[レプリカの作成 (Create Replica)] ツールのパラメーター

[レプリカの作成 (Create Replica)] ジオプロセシング ツールを実行する場合にパラメーター値をどのように設定するかは、レプリケーションのタイプおよび何を複製する必要があるかによって異なります。 どの値を使用すべきかをすぐに把握できるように、以下で [レプリカの作成 (Create Replica)] ジオプロセシング ツールの入力パラメーターについて説明します。

レプリカの作成 (Create Replica) ジオプロセシング ツール

パラメーター

[レプリカの作成 (Create Replica)] ジオプロセシング ツールの各パラメーターについて以下で説明します。

  • [レプリカ データセット] - データのサブセットを複製する場合は、フィルター設定を適用し、ドロップダウン矢印を使用して、データのサブセットをレプリカに追加します。 他のデータセットでは、そのデータセットを参照して選択するか、マップにレイヤーが存在するならドロップダウン矢印を使用します。
  • レプリカ タイプ - チェックアウト レプリカ、一方向レプリカ、子から親への一方向レプリカ、または双方向レプリカを選択します。
  • [出力タイプ] - 複製されるデータの出力タイプ。
    • [ジオデータベース] - データをジオデータベースに複製します。 これがデフォルトです。
    • [XML ファイル] - データを XML ワークスペース ドキュメントに複製します。
    • [新しいファイル ジオデータベース] - データを新しいファイル ジオデータベースに複製します。ツールが実行中のとき作成され、一方向またはチェックアウト レプリカとしてのみ有効です。
  • [複製したデータを格納するジオデータベース] - このパラメーターは、[出力タイプ][ジオデータベース] の場合に指定する必要があり、ローカルまたはリモートの複製先ジオデータベースに複製します。 リモート ジオデータベースにアクセスするには、ArcGIS Server サイトで実行されているジオデータ サービスを使用します。 該当するジオデータベースまたはジオデータ サービスを参照して選択し、データを受信します。 レプリカ タイプがチェックアウトまたは一方向の場合は、複製先をファイル ジオデータベースにすることができます。それ以外のレプリカ タイプの場合は、エンタープライズ ジオデータベースにする必要があります。 このオプションを使用してデータをジオデータベースに複製する場合は、接続環境でレプリカを作成することができます。 詳細なワークフロー手順については、チェックアウト レプリカ一方向レプリカ、または双方向レプリカを作成する方法を確認してください。

    レプリカの作成ジオプロセシング ツールを使用するときは、出力タイプをジオデータベース、XML、新しいファイル ジオデータベースのどれにも設定できます。

  • [データの複製先の XML ファイル] - このパラメーターは、[出力タイプ][XML ファイル] の場合に指定する必要があり、XML ワークスペース ドキュメントを XML ファイルとして出力します。 XML ファイル オプションは、非接続環境に対応しています。この環境では、XML ワークスペース ドキュメントを複製先に送信し、レプリカを作成するためにインポートすることができます。 詳細なワークフロー手順については、非接続環境でレプリカを作成する方法を確認してください。

    [レプリカの作成 (Create Replica)] ジオプロセシング ツールを使用する場合に、[出力タイプ] を [ジオデータベース] と [XML ファイル] (非接続環境に適している) のどちらにも設定できるようになりました。

  • [ファイル ジオデータベースの場所] - このパラメーターは、[出力タイプ][新しいファイル ジオデータベース] の場合に指定する必要があります。 [ファイル ジオデータベースの場所] は、ツールが実行されて子レプリカをホストするとき、新しいファイル ジオデータベースが作成される場所です。 [新しいファイル ジオデータベース] パラメーターを [出力タイプ] に使用するのは、一方向およびチェックアウト レプリカでのみ有効です。

