ハードウェア リソースとパフォーマンス

ArcGIS Drone2Map は、マルチスレッド CPU と CUDA 計算機能付き NVIDIA GPU を活用して、ドローン撮影画像を利用可能なデータに迅速に変換します。 ただし、すべてのステップでシステム リソースが同じように使用されるわけではありません。 コンピューター ハードウェアのほか、画像の数、画像間の重複、地上サンプル距離 (GSD) などのドローン飛行の特性がパフォーマンスに影響する場合があります。 以下のセクションでは、処理中に使用されるハードウェア コンポーネントについて簡単に説明し、処理速度を最適化するための手引きを示します。

処理速度に影響する主な要因

以下は、Drone2Map のプロジェクトの処理速度に影響する最も一般的な要因です。

  • ハードウェア コンポーネント
    • CPU
    • GPU
    • RAM
    • ストレージ
  • 飛行の特性
    • 画像の数
    • イメージ解像度
  • プロジェクトの設定
    • 地上サンプリング距離
    • 画像の縮尺
    • 照合方法
    • ポイント クラウド密度
    • 出力プロダクト

ハードウェア コンポーネント

コンピューターハードウェア コンポーネント は、プロジェクトを処理するとき、処理能力が変動する形で使用されます。 処理時の主要コンポーネントの動作を以下にまとめています。

CPU

  • Drone2Map は、並列処理を利用して、マルチコア CPU を搭載したシステムを活用します。
  • CPU は、処理速度に影響を及ぼす最も重要なハードウェア コンポーネントです。 すべての処理ステップは、CPU をアップグレードすることで処理速度が向上します。そのため、処理時間を短縮するには、CPU をアップグレードすることを最優先する必要があります。
  • 一般に、クロック速度が速い CPU の方が、コア数の多い同等の CPU よりパフォーマンスが優れています。

GPU

  • Drone2Map は、CUDA 計算機能付き NVIDIA GPU を活用して、処理速度の向上を図ります。
  • GPU を使用すると、密度の一致と 2D プロダクトのステップの処理速度が大幅に向上します。
  • GPU を使用した場合、画像調整ステップに適度な処理パフォーマンスを提供します。

RAM

  • Drone2Map は、使用可能な RAM を動的に使用して、パフォーマンスの最適化を図ります。
  • RAM を増設すると、Drone2Map がより多くの処理を並列に行えるようになり、処理速度が向上します。
  • CPU コア数が多く、RAM が十分ではないシステムでは、CPU の処理能力が制限される場合があります。 コア数の多い CPU を使用する場合は、32 GB 以上の RAM を使用することをお勧めします。

ストレージ

  • 最適なパフォーマンスが得られるよう、プロジェクトとイメージは SSD、SSD RAID に保存することをお勧めします。
  • USB、ネットワーク ドライブ、クラウド ストレージ ドライブからプロジェクトを処理しないでください。レイテンシが増大し、ネットワーク障害のリスクもあるため、パフォーマンスが低下したり、処理が失敗したりすることがあります。
  • 処理が完了したら、長期保存のため、プロジェクトをより処理速度の遅い HDD にコピーしてもかまいません。

飛行の特性

Drone2Map では、複数の方法で飛行を管理し、処理速度を高めることができます。 以下のヒントを参照して、プロダクトの処理速度と高品質を確保してください。

画像の数

  • プロジェクトの画像数を増やすと、プロジェクトの処理時間が増えます。
  • 離着陸時の画像やプロジェクト エリア外の画像など、プロジェクトに関係ない画像は削除してください。
  • [プロジェクト エリア] ツールを使用すると、対象領域の輪郭を表示できます。

画像の解像度 - 画像の解像度が高いほど、より高い処理能力とより大きな記憶領域が必要となります。 最適なパフォーマンスを確保するため、ハードウェア コンポーネントの予算を立てるときは、ドローン撮影画像の解像度を考慮してください。

