照ください)。 別のジオイド モデルが必要な場合、値を後処理して必要なジオイド モデルを使用します。

これで、受信機が位置情報を Collector に提供するようになりました。 データの収集時に、組織に標準を満たす高精度なデータを提供できます。

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