    • [ファイル ジオデータベース名] - 子レプリカをホストするため作成されるファイル ジオデータベースの名前。

    レプリカの作成ジオプロセシング ツールを使用するときは、出力タイプをジオデータベース、XML、新しいファイル ジオデータベースのどれにも設定できます。

  • レプリカ名 - 作成するレプリカの名前を入力します。

高度な設定

以下のセクションでは、[レプリカの作成 (Create Replica)] ジオプロセシング ツールの高度な設定について説明します。

レプリカ アクセス タイプ

レプリカを作成する場合は、フィーチャ情報モデルに関して次の 2 つのオプションがあります。

  • フル モデル - フル モデルでは、トポロジ、アノテーション、ディメンション フィーチャクラスなど、すべてのシンプル データ タイプとコンプレックス データ タイプが子ジオデータベースに複製され、バージョン対応登録されます。 これがデフォルトです。

    フル モデルでは、フィーチャが親相対レプリカ ジオデータベースと子相対レプリカ ジオデータベースの両方に同じフィーチャ タイプで格納されていると見なされます。 たとえば、親レプリカ内のフィーチャクラスがネットワークのジャンクション フィーチャクラスである場合、子ジオデータベースの対応するフィーチャクラスもジャンクション フィーチャクラスである必要があります。

    このオプションは、ArcGIS クライアント ソフトウェアに基づく編集アプリケーションでの使用を目的としています。

  • シンプル モデル - シンプル モデルでは、子ジオデータベースにシンプル フィーチャだけが含まれます。 シンプル モデルでは、トポロジ、ネットワーク データセット、アノテーション、ディメンション フィーチャクラスは複製されず、子ジオデータベース内のデータはバージョン対応登録されません。 必要に応じて、レプリカの作成後に、子ジオデータベース内のデータをバージョン対応登録することができます。

    複製中に、親ジオデータベース内のシンプル フィーチャ以外のフィーチャ (パーセル ファブリックなど) は子ジオデータベース内でシンプル フィーチャに変換されます。 2 つのジオデータベース内のフィーチャのタイプおよび特性の違いを把握するために、同期中に追加処理が適用されます。

    このオプションは、子ジオデータベースがシンプル フィーチャ エディター (ArcGIS クライアント ソフトウェアに基づいていないサードパーティ製のエディターを含む) での編集を目的として設計されている場合に使用する必要があります。 また、このオプションは、子ジオデータベース内のデータ モデルを単純化するために、一方向のレプリケーションの実行時に使用するか、ArcGIS または ArcGIS クライアント ソフトウェアに基づくエディターで使用することもできます。

    シンプル モデルには、次の利点があります。

    • Esri ソフトウェアに基づいていないシンプル フィーチャ エディターを使用して子ジオデータベースを編集できます。
    • 一方向レプリカの場合は、子ジオデータベース内のデータがバージョン対応登録されていないため、Esri 以外のアプリケーションと簡単に統合できます。
注意:

トポロジでは、シンプル モデルを使用した場合に、トポロジ オブジェクトが子ジオデータベースから除外されますが、関連するフィーチャクラスはすべて含まれます。 レプリカを作成した後、子ジオデータベースから親ジオデータベースに変更を送信すると、親バージョンのフィーチャが自動的に維持されます。 親バージョンでは、トポロジのダーティ エリアを更新するための追加処理が行われます。

拡張フィーチャクラスとテーブル

この設定のオプションは、レプリカ内のフィーチャクラスまたはテーブルが参加するトポロジ、リレーションシップ クラス、ネットワークなどの拡張データセット タイプを構成するテーブルを、レプリカに含めるかどうかを指定します。

  • [デフォルトの使用] - 関連する拡張データセット タイプを構成するフィーチャクラスとテーブルを追加します。 フィーチャクラスの場合は、デフォルトで空間フィルターを交差するすべてのフィーチャがレプリカに含まれます。 空間フィルターが指定されていないと、すべてのフィーチャが含まれます。 テーブルの場合は、デフォルトでスキーマのみがレプリカに含まれます。
  • [スキーマのみを使用して追加] - 拡張データセット内のフィーチャクラスとテーブルのスキーマを追加しますが、それらのデータは追加しません。
  • [すべての行] - 拡張データセット内のフィーチャクラスとテーブルのすべての行を追加します。
  • [追加しない] - 関連する拡張データセットからフィーチャクラスおよびテーブルを追加しません。