プロジェクト設定と生成されるプロダクト

追加で出力プロダクトを選択すると、処理時間が長くなります。 プロジェクトの処理時にすべてのプロダクトを選択してもかまいませんが、プロジェクトの対象範囲内のプロダクトのみを選択すると、処理効率が最大限高まります。

Drone2Map は、重要な中間処理結果を保存してくれるため、どのプロダクトを処理するかを柔軟に判断しやすくなっています。 追加のプロダクトを作成する場合は、そのプロダクトに必要なステップのみを処理するだけでかまいません。

プロダクトを追加するのと同様、処理オプションの品質を上げると、一般的に処理時間が長くなります。 品質とパフォーマンスに合わせて最適化された、プロジェクト要件を満たす処理テンプレートを使用することをお勧めします。

以下の処理ステップは、処理速度に最も大きな影響を及ぼします。

  • 一般オプション
    • 地上サンプリング距離
    • ポイント クラウド密度
  • 画像調整オプション
    • 画像の縮尺
    • 一致する近傍

最適な処理オプションを選択するため、以下のシナリオを検討しましょう。

シナリオ 1

ハードウェア リソースの品質があまり高くないノート PC または PC を使用して、屋外でドローンを飛ばしています。 飛行が完了しましたが、品質について確信が持てません。 飛行が Drone2Map でどれだけうまく再現されるかを確認したいのですが、作業を最後まで行う時間が足りず、オフィスに戻ることにしました。

最も速く飛行を再現するための最良の方法は、高速テンプレートで作業を開始することです。 プロジェクトの処理オプションで、一般タブから、プロジェクトの解像度を 8x GSD に下げることができます。 これにより、ポイント クラウドの密度を自動的に下げることができます。 また、[画像の調整] タブでは、画像の初期の縮尺を 1/8 (8 分の 1 スケール) に引き上げることができます。 これらの設定を使用すると、可能な限り迅速にオルソモザイクを作成できます。

シナリオ 2

複数の飛行が最近完了し、これらか Drone2Map で飛行を処理することとなりました。 処理結果を出すまでの時間が限られていますが、高品質のプロダクトが求められています。 使用コンピューターは、中級クラスのハードウェア リソースを搭載したデスクトップ コンピューターです。 各飛行について、オルソモザイクと両方の標高サーフェスを処理する必要があります。

プロジェクトを迅速に、ただし高品質に処理するための最良の方法は、2D プロダクト テンプレートを使用することです。 このテンプレートのデフォルト設定では、プロジェクトの解像度が 1x GSD、密なポイント クラウドが高密度に設定されており、より多くの一致を得るためにタイ ポイントを生成するときは、1x の解像度で 2 回目のパスを実行します。 タイ ポイント オプションで一致する近傍を増やすと、近傍加増間でより多くの一致が得られる場合がありますが、画像間の重複の度合いについてあまり確信がない場合のみ、これを行うことをお勧めします。

シナリオ 3

Advanced のライセンスを取得しており、高品質な 2D および 3D のプロダクトを出力する処理が求められるプロジェクトを抱えています。 時間を気にする必要はなく、Drone2Map が提供できる高品質を求めています。

3D プロダクトがどのように処理されるかを考えると、3D プロダクト テンプレートを最初から使用するのが最善です。 このテンプレートは、プロジェクトの解像度を 1x GSD として処理するよう自動設定されています。 ポイント クラウド密度を高ではなく超高に上げることができます。 デフォルト テンプレートのタイ ポイント設定は、より多くの一致を得るため、最高の解像度で 2 番目のパスを実行するよう設定されています。 一致する近傍を「大」または「極大」まで上げると、最大量のタイ ポイントが得られます。 これにより、Drone2Map で実行可能な最高度の処理を行えます。 なお、お使いのハードウェア リソースによっては、これらの設定で処理を完了するのにより長い時間がかかります。