処理レポート

2025.1    |    |  

すべての ArcGIS Drone2Map プロジェクトには、ブロック調整の結果を表示する詳細な処理レポートがあります。 ブロック調整は、オーバーラップ画像、コントロール ポイント、カメラまたはセンサー モデル、およびデジタル標高モデル (DEM) に基づいて、調整または変換を計算するプロセスです。 ブロック調整の実行後は、調整の結果を確認し、調整に使用したコントロール ポイント (地上コントロール ポイント (GCP)、タイ ポイント、チェック ポイント) の品質を評価する必要があります。

初期処理手順を実行後にレポートにアクセスするには、[ホーム] タブの [処理] セクションで [レポート] をクリックします。 また、プロジェクト フォルダーに保存された PDF または HTML 形式の処理レポートには、いつでもアクセスできます。 処理レポートには、次のセクションがあります。

概要

[プロジェクト サマリー] テーブルには、使用されているカメラやプロジェクトの全体的な範囲など、そのプロジェクトに関する基本的な情報が表示されます。 [処理サマリー] テーブルの各フィールドについて以下で説明します。

フィールド名説明

Project Name

ArcGIS Drone2Map プロジェクトの名前。

Processed On

レポートの生成日時。

Camera Model

処理で使用されるドローン カメラのモデル。

Mission Size

ミッションの画像の合計サイズ (単位: ギガピクセル)。

Coverage Area

処理で使用されるプロジェクト エリアのサイズ。 単位はヘクタールまたはエーカーです。

Mean Ground Sampling Distance

画像コレクションのすべての画像の平均地上サンプリング距離。 単位はメートルまたはフィートでリストされます。

Processing Time

プロジェクトの処理にかかった合計時間。

品質チェック

[品質チェック] セクションでは、ブロック調整プロセスに使用される設定と調整の品質の概要を確認できます。 [品質チェック] テーブルの各フィールドについて以下で説明します。

フィールド名説明

Calibrated Images

画像の外部標定パラメーターと内部標定パラメーターが正確に最適化されるよう、調整に正常に追加された画像の数。 キャリブレーションされた画像が 95% 以上の場合、このチェックは合格 成功 です。 キャリブレーションされた画像が 50% 未満の場合、入力画像またはカメラ パラメーターに誤りがある可能性があります。 たとえば、画像の半分以上が水域で占められている場合が該当します。

Calibrated Focal Length (Initial, Adjusted, Optimized)

初期カメラ焦点距離の値と調整後の焦点距離の値を比較し、その差をパーセントで示したもの。 差が 25% 未満の場合、カメラ キャリブレーションが入力焦点距離に近い最適化された値に収束することを意味します。 それ以外の場合は、入力焦点距離またはピクセル サイズに誤りがある可能性があります。

Tie Point Mean Reprojection Error RMSE

すべてのプロジェクト タイ ポイントにおける二乗平均平方根誤差 (RMSE) (単位: ピクセル)。

ほとんどの直下フレーム カメラの場合、この値は 0.5 ピクセル未満である必要があります。 斜め撮影カメラの場合、1.0 ピクセル未満が許容範囲です。 タイ ポイント平均再投影 RMSE が 1 ピクセルより大きい場合、カメラ キャリブレーションが正確でない可能性があります。 たとえば、カメラがローリング シャッター タイプである可能性もありますが、調整ではローリング シャッター モードは有効になりません。 あるいは、初期入力カメラの焦点距離またはピクセル サイズが正しくありません。

Mean Number of Tie Points per Solution Point

タイ ポイント数とソリューション ポイント数の比率。 1 つのソリューション ポイントを観測できる画像の平均数が記録されます。 フライトの構成が反映されます。 最適な画像コレクションの場合、値が 3 より大きい必要があります。 平均タイ ポイント観測数が 2.5 未満の場合、通常は連続画像間のオーバーラップが十分でないことを意味します。

Ground Control Points Used

プロジェクト内で使用されている地上コントロール ポイントの数。

すべての地上コントロール ポイントの二乗平均平方根誤差 (RMSE) が XY 方向と Z 方向で示されます。 すべての残差が地表解像度の 3 倍未満である場合、このチェックは合格 成功 です。 単位はフィートまたはメートルです。

Checkpoints Used

プロジェクト内で使用されているチェック ポイントの数。

すべての地上コントロール ポイントの二乗平均平方根誤差 (RMSE) が XY 方向と Z 方向で示されます。 すべての残差が地表解像度の 5 倍未満である場合、このチェックは合格 成功 です。 単位はフィートまたはメートルです。

