モバイル ユーザーのトラッキング

ArcGIS Tracker モバイル アプリを使用して、モバイル ユーザーの位置を追跡します。Tracker モバイル アプリは、位置の追跡に最適化されているため、デバイスのバッテリー寿命への影響が最小限に抑えられます。このモバイル アプリは、アプリの使用時とバックグラウンドでの実行時の両方で、データ接続の有無にかかわらずトラックを記録します。

トラック データは組織サイト内にセキュアに保存されています。モバイル ユーザーはアプリで自分のトラックのみを表示でき、他のユーザーのトラックを表示するには追加の権限が必要になります。モバイル ユーザーは、アプリ内から位置を追跡される期間と追跡されない期間を制御します。

サイン イン

モバイル作業者は、ArcGIS Online または ArcGIS Enterprise アカウントを使用して、ArcGIS Tracker にサイン インします。

ArcGIS Enterprise を使用している場合、ポータルの URL を入力する必要があります。この URL は、ポータルにアクセスするときにブラウザーに入力する URL と同じです (たとえば、https://myportal.mycompany.com/arcgis)。バーコードまたは QR コードをスキャンすることによって、URL を入力できます。

ライセンス:

モバイル作業者は、サイン インするために ArcGIS アカウントの要件を満たす必要があります。

公開鍵基盤 (PKI) を使用したサイン イン

ユーザー認証に公開鍵基盤 (PKI) を使用している場合、モバイル作業者は証明書を選択する必要があります。

Tracker で証明書を選択する前に、証明書ファイルがデバイス上で使用可能である必要があります。サポートされるファイルタイプは *.pfx、*.p12、*.pkcs12 です。これには、次のようにいくつかの方法があります。

  • Android デバイス - デバイスをコンピューターに接続するか、BoxGoogle Drive などのファイル共有アプリを使用して、証明書ファイルをデバイスに直接コピーします。ファイルをデバイスにコピーしたら、ファイルをタップしてインストールします。ファイルをデバイスにインストールするとき、パスワードを求められます。
  • iPad および iPhone デバイス - デバイスで必要な証明書ファイルをファイル アプリで使用可能な場所 (iCloud DriveBox、または Google Drive など) にコピーします。iOS 13 以降を使用している場合、証明書を電子メールやテキスト メッセージからファイル アプリで共有できます。デバイス上でファイル アプリを使用する方法の詳細については、Apple サポートをご参照ください。
  • モバイル デバイス管理 (MDM) ソフトウェアの使用 - MDM を使用して証明書をデバイスに配置します。
注意:

SAML を使用していてユーザーがサイン イン中にクライアント証明書を選択する必要がある場合は、証明書をコピーしてデバイスに直接インストールする必要があります。コピーしたファイルをタップし、パスワードを入力して、インストールします。

クライアント証明書ファイルがデバイスで使用可能になったら、モバイル作業者は証明書を選択して、次の手順でサイン インできます。

  • Android デバイス - Tracker[ArcGIS Enterprise でサイン イン] を選択し、ポータルの URL を入力して、使用可能な証明書のリストから証明書を選択します。
  • iPad および iPhone デバイス - Tracker[ArcGIS Enterprise でサイン イン] を選択し、ポータルの URL を入力して、ファイル アプリ (iOS) から証明書を選択し、証明書のパスワードを入力します。

iOS で保存した URL と証明書の削除

保存した ArcGIS Enterprise の URL と PKI 証明書を削除するには、設定 設定 を使用して Tracker の設定を参照し、[サイン イン オプションのリセット] をタップします。これは、現在サイン インしているアカウントには影響しません。次回 PKI でセキュリティ保護されたポータルにアクセスすると、モバイル作業者は証明書を選択するように求められます。

追跡の開始

ArcGIS Tracker モバイル アプリでトラッキングを開始すると、位置情報が記録および共有されます。

  1. モバイル アプリを開き、サイン インしていない場合は、ArcGIS アカウントを使用してサイン インします。
  2. [自分の位置の追跡] 切り替えボタンを使用してトラッキングをオンにします。
    Android での位置の追跡
    iOS での位置の追跡
    注意:

    Apple Watch が iOS デバイスとペアリングされている場合、watchOS コンパニオン アプリを使用して位置の追跡を開始および停止できます。Apple Watch で Tracker を使用する前に、iPhone または iPad で位置の追跡を少なくとも 1 回開始する必要があります。詳細については、「Tracker モバイル アプリの要件」をご参照ください。

  3. プロンプトが表示されたら、Tracker からの自分の位置情報へのアクセスを許可します。
    • Android では、[常に許可] または [アプリの使用中のみ許可] をタップします。
    • iOS では、[許可] または [App の使用中は許可] をタップします。
  4. iOS で、Tracker からのモーションおよびフィットネス アクティビティへのアクセスを許可するよう求められたら [OK] をタップし、Tracker からの通知の送信を許可するよう求められたら [許可] をタップします。
    注意:

    Tracker からのモーションおよびフィットネス アクティビティへのアクセスを許可しないと、位置情報を記録できません。Tracker からの通知の送信を許可しない場合、リマインダーは有効になりません。

