以下では、IBM Cognos Business Intelligence アーキテクチャの概要について説明します。詳細については、 『IBM Cognos BI アーキテクチャおよび配置ガイド』をご参照ください。
IBM Cognos は、3 つのサーバー層から構成される Web ベースのサービス指向アーキテクチャ (SOA) です。
- Web 層
- アプリケーション層
- データ層
IBM Cognos プラットフォームにおいて、サーバーは分散配置の中で特定の役割を果たすために通常グループ化されます。これらのサーバーの役割は、IBM Cognos BI サーバーが使用するアーキテクチャ内の層を定義します。層はビジネス上の機能に基づき、通常はネットワーク ファイアウォールによって分離されています。
Web 層: IBM Cognos BI ゲートウェイ
Web 層は、IBM Cognos BI アプリケーションへのユーザー接続を支援します。この役割を果たすコンポーネントは、IBM Cognos ゲートウェイと呼ばれます。IBM Cognos ゲートウェイは、IBM Cognos プラットフォームのすべての Web 通信を管理します。外部の HTTP 負荷分散ルーターとともに、複数のゲートウェイを冗長に配置することで、高可用性と拡張性の要件を満たすことができます。
IBM Cognos Business Intelligence における Web 通信は通常、1 つまたは複数の Web サーバー上にあるゲートウェイを通じて行われます。ゲートウェイとは、Web サーバーから別のサーバーに情報を転送する Web サーバー プログラムのエクステンションです。
Web 通信は IBM Cognos BI ディスパッチャを使用して直接行うこともできます。ただし、このオプションは、ゲートウェイを使用する場合より一般的ではありません。
コンテンツ マネージャーやアプリケーション層コンポーネントとは異なるコンピューターにゲートウェイ コンポーネントをインストールする場合は、(できれば、アプリケーション層コンポーネントのコンピューター上にある) ディスパッチャの場所を認識するように、ゲートウェイ コンピューターを構成する必要があります。フェイルオーバーによる保護機能のために、ゲートウェイ コンピューターに対して複数のディスパッチャを構成できます。
アプリケーション層: IBM Cognos BI サーバー
アプリケーション層には、1 つまたは複数の IBM Cognos BI サーバーが含まれています。IBM Cognos BI サーバーは、レポート、分析、クエリなど、ゲートウェイから転送されるリクエストを実行します。また、IBM Cognos BI サーバーは、Cognos Connection インターフェイスを描画します。
アプリケーション層は、主に 3 つのサーバー コンポーネントから構成されます。
- IBM Cognos ディスパッチャ
- IBM Cognos レポート サーバー
- IBM Cognos Content Manager
IBM Cognos ディスパッチャ
ディスパッチャは、コンピューター上で構成および有効化されたすべての IBM Cognos サービスを開始し、リクエストをルーティングします。ディスパッチャは、レポート サービス、プレゼンテーション サービス、ジョブ サービス、またはモニターリング サービスなどのローカル サービスにリクエストをルーティングできます。 また、ディスパッチャは、所定のリクエストを実行するために、特定のディスパッチャにリクエストをルーティングできます。リクエストは、負荷分散のニーズやパッケージまたはユーザー グループの要件に基づき、特定のディスパッチャにルーティングできます。
IBM Cognos BI ゲートウェイを構成するとき、対象のディスパッチャの URI (Universal Resource Identifiers) を、優先順位の高い順にリストできます。あるディスパッチャが停止した場合は、リストに基づいて次のディスパッチャにリクエストがルーティングされます。ディスパッチャが開始すると、自身をコンテンツ マネージャーに登録します。その結果、各ディスパッチャはその他のディスパッチャを認識できます。ディスパッチャが停止するか利用不能になると、そのディスパッチャへのリクエストは、停止したディスパッチャが自身を登録するまで、利用可能な次のディスパッチャにルーティングされます。
IBM Cognos レポート サーバー
IBM Cognos BI をインストールおよび構成すると、デフォルトで各コンピューターに 1 つのディスパッチャが利用できます。各ディスパッチャには、一連のサービスが関連付けられています。IBM Cognos ディスパッチャは、IBM Cognos レポート サーバー プロセスを必要に応じて動的に開始し、リクエストの負荷を処理します。
利用できるサービスの全リストは、このドキュメントでは扱いません。次のサービスは、Esri Maps for IBM Cognos をインストールおよび構成する方法に直接影響するため説明します。
プレゼンテーション サービス:
- 別のサービスからの汎用 XML レスポンスを HTML や PDF などの出力形式に変換します。
- IBM Cognos Connection の表示、操作、管理機能を提供します。
レポート サービス:
- 対話型リクエストを管理してレポートを実行し、IBM Cognos Connection または Report Studio のユーザーに出力を提供します。
IBM Cognos Content Manager
IBM Cognos Content Manager は、セキュリティ設定および構成、サーバー構成設定、パッケージ、レポート仕様、およびレポート出力といったアプリケーション情報の格納などを管理する IBM Cognos プラットフォーム サービスです。IBM Cognos Content Manager は、コンテンツ ストア データベースと呼ばれるリレーショナル データベースで情報を保守します。
IBM Cognos プラットフォームのそれぞれの実装に対して、最低 1 つの IBM Cognos Content Manager が必要です。
データ層: コンテンツ プロバイダー
IBM Cognos Business Intelligence のデータ層には、以下のものがあります。
- Content Store - IBM Cognos BI 製品の処理に必要なデータを持つリレーショナル データベースです。レポート仕様、公開されたモデル、それらを含むパッケージ、データ ソースへの接続情報、外部の名前空間に関する情報、Cognos の名前空間自体、レポートのスケジュールと配信に関する情報。
- データ ソース - IBM Cognos BI を通じてアクセスできるデータ ソースには、リレーショナル データベース、ディメンションまたは OLAP キューブ、フラット ファイル、その他の物理データ ストアなどがあります。また、データへのアクセスに必要な接続情報も含まれます。
IBM Cognos の配置例
以下の図は、IBM Cognos の配置例を示したものです。1 つはコンテンツ マネージャーを実行している 1 つのサーバーと、レポート サーバーの役割を果たす 2 つのサーバーの 3 つのディスパッチャがあります。
![IBM Cognos の配置例 IBM Cognos の配置例](GUID-0F6893FB-6497-4575-9106-35BDCD191206-web.png)
詳細については、 「IBM Cognos Business Intelligence インストールおよび構成ガイド」 に記載の IBM Cognos のインストールと初期構成手順をご参照ください。
IBM Cognos プラットフォームのアーキテクチャとサーバー配置オプションの詳細については、 『IBM Cognos BI アーキテクチャおよび配置ガイド』をご参照ください。