リアルタイム キネマティック処理と後処理キネマティック処理

リアルタイム キネマティック (RTK) ドローン画像には記録された精度と方向の情報から成るメタデータ フィールドが含まれており、ArcGIS Drone2Map はこれを使用して出力プロダクトを調整することができます。 後処理キネマティック (PPK) ドローン画像にも同じメタデータ情報が含まれており、通常は外部ファイルとして保存され、画像を ArcGIS Drone2Map にインポートする際に使用されます。

RTK ドローンと PPK ドローンはどちらも、処理後は高精度の出力画像プロダクトを提供することができます。 ただし、最高の精度を得るためには、地上コントロールをチェック ポイントとしてプロジェクトに取り込むこともお勧めします。 追加のステップをいずれかのワークフローに取り込むことで最大の成果を得ることができます。

RTK または PPK ドローン画像のインポート

Drone2Map で RTK または PPK ドローンからの画像を処理するには、最初に画像インポート ステップを実行します。

RTK ドローン画像のインポート

RTK ドローン画像をインポートするには、次の手順を実行します。

  1. ArcGIS Drone2Map を開きます。
  2. 処理テンプレートを選択します。
  3. [画像の追加] をクリックして、個々の画像をプロジェクトに追加するか、[フォルダーの追加] をクリックして、画像のフォルダーをプロジェクトに追加します。
  4. 画像またはフォルダーを選択し、[OK] をクリックします。

    画像がインポートされて画像テーブルに表示され、基本メタデータがリストされます。

PPK ドローン画像のインポート

PPK ドローン画像では RTK 画像と比較して追加のステップがいくつか必要ですが、プロセスはほぼ同じです。

PPK ドローン画像をインポートするには、次の手順を実行します。

  1. ArcGIS Drone2Map を開きます。
  2. 処理テンプレートを選択します。
  3. [画像の追加] をクリックして、個々の画像をプロジェクトに追加するか、[フォルダーの追加] をクリックして、画像のフォルダーをプロジェクトに追加します。

    画像がインポートされて画像テーブルに表示され、基本メタデータがリストされます。

  4. [作成] をクリックすると、プロジェクトが作成されます。
  5. フライト データ タブのジオロケーション グループで、[GPS ソース] ボタンをクリックします。

    GPS ソースの設定ウィンドウが表示されます。

  6. [インポート] をクリックして GPS インポート オプションを表示します。
  7. [参照] ボタンをクリックします。
  8. PPK メタデータ ファイルを参照し、[OK] をクリックします。

    PPK メタデータ ファイルは TXT、CSV、または MRK 形式のいずれかです。 PPK で収集された画像の場合、それらの画像を特別なソフトウェアから実行して、Drone2Map に画像情報を提供するメタデータ ファイルを取得する必要があります。 ArcGIS Drone2Map では PPK 補正処理はサポートされておらず、出力メタデータ ファイルの解釈のみがサポートされています。

  9. ドロップダウン項目を使用して、インポートされたファイルの正しいメタデータ フィールドと対応するように GPS フィールド情報を構成します。
  10. [OK] をクリックします。

    画像メタデータではなく新しい PPK ファイルを使用するようにプロジェクト画像が更新されます。

画像座標系の構成

画像座標系は、ドローンが各ドローン画像位置にジオタグを付加するときに使用する座標系を表します。 ほとんどの RTK ドローンは画像位置を地理座標系 WGS 1984 で記録し、楕円体の高さ (通常は WGS 1984) を使用してドローンの高度を測定します。 ただし、Drone2Map で画像を処理する前に、ドローンのメーカーと基地局で正しい画像座標系を確認しておくことが重要です。

RTK または PPK 画像をインポートした後で画像座標系を構成するには、次の手順を実行します。

  1. [画像座標系] ボタンをクリックします。

    x,y 座標系が選択された状態で空間参照ウィンドウが表示されます。

  2. 検索ボックスを使用するか使用可能な x,y 座標系オプションを展開して、目的の座標系を見つけます。

    カスタム座標系または独自の座標系ファイルを使用している場合、[座標系の追加] ドロップダウン メニューからインポートできます。

  3. [現在の Z] タイルをクリックします。
  4. 検索ボックスを使用するか使用可能な z 座標系オプションを展開して、目的の座標系を見つけます。
  5. [OK] をクリックします。

チェック ポイントのインポート

GCP を収集することなく高精度のプロダクトを作成できるという見込みは、RTK ドローンや PPK ドローンの最も魅力的な利点であることはほぼ間違いありません。 GCP を使用せずに RTK ドローンや PPK ドローンから高精度の 2D および 3D プロダクトを作成することは可能ですが、チェック ポイントがなければ、プロダクトの精度を検証する手段がありません。 したがって、チェック ポイントの使用は RTK および PPK のワークフローで引き続き不可欠な要素となります。

