流向ツールは、D8、MFD (Multi-Flow Direction)、DINF (D-Infinity) のいずれかの方法を使用して、各セルから下降傾斜の近傍セルへの流向ラスターを作成します。
出力はホスト イメージ レイヤーです。
使用上の注意
流向には、入力レイヤー、フロー方向の設定、結果レイヤーの構成が含まれます。
入力レイヤー
[入力レイヤー] グループには、[入力サーフェス ラスター] パラメーターが含まれています。
[入力サーフェス ラスター] は、計算に使用する標高ラスターです。
フロー方向の設定
[フロー方向の設定] グループには次のパラメーターが含まれています。
[流向タイプ] は、フロー方向を計算するときに使用するフロー方法のタイプを指定します。
[D8]—D8 方法では、Z 値の差異をセルの中心を結ぶパスの長さ (基本方向のセルなら 1、斜め方向のセルなら 2 の平方根) で除算して計算された、最も傾斜の急な下り坂の隣接に、フロー方向を割り当てます。 [出力流向ラスター名] レイヤーの値は、1 ~ 255 の整数値です。 各方向の中心からの値は、次の図で指定されます。
セルが複数の方向について Z 値の変化が同じなら、D8 のフロー方向は未定義になります。 この場合、そのセルの値は可能な方向すべての合計です。
これがデフォルトです。
[MFD] - MFD フロー方法は、適応型分割指数に従って、下り坂の隣接間でフロー方向を分割します。 適応型コンポーネントは、勾配の最大傾斜角の関数として推定され、現地の地形の条件が考慮されます (Qin et al.、 2007 年)。 [出力流向ラスター名] レイヤーの値は 1 ~ 255 の範囲の整数値で、解釈しやすいように主要なフロー方向 (分割方法に従い、フローの最大の割合を受け取るセルに向かう方向) が示されます。
ただし、MFD 流向出力ラスターは累積流量ツールによって認識されている入力であり、比例配分した MFD 流向を使用し、各セルから降下傾斜となるすべての近傍ピクセルへのフローを累積します。
[DINF] - DINF 法では、8 つの三角形ファセットの最も急な傾斜となる流向を特定します。このファセットは、対象となるセルの中心にある 3 x 3 セル ウィンドウとして決定されます。 流向出力は、0 (真東) から 360 (真東) まで反時計回りの角度として表される、浮動小数点のラスターです。
[エッジにあるセルは外側に流出] パラメーターは、エッジのセルが常に外側へ流れるか、それとも通常のフロー ルールに従うかを指定します。
- オフ - フロー方向は、Z 値で最も急な下り坂である、内側のセルに向かいます。 ただし、降下が 0 またはそれより小さい場合、そのセルはサーフェス ラスターから外側に流れ出ます。 これは、ラスター全体のセルすべてについて同じです。 これがデフォルトです。
- オン - エッジのセルでのフロー方向は常に、サーフェス ラスターから外側に流れ出ます。
結果レイヤー
[結果レイヤー] グループには次のパラメーターがあります。
[出力流向ラスター名] は、フロー方向の結果を含む出力ラスターの名前です。
名前は、一意でなければなりません。 組織内に同じ名前のレイヤーがすでに存在する場合、ツールは失敗し、別の名前を指定するよう求められます。
[オプション レイヤー] グループには [出力降下率ラスター名] パラメーターが含まれ、降下率ラスターの結果を含む出力ラスターの名前を示します。
名前は、一意でなければなりません。 組織内に同じ名前のレイヤーがすでに存在する場合、ツールは失敗し、別の名前を指定するよう求められます。
- [出力レイヤー タイプ] は、作成するラスター出力のタイプを指定します。 出力は、タイル イメージ レイヤーまたはダイナミック イメージ レイヤーのいずれかです。
- [フォルダーに保存] は、結果を保存する [マイ コンテンツ] 内のフォルダーの名前を指定します。
環境
解析環境設定は、ツールの結果に影響する追加パラメーターです。 ツールの解析環境設定には、[環境設定] パラメーター グループからアクセスできます。
このツールでは次の解析環境が適用されます。
クレジット
このツールはクレジットを消費します。
このツールの実行に必要なクレジット数を計算するには、[クレジットの推定] を使用します。 詳細については、「空間解析のクレジットの概要」をご参照ください。
出力
このツールには次の出力があります。
[出力流向ラスター名] レイヤーは、各セルのフロー方向の値を格納します。
出力流向ラスターのタイプは整数です。 [流向タイプ] として [MFD] を指定した場合、各セルの値には主要なフロー方向、すなわち分割方法に従い、フローの最大の割合を受け取るセルに向かう方向が表示されます。
[出力降下率ラスター名] レイヤーには、標高の最大変化と、フロー方向に沿った (セルの中心を結ぶ) パス長さの比率の割合が格納されます。 出力降下率ラスターは浮動小数点で表されます。 隣接セルの場合、これは、セル間の傾斜角 (パーセント) に似ています。 平らなエリアでは、距離は標高が低い最も近いセルまでの距離になります。
使用法の要件
このツールには、次のユーザー タイプと構成が必要です。
- Professional または Professional Plus ユーザー タイプ
- 公開者、ファシリテーター、管理者ロール、または画像解析権限を含む同等のカスタム ロール
参考文献
Jenson, S. K., and Domingue, J. O. 1988. "Extracting Topographic Structure from Digital Elevation Data for Geographic Information System Analysis." Photogrammetric Engineering and Remote Sensing 54 (11): 1593–1600.
Qin, C., Zhu, A. X., Pei, T., Li, B., Zhou, C., & Yang, L. 2007. "An adaptive approach to selecting a flow partition exponent for a multiple flow direction algorithm." International Journal of Geographical Information Science 21(4): 443-458.
Tarboton, D. G. 1997. "A new method for the determination of flow directions and upslope areas in grid digital elevation models." Water Resources Research 33(2): 309-319.
リソース
詳細については、次のリソースをご参照ください。
- 流向の仕組み
- ArcGIS REST API の流向
- ArcGIS API for Python の flow_direction
- ArcGIS Pro の Raster Analytics エクステンションでの流向
- ArcGIS Pro の Spatial Analyst エクステンションでの流向