関連データの複製

この設定のオプションは、レプリカに含まれている行に関連付けられている行を複製するかどうかを指定します。 たとえば、レプリケーション フィルター内部にフィーチャ (f1) があり、そのフィルター外部にこのフィーチャに関連付けられた別のクラスの関連フィーチャ (f2) があるとします。 この場合、関連データの取得を選択すると、フィーチャ f2 がレプリカに含まれます。

  • 関連データを取得しない - 関連した行を複製しません。
  • 関連データを取得 - 関連データを複製します。 これがデフォルトです。

レプリカ ジオメトリ フィーチャ

[レプリカ ジオメトリ フィーチャ] オプションを使用して、レプリカ ジオメトリを指定できます。

  • レプリカ ジオメトリ フィーチャとして、ポイント、ライン、またはポリゴンを指定できます。
  • レプリカ ジオメトリ フィーチャに使用されるフィーチャ レイヤーには、1 つ以上のフィーチャを含めることができます。 複数のフィーチャがある場合は、ジオメトリがマージされ、マージされたジオメトリと交差するデータだけが複製されます。
  • フィルター (フィルター設定など) がレプリカ ジオメトリ フィーチャに対して指定されている場合は、これらのフィルター条件を満たしたフィーチャだけがレプリカ ジオメトリの定義に使用されます。
  • [範囲] 環境設定を使用してレプリカ ジオメトリを指定することもできます。
    • [レプリカ ジオメトリ フィーチャ] が設定されている場合、これがレプリカ ジオメトリとして使用されます。
    • [レプリカ ジオメトリ フィーチャ] が設定されていない場合は、[範囲] 環境設定がレプリカ ジオメトリとして使用されます。
    • [レプリカ ジオメトリ フィーチャ] と [範囲] 環境設定がどちらも設定されている場合は、[レプリカ ジオメトリ フィーチャ] 設定が使用されます。
    • [レプリカ ジオメトリ フィーチャ] が設定されておらず、範囲環境設定も指定されていない場合は、データの全範囲が使用されます。

既存データのみ登録

レプリカの作成は、ソース ジオデータベースからターゲット ジオデータベースにデータをコピーし、各ジオデータベースにレプリカを登録して、複製されたデータを記述するプロセスです。 別のジオデータベースにデータをコピーして登録するレプリカの作成プロセスは、データ サイズが大きいデータセットでは時間がかかる可能性があります。

大規模なデータセットを持つユーザーや、2 つのジオデータベースに同一のデータを持つユーザー向けに、レプリカの作成時に既存データのみを登録する [既存データのみ登録] オプションが用意されています。 [既存データのみ登録] オプションを使用すると、ジオデータベースで変更を同期する必要のあるレプリカ バージョンが作成されますが、データはすでに両方のデータベースに存在しているので、データ コピーの処理時間を短縮することができます。

[既存データのみ登録] オプションは、[レプリカの作成 (Create Replica)] ジオプロセシング ツールの [高度な設定] にあります。

レプリカの作成ジオプロセシング ツールにある既存データのみ登録オプション
  • オン - [既存データのみ登録] がオンの場合、データは子ジオデータベースにすでに存在し、レプリカの登録に使用されることが想定されます。
    注意:

    [既存データのみ登録] オプションがオンの場合、[テーブルのすべてのレコード] オプションは使用できません。

  • オフ - [既存データのみ登録] がオフ (デフォルト) の場合、親ジオデータベースのデータが子ジオデータベースにコピーされます。

注意:

[既存データのみ登録] オプションを指定して [レプリカの作成 (Create Replica)] ジオプロセシング ツールを使用する前に、次のすべての要件が満たされている必要があります。 ジオデータベースのレプリケーション要件は、データセット名が一致し、データセットが子ジオデータベースに接続しているユーザーによって所有されているという要件とともに、レプリカ作成プロセス中に行われる唯一の検証です。 レプリカ作成前に他の要件が満たされていなかった場合は、レプリカの作成後、レプリカの同期でエラーが発生します。

