時空間カーネル密度 (Space Time Kernel Density) (Spatial Analyst)

サマリー

時間や深度 (標高) などの他のディメンションを含めるために、入力フィーチャの相対位置と相対強度の解析からカーネル密度の計算を拡張します。 結果として生成される出力から、複数のカーネル関数を使用して単位面積ごとの値を特定し、滑らかなテーパ サーフェスを各入力ポイントに適合させます。

使用法

• [標高フィールド] (Python では elevation_field) パラメーターと [時間フィールド] (Python では time_field) パラメーターの一方または両方に値を指定する必要があります。 このツールでは最初に、両方のパラメーターが必須として表示されますが、そのうちの一方に値を指定すると、もう一方がオプションになります。

  カーネル関数は、これらのパラメーターに指定した値に基づいて定義されます。 [標高フィールド] パラメーターに値を指定すると、方向 (z) 軸に沿ってカーネルが拡張されます。 [時間フィールド] パラメーターに値を指定すると、時間 (t) 軸に沿ってカーネルが拡張されます。 両方のパラメーターに値を指定すると、z 軸と t 軸に沿ってカーネルが拡張されます。

  これらのパラメーターのうち、いずれか一方にのみ値を指定した場合は、出力が 3 次元ラスターになります。 これらのパラメーターの両方に値を指定した場合は、出力が 4 次元ラスターになります。

• [Population フィールド] (Python では population_field) パラメーターの値が非常に大きいか、非常に小さいと、不自然に見える結果が生成されることがあります。 Population フィールドの平均が 1 よりも非常に大きい場合 (たとえば、都市の人口)、デフォルトの検索範囲が非常に小さくなることがあり、その結果、入力値の周囲のリングが小さくなります。 Population フィールドの平均が 1 よりも非常に小さい場合、計算された検索範囲が不当に大きく見えることがあります。 このような場合は、カスタム検索範囲を指定することができます。

• [セル サイズ] (Python では cell_size) パラメーターは、数値で定義することも、既存のラスター データセットから取得することもできます。 セル サイズがパラメーター値として指定されていない場合、セル サイズ環境が指定されていれば、セル サイズ環境から取得されます。 パラメーターのセル サイズも環境のセル サイズも指定されておらず、スナップ対象ラスター環境が設定されている場合には、スナップ対象ラスターのセル サイズが使用されます。 何も指定されていない場合、セル サイズは、範囲の幅または高さのうち、どちらか短い方を 250 で除算して求められます。この範囲は環境で指定された出力座標系にあります。

• 数値を使用してセル サイズを指定した場合、出力ラスターではそれが直接使用されます。

  ラスター データセットを使用してセル サイズを指定した場合、パラメーターにはセル サイズの値ではなく、ラスター データセットのパスが表示されます。 データセットの空間参照が出力空間参照と同じであれば、そのラスター データセットのセル サイズが解析で直接使用されます。 データセットの空間参照が出力空間参照と異なる場合、指定した [セル サイズ投影法] の値に基づいて投影されます。

• [結果の値] (Python では resultant_values) パラメーターには、出力ラスターの値が表す内容を指定します。 [密度] (Python では DENSITIES) を指定した場合、この値は、各セルの単位面積あたりのカーネル密度の値を表します。 [予測数] (Python では EXPECTED_COUNTS) を指定した場合、この値は、セル面積あたりのカーネル密度を表します。

• 正しい距離と面積を正確に維持する投影法を使用してローカル縮尺で解析を実行する場合は、[方法] (Python では method) パラメーターの [平面] オプションが適しています。 地域的な縮尺または大縮尺で (たとえば、Web メルカトルや地理座標系を使用して) 解析を実行する場合は、[測地線] オプションが適しています。 この方法では、楕円体の曲率を考慮して、極と日付変更線の近くのデータを正確に処理します。

• 近傍内にあるポイントだけが密度の計算で考慮されます。 特定セルの近傍内にポイントがない場合は、そのセルに NoData が割り当てられます。

• NULL 値をサポートするデータ形式 (ファイル ジオデータベース フィーチャクラスなど) では、入力として使用された NULL 値は無視されます。

• このツールに適用されるジオプロセシング環境の詳細については、「解析環境と Spatial Analyst」をご参照ください。

• 参考文献:

  Hu, Y., Wang, F., Guin, C., & Zhu, H. (2018). "A spatio-temporal kernel density estimation framework for predictive crime hotspot mapping and evaluation." Applied geography, 99, 89-97.

