最適領域接続 (Map Viewer)

ArcGIS Image for ArcGIS Online で利用できます。

最適領域接続ツールは、2 つ以上の入力領域間で最適な接続ネットワークを計算します。

出力はホスト フィーチャ レイヤーです。

最適領域接続の詳細

最適領域接続ツールは次のようなシナリオで使用できます。

  • 適合性モデルから、ボブキャットの最適な 10 の生息地域を特定しました。 メタ個体群の中で遺伝的多様性を維持するために、ボブキャットが自然のコリドーの最適なネットワークを通って生息地域間を移動することを望んでいます。
  • 災害救助活動で、救助スタッフや医療スタッフのキャンプを配置する 5 つの場所を特定しました。 キャンプ間の補給ルートの最適なネットワークを開発したいと考えています。
  • 森林伐採では、材木を運ぶ伐採道路について、コスト的に最も効率的なネットワークを作成したいと考えています。
  • 消火活動に際し、複数の拠点間で消火リソースが移動するトレイルの最適ネットワークを特定したいと考えています。

使用上の注意

最適領域接続には、入力レイヤー、パスの設定、出力結果の構成が含まれています。

入力レイヤー

[入力レイヤー] グループには次のパラメーターがあります。

  • [入力領域ラスターまたはフィーチャ] は、最適ネットワークで接続される領域を特定するラスター レイヤーまたはフィーチャ レイヤーを指定します。[レイヤー] ボタンを使用してレイヤーを選択するか、[入力フィーチャの描画] ボタンを使用して、入力として使用するスケッチ レイヤーを作成することができます。

    領域の入力がラスターの場合、領域は同じ値を持つ連続 (隣接) するセルのグループによって定義されます。 各領域には一意の番号を付ける必要があります。 領域の一部でないセルは NoData にする必要があります。 ラスター タイプは整数である必要があり、正または負の値を指定できます。

    領域の入力がフィーチャ データセットの場合、ポリゴン、ポリライン、ポイントのいずれかを使用できます。 ポリゴン フィーチャの領域には、マルチパート ポリゴンは使用できません。

    入力領域がフィーチャの場合、解析を実行する前に、個別値を持つ結果の領域を使用して、内部で領域の位置がラスターに変換されます。 マルチポイント データが指定された場合、ツールは、その位置にあるポイントの 1 つを領域値としてランダムに選択します。

    ラスターの解像度は [セル サイズ] 環境で制御できます。 デフォルトでは、解像度が [入力コスト ラスター] の値 (指定されている場合) の解像度に設定されます。 バリア ラスターのみが指定されている場合、解像度が [入力バリア ラスターまたはフィーチャ] の値の解像度に設定されます。 他のラスターが指定されていない場合、デフォルトの解像度は、入力空間参照において、入力フィーチャの範囲の幅または高さ (どちらか短い方) を 250 で割った値になります。

    入力領域データにポリゴン フィーチャ データを使用する場合は、出力セル サイズが入力の詳細よりも粗いときの処理方法に注意する必要があります。 内部的なラスター化処理では、セルの割り当てタイプについて、セルの中心メソッドが使用されます。 つまり、セルの中心に配置されていないデータは、ラスター化された中間領域出力に含まれず、計算では表されません。 たとえば、領域が出力のセル サイズに比べて小さい一連のポリゴン (建物のフットプリントなど) である場合は、一部のポリゴンだけが出力ラスター セルの中心に分類され、ほとんどのポリゴンが解析で失われたように見える可能性があります。

    これらの状況を回避するには、中間的な手順として、フィーチャをラスターに変換ツールを使用して入力フィーチャを適切な解像度に直接ラスター化します。 次に、結果の出力を最適領域接続ツールの入力領域として使用します。

    入力領域がラスターで、その領域のいずれかが切断されている場合、結果のパスは、最も近いまたは到達するためのコストが一番低い、領域の一部へのパスになります。

    領域がマスクまたは対応する入力ラスターで NoData にあたる場合、解析では無視され、その領域へのパスは作成されません。

    デフォルトの処理範囲は [入力コスト ラスター] の値の範囲と同じになります (コスト ラスターで指定されている場合)。それ以外の場合は、入力領域の範囲に設定されます。