[レプリカの作成 (Create Replica)] ジオプロセシング ツールを、[既存データのみ登録] オプションを指定して実行する前に、子 (ターゲット) ジオデータベースが次の要件を満たしている必要があります。
  • 選択したレプリケーション タイプに基づいて適用される追加のレプリケーション要件を含め、ジオデータベースのレプリケーション要件を満たしている必要があります。
  • 子から親への一方向レプリカおよび双方向レプリカの場合、子レプリカのデータをバージョン対応登録する必要があります。
  • 子ジオデータベースに接続しているユーザーによって所有されている必要があります。
  • 親データベースのデータセットと、名前が一致している必要があります。
  • 親データベースのデータセットと、スキーマ、ルール、リレーションシップ、およびプロパティが一致している必要があります。
  • 親データベースのデータセットと、ジオメトリ タイプが一致している必要があります。

ヒント

[既存データのみ登録] オプションを使用する際には、次の点に留意してください。

  • Global ID がレプリケーション タイプの要件である場合は、データを他のジオデータベースにコピーする前に、Global ID を必ずデータに追加する必要があります。 ArcGIS 内の機能を使用してデータをコピーする場合は、コピーと貼り付け、または XML ワークスペースのエクスポートとインポートを使用します。
  • レプリカを作成する場合、ターゲット ジオデータベースのデータの所有者として接続する必要があります。
  • レプリカ作成プロセスで適用されるフィルターはすべて、相対ジオデータベースのデータにも適用されます。

制限事項

[既存データのみ登録] オプションを使用している場合は、次の制限に注意することが重要です。

  • [レプリカの作成 (Create Replica)] ジオプロセシング ツールで [既存データのみ登録] オプションがオンになっている場合、子ジオデータベースで一致するデータセットを選択することはできません。そのため、このオプションを選択する前に、子ジオデータベースのデータセットが正しく構成されており、ジオデータベースのレプリケーション要件をすべて満たしていることを、手動で確認する必要があります。
  • [既存データのみ登録] オプションの使用は、両方のジオデータベースでデータが一致していることが前提となります。したがってレプリカの作成時に、親レプリカと子レプリカでデータセットに違いがあった場合、その違いは同期されません。 ターゲット ジオデータベースにレイヤーがない場合、[レプリカの作成 (Create Replica)] ジオプロセシング ツールは失敗し、エラー メッセージが返されます。

テーブルのすべてのレコード

レプリカ作成プロセスの実行中、複製されるデータセットのデータとスキーマが、複製元のジオデータベースから複製先のジオデータベースにコピーされ、各ジオデータベース内にレプリカが作成されます。 データはテーブル内の行と列として定義され、スキーマは、フィールド、ドメイン、サブタイプ、およびその他のプロパティなどの複製されるデータの情報で構成されます。

データセットの場合のデフォルト動作では、データとスキーマの両方が複製されます。 テーブルの場合のデフォルト動作では、そのテーブルのスキーマだけが複製されます。

[テーブルのすべてのレコード] を使用して、フィルター (選択やフィルター設定など) の適用されていないテーブルの子ジオデータベースにすべてのレコードをコピーするのか、スキーマのみをコピーするのか指定できます。

[テーブルのすべてのレコード] オプションは、[レプリカの作成 (Create Replica)] ジオプロセシング ツールの [高度な設定] にあります。

レプリカの作成ジオプロセシング ツールのテーブルのすべてのレコード オプション

  • オン - [テーブルのすべてのレコード] をオンにすると、フィルターの適用されていないテーブルの子ジオデータベース レプリカに、すべてのレコードがコピーされます。 このオプションは拡張フィーチャクラスとテーブル パラメーターの値をオーバーライドします。
    注意:

    既存データのみ登録 オプションがオンの場合、[テーブルのすべてのレコード] オプションは使用できません。

  • オフ - [テーブルのすべてのレコード] をオフにすると、フィルターの適用されていないテーブルの子ジオデータベースに、スキーマのみがコピーされます。 フィルターの適用されているテーブルが優先されます。 これがデフォルトです。

このトピックの内容
  1. パラメーター
  2. 高度な設定