適合性解析では、相関マトリックス ツールを使用して、変数が別の変数や最終スコアとどのように相関しているかを評価できます。 この解析では多重共線性 (オーバーラップする変数や冗長変数) が識別されるため、より適切な変数の選択、加重に関するより周到な意思決定、さらに強力な適合性インデックスの設計が可能です。
適合性解析には、同様の概念を示す複数の変数が含まれていることがよくあります。 オーバーラップの有無をチェックしなかった場合、同じ概念を二重カウントして結果に狂いが生じる可能性があります。
例
政府機関が適合性解析を使用して、一時的に開設するフードバンクの候補地を特定します。 この解析では、貧困率と失業率を変数として含めました。 相関マトリックスを使用すると、貧困率と失業率の間には高い相関関係があることが明らかです。 調整なしの場合、解析で経済的劣位性が過大評価される可能性があります。 アナリストは冗長ペアから変数を 1 つ削除し、関連する変数を 1 つのサブインデックスにマージするか、これらの加重を調整して同じ概念が 2 回カウントされることがないようにすることが推奨されます。

結果
相関マトリックスは適合性解析の結果を解析して変数選択を検証します。 たとえば、多重共線性を発見し、インデックスへの影響をバランスすることができます。 この知識を利用して、適合性解析の精度を向上させることができます。
相関マトリックスを使用して変数選択を検証するには、次の操作を行います。
- 多重共線性を発見します。 多重共線性は、2 つ以上の変数が非常に高く相関して同じ情報を取り込むため、各変数の個々の効果を区別することが困難な場合に生じます。 相関性の高い変数ペア (ピアソンの相関係数 > 0.75 など) をチェックします。 多重共線性を減らすには、以下の解決策を検討してください。
- 非常に相関性の高いペアから変数を 1 つ削除する
- 相関する変数を 1 つのサブインデックス (経済的脆弱性や医療へのアクセスなど) にマージする
- 加重を調整して、非常に相関性の高い変数の影響を緩和し、同じ基本的概念が 2 回カウントされることがないようにする
注意:
加重を変更する際には必ず専門知識を応用します。
インデックスへの影響をバランスします。 最終スコアと強く相関する変数 (ピアソンの相関係数 > 0.85 など) にフラグを付けます。 その加重を調整するか、関連する変数とともにサブインデックスにグループ化して、1 つの要因によってモデルが支配されないようにします。 サブインデックス作成の詳細については、「ArcGIS を使用したコンポジット インデックスの作成」をご参照ください。
計算
適合性解析は選択された変数を使用して計算を実行し、概念的または統計的に類似する変数が含まれることがよくあります。 オーバーラップの有無をチェックしなかった場合、同じ基本的概念を表す複数の変数が意図せず含まれることになり、結果にバイアスや偏りが生じることがあります。
相関係数
ピアソンの相関係数は -1 ~ 1 を範囲とする係数であり、線形関係の強さと方向の両方を表します。 たとえば、+1 に近い値は強い正の関係を示し、-1 に近い値は強い負の関係を示します。 0 に近い値は、線形関係がほとんどないかまったくないことを示します。 相関マトリックスで、ピアソンの相関係数の値に基づいてビジュアライゼーションをフィルターできます。
統計的有意性
統計的有意性は、相関が実在するかどうか、つまり偶然によって生じたものではない可能性の程度を示します。 p 値が低いほど (p < 0.01 など)、統計的により信頼できる関係であることを示し、この相関が偶然生じた可能性は低いことを意味します。 ほとんどの場合、0.05 を下回る p 値は統計的に有意と見なされます。 p 値 0.05 は 95 パーセントの信頼度に相当し、統計的有意性を判断する際の一般的な閾値となります。
相関マトリックスで、変数の統計的有意性に基づいてビジュアライゼーションをフィルターできます。 統計的有意性は次のようにアスタリスクを使用して表されます。
アスタリスク | p 値 | 統計的有意性 |
---|---|---|
*** | p < 0.001 | 非常に有意である |
** | p < 0.01 | 中程度に有意である |
* | p < 0.05 | 有意である |
なし | なし | 統計的に有意でない |
制限事項
相関マトリックスは適合性解析ワークフローでのみ使用できます。
クレジット
このワークフローでは、クレジットが消費されます。 結果を Excel にエクスポートすると、推定で 1,000 レコードにつき 10 クレジットがかかります。
Business Analyst Web App でのクレジット消費の詳細については、「クレジット」をご参照ください。
ライセンス要件
適合性解析ワークフローは、Business Analyst Web App の Advanced ライセンスを持つユーザーが利用できます。 Business Analyst のライセンス タイプの詳細については、「ライセンス」をご参照ください。
リソース
適合性解析の詳細については、次のリソースをご参照ください。