  Nakaya, T., & Yano, K. (2010). Visualising crime clusters in a space‐time cube: An exploratory data analysis approach using space time kernel density estimation and scan statistics. Transactions in GIS, 14(3), 223-239.

  Silverman, B. W. Density Estimation for Statistics and Data Analysis. New York: Chapman and Hall, 1986.

パラメーター

ダイアログ

ラベル	説明	データ タイプ
入力ポイント フィーチャ	密度が計算される入力ポイント フィーチャ。	Feature Layer
Population フィールド	各フィーチャの人口値を示すフィールド。 人口は、連続サーフェスを作成する地形上に分散する個数や数量です。 人口フィールドの値は、整数値または浮動小数点値です。 アイテムまたは特殊な値を使用せず、各フィーチャを 1 回だけカウントする場合は、None を使用します。	Field
高度フィールド (オプション)	各フィーチャの標高値を示すフィールド。 標高フィールドの値は、整数または浮動小数点にすることができます。 時間の経過に伴う 3D カーネル密度をサポートする場合は、空の値を使用します。 3D フィーチャでは、疑似フィールド (Shape.Z) がフィールド リストに追加されます。	Field
標高フィールドの単位 (オプション)	入力標高フィールドの値に使用される計測単位。 デフォルト値はメートルです。 適切な単位を使用して、[標高フィールド] パラメーターの値を表します。 インチ—インチが使用されます。 フィート—フィートが使用されます。 ヤード—ヤードが使用されます。 US マイル—US マイルが使用されます。 海里—海里が使用されます。 ミリメートル—ミリメートルが使用されます。 センチメートル—センチメートルが使用されます。 メートル—メートルが使用されます。 キロメートル—キロメートルが使用されます。 デシメートル—デシメートルが使用されます。	String
時間フィールド (オプション)	各フィーチャの時間値を示すフィールド。	Field
セル サイズ (オプション)	生成される多次元ラスター出力のセル サイズ。 この値は、数値で定義するか、既存のラスター データセットから取得することができます。 セル サイズがパラメーター値として指定されていない場合、環境のセル サイズの値が設定されていれば、その値が使用されます。設定されていない場合は、追加のルールを使用して別の入力から計算されます。 詳細については、ツールの使用方法をご参照ください。	Analysis Cell Size
検索範囲 (x および y) (オプション)	密度の計算対象となる x-y 面の検索範囲。 使用する単位を定義します。 たとえば、単位がメートルの場合に、1 マイル近傍内のフィーチャをすべて含めるには、検索範囲を 1609.344 に設定します (1 マイル = 1609.344 メートル)。	Linear Unit
検索範囲 (z) (オプション)	密度の計算対象となる z 方向の垂直検索距離。 この垂直距離は、z 軸に沿った上方向と下方向のフィーチャの検索に使用されます。 使用する単位を定義します。	Linear Unit
検索タイム ウィンドウ (t) (オプション)	密度の計算対象となる時間の検索範囲。 使用する単位を定義します。	Time Unit
結果の値 (オプション)	出力ラスターの値が表す内容を指定します。 出力セルの値は指定のセル サイズにリンクされているため、結果のラスターは異なるセル サイズに合わせてリサンプリングすることができません。 密度—値は、各セルの単位面積あたりのカーネル密度の値の計算結果を表します。 これがデフォルトです。 予測数—値は、セル面積あたりのカーネル密度の値の計算結果を表します。	String
方法 (オプション)	平面地球 (平面) を使用するか楕円体 (測地線) の最短経路を使用するかを指定します。 平面—フィーチャが使用される平面距離。 これがデフォルトです。 測地線—フィーチャが使用される測地距離。	String
最小標高 (オプション)	多次元ラスター出力に使用される標高の開始値。	Double
最大標高 (オプション)	多次元ラスター出力に使用される標高の終了値。	Double
標高の間隔 (オプション)	多次元ラスター出力の各スライスの標高間隔。	Double
標高単位 (オプション)	多次元ラスター出力に使用される標高間隔の単位を指定します。 デフォルトはメートルです。 インチ—インチが使用されます。 フィート—フィートが使用されます。 ヤード—ヤードが使用されます。 US マイル—US マイルが使用されます。 海里—海里が使用されます。 ミリメートル—ミリメートルが使用されます。 センチメートル—センチメートルが使用されます。 メートル—メートルが使用されます。 キロメートル—キロメートルが使用されます。 デシメートル—デシメートルが使用されます。	String
開始時間 (オプション)	多次元ラスター出力に使用される開始時間。	Date
終了時間 (オプション)	多次元ラスター出力に使用される終了時間。	Date
時間間隔 (オプション)	多次元ラスター出力の各スライスの時間間隔。	Double
時間間隔の単位 (オプション)	多次元ラスター出力に使用される時間間隔の単位を指定します。 デフォルトは日です。 秒—時間間隔の単位が秒になります。 分—時間間隔の単位が分になります。 時間—時間間隔の単位が時間になります。 日—時間間隔の単位が日になります。 週—時間間隔の単位が週になります。	String