注意:

地理測地基準系間の変換誤差を回避するため、コントロール ポイントは RTK または PPK ドローン画像と同じ地理座標系内の投影座標系で収集することを強くお勧めします。

プロジェクトの作成時にチェック ポイントをインポートするには、次の手順を実行します。

  1. [新しいプロジェクト] ページで RTK または PPK 画像をインポートします。
  2. [コントロールのインポート] ボタンをクリックします。

    [コントロールのインポート] ウィンドウが表示されます。

  3. コントロール ポイント ファイルを参照して選択します。
  4. [OK] をクリックします。

    プロジェクトの作成時にコントロール ポイントがインポートされてコントロール フィーチャクラスに追加されます。 投影座標系はデフォルトでコントロールと同じものになるため、出力結果で必要な座標系を把握しておくことが重要です。 コントロール ポイントをチェック ポイントとしてリンクする方法については、「コントロールの管理」をご参照ください。

投影座標系の構成

投影座標系は、処理が完了した後の 2D および 3D プロダクトの座標系です。 Drone2Map では、インポートされたコントロールと同じ座標系で出力プロダクトが作成されます。 コントロール ポイントをすでにインポートしている場合、投影座標系を設定する必要はありません。 コントロール ポイントをインポートしていない場合、投影座標系の設定を使用して投影座標系を定義します。

RTK または PPK 画像をインポートした後で投影座標系を構成するには、次の手順を実行します。

  1. [投影座標系] ボタンをクリックします。

    x,y 座標系が選択された状態で空間参照ウィンドウが表示されます。

  2. 検索ボックスを使用するか使用可能な x,y 座標系オプションを展開して、目的の座標系を見つけます。

    カスタム座標系または独自の座標系ファイルを使用している場合、[座標系の追加] ドロップダウン メニューからインポートできます。

  3. [現在の Z] タイルをクリックします。
  4. 検索ボックスを使用するか使用可能な z 座標系オプションを展開して、目的の座標系を見つけます。
  5. [OK] をクリックします。

変換の指定

画像座標系と投影座標系が異なる地理測地基準系に基づいている場合、この 2 つの座標系間で変換を行う必要があります。 Drone2Map では、必要な場合にデフォルトの変換が自動的に選択されます。 ただし、楕円体高から海抜高度に変換する場合など、複数の変換が存在することがあります。 たとえば、投影鉛直座標系として NAVD88 を選択する場合、GEOID12B や GEOID18 などの必要なジオイド モデル (Drone2Map 2023.2 以降) を選択することができます。

注意:

Drone2Map には一部の変換のみが付属しており、ArcGIS Coordinate Systems Data をダウンロードしてインストールすることをお勧めします。

次のワークフローに従ってプロジェクトを作成した後で、変換が適用されます。

  1. [ホーム] タブの処理グループで、[オプション] ボタンをクリックします。

    オプション ウィンドウが表示されます。

  2. [座標系] タブをクリックします。
  3. [変換の選択] ドロップダウン メニューを使用して必要な変換を選択します。

    プロジェクトで調整ステップがすでに実行されている場合、すべての座標系変更がロックされます。 オプションに再びアクセスするには、プロジェクト処理ステップをリセットする必要があります。 これはオプション ウィンドウの [プロジェクト データ] タブで行えます。

高精度 GPS の有効化

Drone2Map には、RTK または PPK ドローンの高精度 GPS 機能をフルに利用する、高精度 GPS (RTK および PPK) の画像位置の修正という名前の処理オプションが備わっています。 このオプションがオンになっている場合、Drone2Map は画像の調整ステップの間に画像位置の最適化を試みません。 これにより、RTK または PPK ドローンによって収集された画像の位置は、調整の間、固定されたままとなります。

高精度 GPS 用にプロジェクトを構成するには、次の手順を実行します。

  1. [ホーム] タブの処理グループで、[オプション] ボタンをクリックします。

    オプション ウィンドウが表示されます。

  2. [画像の調整] タブをクリックします。
  3. [高精度 GPS (RTK および PPK) の画像位置の修正] のチェックボックスをオンにします。

    高精度 GPS の画像位置の修正オプションは、精度値が歪む可能性があるため、地上コントロール ポイントとともに使用してはなりません。 このオプションがオンになっており、地上コントロール ポイントがプロジェクト内でリンクされている場合、処理の前に警告が表示されます。

  4. [適用] をクリックします。
  5. [OK] をクリックして、ウィンドウを閉じます。

RTK および PPK プロジェクトでデータの構成と理解に時間を割くことで、最適な出力結果を得ることができます。 このワークフローに従うことで、問題が発生する可能性を下げることができます。 RTK と PPK のトラブルシューティングに関するヒントと情報については、「リアルタイム キネマティック データ収集」をご参照ください。