マップに現在地が表示されます。アカウント プロファイルに画像を含めた場合は、その画像が位置を示すマークに使用されます。

バッテリー寿命の最適化

モバイル デバイスのバッテリー寿命を最適化するには、次の手順に従います。

  • iOS デバイス - Tracker の位置情報サービス設定で、位置情報へのアクセスの許可を [常に許可] に設定します。
  • Android デバイス - デバイスの位置情報サービス設定で、位置の精度を [最高] または [高精度] に設定します。
    • Samsung Galaxy デバイス - 省電力モードを [最大] に設定します。

詳細については、「Tracker モバイル アプリはデバイスのバッテリーを消耗しますか」をご参照ください。

追跡するタイミングの定義

Tracker で、常に自分の位置を記録する必要はありません。iOS では、業務を始める時間に追跡を開始し、シフトが終了したら追跡を停止するよう、リマインダーを送信するように設定できます。Android で、追跡を自動的に開始および停止するスケジュールを定義することもできます。

  1. [プロファイル] (Android: プロファイルiOS: プロファイル) をタップします。
  2. [スケジュール] (Android) または [リマインダー] (iOS) 切り替えボタンを使用して、追跡するタイミングを定義します。
    Android での位置の追跡
    iOS での位置の追跡
    注意:

    Tracker からの通知の送信を許可しない場合、リマインダーは表示されません。

  3. 追跡するスケジュール (Android)、または追跡の開始と停止を通知するスケジュール (iOS) を指定します。

    Android では自動的に追跡が開始および停止され、iOS では指定した時間に追跡を開始および停止するためのリマインダーを送信します。

トラックの表示

モバイル ユーザーは Tracker のほか、トラックの表示をサポートする他のアプリ (ArcGIS CollectorArcGIS ExplorerArcGIS Workforce など) でもトラックを表示できます。

注意:

トラックの表示をサポートしている CollectorExplorer、および Workforce のバージョンについては、Tracker のリリース時には公開されていません。各アプリのヘルプを表示して、そのサポート状況と、トラックを表示するリリースの提供有無を確認してください。

Tracker はデバイス上にトラックを保持します。データ接続がある場合、最大 72 時間のトラックがデバイス上に保持されます。データ接続がない場合、接続が使用可能になりトラックをアップロードできるようになるまで、トラックは保持されます。すべてのトラックを表示する必要はありません。[表示するトラック] オプションからトラックを表示する時間枠を選択します。Android では、プロフィール ボタンの横のメニュー内にあります。iOS では、[自分の位置の追跡] 切り替えボタンの下にあります。選択した時間枠は、Tracker や同じデバイス上の他のモバイル アプリでトラッキングを表示する際に適用されます。

Android での [表示するトラック]
iOS での [表示するトラック]

Tracker でトラックを表示しているときに、トラックをタップすると当該位置の情報が表示されます。デバイスから Tracker に提供された情報に基づいて、トラックが収集された日時、実施していたアクティビティ タイプ、収集時の移動速度、位置の精度および座標が表示されます。座標単位はプロフィールで構成できます。

デフォルトでは、表示されるトラックの品質はスマート レンダリングによって制御されます。この機能は、少なくとも次のいずれかの要件に該当するトラック ポイントのような、高品質なトラック ポイントにトラック ラインを制限します。

  • ポイントの水平精度が 10 メートル未満。
  • ポイントの水平精度が 10 ~ 25 メートルで、速度が 0 メートル/秒より大きいか、コースが 0 度より大きい。
  • 速度が 0 メートル/秒より大きく、コースが 0 度より大きい。

すべてのトラック ポイントが記録およびアップロードされますが、低品質のトラック ポイントはトラック ラインの生成には使用されません。トラック ラインにすべてのトラック ポイントを含める場合は、プロフィールで [スマート レンダリング] を無効にします。

トラックのアップロード

ネットワーク接続がある場合、トラックは定期的にアップロードされます。デバイスが電源に接続されている状態で、バッテリーが充電済みかバッテリーが 20% 以上残っている状態で充電中の場合、60 秒ごとにトラックがアップロードされます。それ以外の状況では、トラックは 10 分ごとにアップロードされます。この処理は自動的に行われ、ユーザーがアップロードを開始する必要はありません。すぐにトラックをアップロードするには、プロファイルの [今すぐアップロード] ボタンを使用します。

最新位置は、デフォルトで 60 秒ごとに更新されます (デバイスの充電状況やバッテリーの状態に依存しません)。プロファイルで 30 秒ごとに設定することもできます。

位置のトラックのセキュリティ

トラックは Tracker モバイル アプリまたは Field Maps モバイル アプリを使用して収集され、モバイル デバイスの SQLite データベースに保存されます。 記録された各位置は、アプリにサイン インしているユーザーによって作成され、編集情報の記録では、この情報が記録した位置とともに保存されます。 ユーザーが Tracker または Field Maps からサイン アウトすると、SQLite データベースは削除されます。 デバイス上でアプリを使用している他のユーザーは、以前のユーザーのトラックにアクセスすることができません。

注意:

位置のトラッキング サービスに対して GDPR などのプライバシー規則に準拠しながらクラウドおよびエンタープライズ GIS を配置する方法の詳細については、「ArcGIS Location Tracking Privacy Best Practices」をご参照ください。