戻り値

ラベル	説明	データ タイプ
出力ラスター	クラウド ラスター形式 (.crf) での出力カーネル密度の多次元ラスター データセット。 現在、他の出力形式はサポートされていません。 常に浮動小数点ラスターです。	Raster

Python

SpaceTimeKernelDensity(in_features, population_field, {elevation_field}, {elevation_field_unit}, {time_field}, {cell_size}, {kernel_search_radius_xy}, {kernel_search_radius_z}, {kernel_search_time_window}, {resultant_values}, {method}, {min_elevation}, {max_elevation}, {elevation_interval}, {elevation_unit}, {start_time}, {end_time}, {time_interval}, {time_interval_unit})

名前	説明	データ タイプ
in_features	密度が計算される入力ポイント フィーチャ。	Feature Layer
population_field	各フィーチャの人口値を示すフィールド。 人口は、連続サーフェスを作成する地形上に分散する個数や数量です。 人口フィールドの値は、整数値または浮動小数点値です。 アイテムまたは特殊な値を使用せず、各フィーチャを 1 回だけカウントする場合は、'' を使用します。	Field
elevation_field (オプション)	各フィーチャの標高値を示すフィールド。 標高フィールドの値は、整数または浮動小数点にすることができます。 時間の経過に伴う 3D カーネル密度をサポートする場合は、'' を使用します。 3D フィーチャでは、疑似フィールド (Shape.Z) がフィールド リストに追加されます。	Field
elevation_field_unit (オプション)	入力標高フィールドの値に使用される計測単位。 デフォルト値はメートルです。 適切な単位を使用して、elevation_field パラメーターの値を表します。 INCH—インチが使用されます。 FOOT—フィートが使用されます。 YARD—ヤードが使用されます。 MILE_US—US マイルが使用されます。 NAUTICAL_MILE—海里が使用されます。 MILLIMETER—ミリメートルが使用されます。 CENTIMETER—センチメートルが使用されます。 METER—メートルが使用されます。 KILOMETER—キロメートルが使用されます。 DECIMETER—デシメートルが使用されます。	String
time_field (オプション)	各フィーチャの時間値を示すフィールド。	Field
cell_size (オプション)	生成される多次元ラスター出力のセル サイズ。 この値は、数値で定義するか、既存のラスター データセットから取得することができます。 セル サイズがパラメーター値として指定されていない場合、環境のセル サイズの値が設定されていれば、その値が使用されます。設定されていない場合は、追加のルールを使用して別の入力から計算されます。 詳細については、ツールの使用方法をご参照ください。	Analysis Cell Size
kernel_search_radius_xy (オプション)	密度の計算対象となる x-y 面の検索範囲。 使用する単位を定義します。 たとえば、単位がメートルの場合に、1 マイル近傍内のフィーチャをすべて含めるには、検索範囲を 1609.344 に設定します (1 マイル = 1609.344 メートル)。	Linear Unit
kernel_search_radius_z (オプション)	密度の計算対象となる z 方向の垂直検索距離。 この垂直距離は、z 軸に沿った上方向と下方向のフィーチャの検索に使用されます。 使用する単位を定義します。	Linear Unit
kernel_search_time_window (オプション)	密度の計算対象となる時間の検索範囲。 使用する単位を定義します。	Time Unit
resultant_values (オプション)	出力ラスターの値が表す内容を指定します。 出力セルの値は指定のセル サイズにリンクされているため、結果のラスターは異なるセル サイズに合わせてリサンプリングすることができません。 DENSITIES—値は、各セルの単位面積あたりのカーネル密度の値の計算結果を表します。 これがデフォルトです。 EXPECTED_COUNTS—値は、セル面積あたりのカーネル密度の値の計算結果を表します。	String
method (オプション)	平面地球 (平面) を使用するか楕円体 (測地線) の最短経路を使用するかを指定します。 PLANAR—フィーチャが使用される平面距離。 これがデフォルトです。 GEODESIC—フィーチャが使用される測地距離。	String
min_elevation (オプション)	多次元ラスター出力に使用される標高の開始値。	Double
max_elevation (オプション)	多次元ラスター出力に使用される標高の終了値。	Double
elevation_interval (オプション)	多次元ラスター出力の各スライスの標高間隔。	Double
elevation_unit (オプション)	多次元ラスター出力に使用される標高間隔の単位を指定します。 デフォルトはメートルです。 INCH—インチが使用されます。 FOOT—フィートが使用されます。 YARD—ヤードが使用されます。 MILE_US—US マイルが使用されます。 NAUTICAL_MILE—海里が使用されます。 MILLIMETER—ミリメートルが使用されます。 CENTIMETER—センチメートルが使用されます。 METER—メートルが使用されます。 KILOMETER—キロメートルが使用されます。 DECIMETER—デシメートルが使用されます。	String
start_time (オプション)	多次元ラスター出力に使用される開始時間。	Date
end_time (オプション)	多次元ラスター出力に使用される終了時間。	Date
time_interval (オプション)	多次元ラスター出力の各スライスの時間間隔。	Double
time_interval_unit (オプション)	多次元ラスター出力に使用される時間間隔の単位を指定します。 デフォルトは日です。 SECOND—時間間隔の単位が秒になります。 MINUTE—時間間隔の単位が分になります。 HOUR—時間間隔の単位が時間になります。 DAY—時間間隔の単位が日になります。 WEEK—時間間隔の単位が週になります。	String