[オプションのレイヤー] グループには次のパラメーターがあります。

  • [入力バリア ラスターまたはフィーチャ] は、バリアを定義するレイヤーです。 バリアは回避する必要のある障害物です。 ラスター データまたはフィーチャ データのどちらでも定義できます。[レイヤー] ボタンを使用してレイヤーを選択するか、[入力フィーチャの描画] ボタンを使用して、入力として使用するスケッチ レイヤーを作成することができます。

    ラスター レイヤーの場合、入力タイプは整数か浮動小数です。 値 (0 を含む) を持つセルであれば、バリアとして処理されます。 NoData のセルはバリアとして処理されません。

    フィーチャの場合、入力はポイント、ライン、ポリゴンです。 フィーチャ入力は、処理の前に内部でラスターに変換されます。

    バリアが対角線セルでのみ接続されている位置では、これらのバリアが厚化されて不透過になります。

    またバリアは、[入力コスト ラスター] パラメーター値内で NoData セルが存在する位置でも定義されます。 さらに、マスク環境内にない位置は、バリアの役割を果たします。 NoData が対角線セルでのみ接続されている位置では、他の NoData セルと組み合わされて厚化されるため、不透過なバリアになります。

  • [入力コスト ラスター] は、各セル間を平面的に移動するためのインピーダンスまたはコストを定義するラスター レイヤーです。

    コスト サーフェス内の各セル位置の値は、そのセル上を通過するための単位距離あたりのコストを表します。 セル内を通過する総コストを取得するために、各セル位置の値にセル解像度を乗算して、対角移動についても補正します。

    コスト ラスターとして、整数値または浮動小数点値を使用できますが、負の値や 0 は使用できません (負またはゼロのコストは指定できません)。 コスト ラスターにゼロ値が含まれており、それらの値が最小コストを表している場合は、ゼロ値を小さい正の値 (0.01 など) に変更してからこのツールを実行してください。

    コスト サーフェスの詳細については、ArcGIS Pro Spatial Analyst エクステンションのヘルプの「コスト サーフェスを使用した到達距離の調整」をご参照ください。

パスの設定

[パスの設定] グループには次のパラメーターがあります。

  • [距離計算の方法] は、距離を平面 (平面地球) と測地線 (楕円体) のどちらの方法を用いて計算するかを指定します。

    • [平面] - 距離計算は、2 次元直交座標系を使用して投影された平面で実行されます。 これがデフォルトの方法です。
    • [測地線] - 距離は楕円形に基づいて計算されます。 入力や出力の投影は、結果に影響しません。

  • [領域内の接続] は、パスが続行し、入力領域内に接続するかどうかを指定します。

    • [接続の生成] - パスは入力領域内まで続き、領域に入るすべての経路を接続します。 これがデフォルトの方法です。
    • [接続なし] - パスは入力領域のエッジで止まり、入力領域まで続かないか、入力領域内で接続しません。

結果レイヤー

[結果レイヤー] グループには次のパラメーターがあります。

  • [出力最適接続ライン名] は、入力領域を接続するパスの最適ネットワークの結果を含む出力レイヤーの名前です。

    名前は一意でなければなりません。 組織内に同じ名前のレイヤーがすでに存在する場合、ツールは失敗し、別の名前を指定するよう求められます。

  • [オプションのレイヤー] グループには次のパラメーターがあります。

    • [出力隣接接続ライン名] は、各領域からその各最近隣またはコスト近傍までの結果のパスを含むオプションの出力レイヤーの名前です。

      名前は一意でなければなりません。 組織内に同じ名前のレイヤーがすでに存在する場合、ツールは失敗し、別の名前を指定するよう求められます。

  • [フォルダーに保存] は、結果を保存する [マイ コンテンツ] 内のフォルダーの名前を指定します。

環境

解析環境設定は、ツールの結果に影響する追加パラメーターです。 ツールの解析環境設定には、[環境設定] パラメーター グループからアクセスできます。

このツールでは次の解析環境が適用されます。

クレジット

このツールはクレジットを消費します。

このツールの実行に必要なクレジット数を計算するには、[クレジットの推定] を使用します。 詳細については、「空間解析のクレジットの概要」をご参照ください。

出力

このツールには次の出力があります。

  • [出力最適接続ライン名] レイヤーは、各入力領域を接続するパスの最適ネットワークを特定します。

    生成されたネットワークは、可能な最小コストまたは最短距離で領域を接続します。 このネットワークを使用すると、移動者はネットワークを使用して領域間を移動できます (他の領域を経由することもできます)。