戻り値

名前	説明	データ タイプ
out_raster	クラウド ラスター形式 (.crf) での出力カーネル密度の多次元ラスター データセット。 現在、他の出力形式はサポートされていません。 常に浮動小数点ラスターです。	Raster

コードのサンプル

SpaceTimeKernelDensity の例 1 (Python ウィンドウ)

次の例では、シェープファイルを使用して、平滑化された時系列カーネル密度を計算しています。

from arcpy import env  
from arcpy.sa import * 

env.workspace = "C:/sapyexamples/data" 
STKD_out_raster = SpaceTimeKernelDensity("WOD_subset.shp", "Salinity", "Z", "Meter",
                                         "Time", "0.001", resultant_values="Densities",
                                         method="Planar", elevation_unit="Meter")  

STKD_out_raster.save("C:/sapyexamples/output/STKD_out.crf")

SpaceTimeKernelDensity の例 2 (スタンドアロン スクリプト)

次の例では、多次元データセットを使用して、平滑化された時系列カーネル密度を計算しています。

## Name: SpaceTimeKernelDensity_Ex_standalone.py  
## Description: Calculate spatial temporal salinity concentration using a multidimensional dataset 
## Requirements: Spatial Analyst Extension 
 
## Import system modules 
import arcpy  
from arcpy import env   
from arcpy.sa import *

## Check out the ArcGIS Spatial Analyst extension license
arcpy.CheckOutExtension("Spatial")
 
## Set environment settings 
env.workspace = r" C:\STKD_Test"
# To allow overwriting outputs change overwriteOutput option to True. 
env.overwriteOutput = False 
  
## Set local variables 
in_features = "WOD_subset"  
Population_Field = "Salinity"  
Elevation_Field = "Z"  
Elevation_Field_Unit = "Meter"  
Time_Field = "Time"  
Cell_Size = "30"  
Resultant_values = "Densities"  
Method = "Planar" 
Elevation_Unit = "Meter"  
  
## Execute: Space Time Kernel Density  
STKD_out_raster = SpaceTimeKernelDensity(in_features, Population_Field,   
                                Elevation_Field, Elevation_Field_Unit,   
                                Time_Field, Cell_Size,   
                                resultant_values=Resultant_values,   
                                method=Method, 
                                elevation_unit=Elevation_Unit) 
  
## Save the output 
STKD_out_raster.save("STKD_test.crf")

環境

自動コミット, セル サイズ, セル サイズ投影法, 現在のワークスペース, 範囲, 地理座標系変換, マスク, 出力データのコンフィグレーション キーワード, 出力座標系, 並列処理ファクター, テンポラリ ワークスペース, スナップ対象ラスター, タイル サイズ