    各パス (またはライン) は、一意の番号が付けられ、属性テーブルのその他のフィールドには、パスに関する特定の情報が格納されています。 次のような追加フィールドがあります。

    • Pathid- パスの一意な ID
    • Pathcost- パスの合計累積距離またはコスト
    • Region1- パスが接続する最初の領域
    • Region2- パスが接続するその他の領域

    この情報から、ネットワーク内のパスに対する理解を深めることができます。

    各パスは、一意のラインで表されるため、パスが同じルートを移動する場所には複数のラインがあります。

    最適な出力ネットワークは、オプションの隣接する接続の出力で生成されるパスから作成されます。 オプションの隣接する接続の出力内にあるパスは、グラフ理論に変換されます。 領域は頂点、パスはエッジ、累積距離またはコストはエッジのウェイトになります。 パスのグラフ表現から最小スパニング ツリーが計算され、領域間を移動するのに必要な最適パス ネットワークが決定されます。

    コスト サーフェスが指定されていない場合、近傍はユークリッド距離で識別されます。 その場合は、領域の最も近い近傍は、距離が最も近い近傍になります。 ただし、コスト サーフェスが指定されている場合、移動コストが最も低いものが領域の最も近い近傍となるコスト距離によって近傍が識別されます。 コスト距離アロケーション処理は、近傍の領域を識別するために実行されます。

    [領域内の接続] パラメーターで [接続の生成] が指定されている場合、各最適パスは、まず、ポリゴンまたはマルチセル領域の外側の境界に到達します。 ツールは、領域の境界から追加の線分で領域を通るパスを延長して、領域間の開始および終了ポイントを設定し、その間の移動を可能にします。 これらの線分に沿った移動の追加距離または追加コストはありません。

    入力領域とアロケーション近傍の構成によって、パスは中間領域を通過して、近傍領域に到達できます。 そのパスが中間領域を移動すると、コストが発生します。

  • [出力隣接接続ライン名] レイヤーは、各領域からその各最近隣またはコスト近傍までのパスを識別します。

    各パス (またはライン) は、一意の番号が付けられ、属性テーブルのその他のフィールドには、パスに関する特定の情報が格納されています。 次のような追加フィールドがあります。

    • Pathid- パスの一意な ID
    • Pathcost- パスの合計累積距離またはコスト
    • Region1- パスが接続する最初の領域
    • Region2- パスが接続するその他の領域

    この情報から、ネットワーク内のパスに対する理解を深めることができます。これは、必要に応じて削除すべきパスを決定する場合に有用です。

    各パスは、一意のラインで表されるため、パスが同じルートを移動する場所には複数のラインがあります。

    オプションの隣接する接続の出力は、最小スパニング ツリー ネットワークの代替ネットワークとして使用することができます。 この出力は、各領域を隣接する最も近い領域またはコスト領域と接続するため、多くのパスを持つより複雑なネットワークを作成します。 フィーチャ レイヤーは、そのまま使用したり、新しいネットワークの作成元として使用することができます。

使用法の要件

このツールには、次のライセンスと構成が必要です。

  • Creator または GIS Professional ユーザー タイプ
  • 公開者、ファシリテーター、管理者ロール、またはそれと同等のカスタム ロール
  • ArcGIS Image for ArcGIS Online

参考文献

  • Douglas, D. 「Least-cost Path in GIS Using an Accumulated Cost Surface and Slopelines」、Cartographica: The International Journal for Geographic Information and Geovisualization、1994、Vol. 31、No. 3、DOI: 10.3138/D327-0323-2JUT-016M
  • Goodchild, M.F. 「An evaluation of lattice solutions to the problem of corridor location」、Environment and Planning A: Economy and Space、1977、Vol. 9、727-738 ページ
  • Sethian, J.A. 「Level Set Methods and Fast Marching Methods」、Evolving Interfaces in Computational Geometry, Fluid Mechanics, Computer Vision, and Materials Science、Cambridge University Press、2nd Edition、1999
  • Warntz, W. 「Transportation, Social Physics, and the Law Of Refraction」、The Professional Geographer、1957、Vol. 9、No. 4、2-7 ページ
  • Zhao, H. 「A fast sweeping method for Eikonal equations」、Mathematics off Computation、2004、Vol. 74、No. 250、603-627 ページ

リソース

詳細については、次のリソースをご参照ください。