画像の調整

タイ ポイント再投影誤差グラフには、そのプロジェクトに生成されたすべてのタイ ポイントおよび初期計算位置からの平均再投影誤差から成るチャートが表示されます。

[方位の不確実性] テーブルには、[画像の調整] ステップ後にプロジェクト画像について計算された外部標定要素 (X、Y、Z、Omega、Phi、Kappa) の最小値、最大値、標準偏差がリストされます。 標準偏差は、最適化されたパラメーターの信頼性を示します。 通常、調整の品質が上がるほど、標準偏差は 0 に近づきます。 パラメーターが処理オプションで固定されていると値は 0 になります。 [方位の不確実性] テーブルの各フィールドについて以下で説明します。

フィールド名説明

X

最初の位置から X 方向へのソリューション ポイントのシフト。 単位はフィートまたはメートルです。

Y

最初の位置から Y 方向へのソリューション ポイントのシフト。 単位はフィートまたはメートルです。

Z

最初の位置から Z 方向へのソリューション ポイントのシフト。 単位はフィートまたはメートルです。

Omega (degrees)

カメラの X 軸の画像回転角度のシフト。 単位は度 (10 進) です。

Phi (degrees)

カメラの Y 軸の画像回転角度のシフト。 単位は度 (10 進) です。

Kappa (degrees)

カメラの Z 軸の画像回転角度のシフト。 単位は度 (10 進) です。

初期の画像位置と調整後の画像位置

[初期の画像位置と調整後の画像位置] グラフには、ブロック調整前後の各画像の GPS 偏差が表示されます。 青い点は、GPS から見た画像の最初の位置を示し、緑の点は、調整後の GPS の位置を示します。 このグラフを表示するときに、画像コレクション内の画像の方向シフトを評価して、調整のシステム エラーを評価します。 [初期の画像位置と調整後の画像位置] テーブルの各フィールドについて以下で説明します。

フィールド名説明

dX

最初の位置から X 方向への画像シフト。 単位はフィートまたはメートルです。

dY

最初の位置から Y 方向への画像シフト。 単位はフィートまたはメートルです。

dZ

最初の位置から Z 方向への画像シフト。 単位はフィートまたはメートルです。

交差の一致

[交差の一致] グラフは、画像間の接続のレベルを示します。 暗い色のリンクは、多数のタイ ポイント セットを示し、画像間の接続性が強いことを示します。 タイ ポイントが十分であるか不足している画像コレクションのエリアを特定し、この情報を使用して、必要に応じて、コントロール ポイントまたはオーバーラップ画像を追加します。

画像オーバーラップ

[画像オーバーラップ] グラフは、画像間の重複を示す静的マップを示します。 オーバーラップする画像の数が多いと、3D のオルソ プロダクトの精度が向上します。 このグラフを使用すると、オーバーラップを追加する必要のある画像コレクションのエリアを特定したり、調整の精度をより深く理解したりすることができます。

カメラ パラメーター

[カメラ パラメーター] セクションの [集計テーブル] には、そのプロジェクトで使用されているカメラの詳細が表示されます。

[集計テーブル] の各フィールドについて以下で説明します。

フィールド名説明

Camera Model

画像メタデータから読み取られたカメラ モデル情報。

Serial Number

画像メタデータから読み取られたカメラのシリアル番号。

Images Used vs Total

カメラのプロジェクト画像の総数に対する、処理に使用されたカメラの画像の数の比率。

Acquisition Date

画像メタデータから読み取られた画像が撮影された日付。 複数のフライトが存在する場合、最新の日付が使用されます。

[最適化されたカメラ パラメーター] テーブルには、調整に使用されたカメラ キャリブレーション情報が表示されます。 カメラ キャリブレーション パラメーターは、[カメラ パラメーターの編集] ウィンドウで [フライト データ] リボンにある [カメラの編集] ボタンを使用して変更することができます。

[最適化されたカメラ パラメーター] テーブルの各フィールドについて以下で説明します。

フィールド名説明

Camera Model

画像メタデータから読み取られたカメラ モデル情報。

Principal Point (mm)- X, Y

主点は、画像平面に垂直な投影中心 (カメラ レンズ) からのラインが画像平面と交差する画像平面上の点です。 X 方向は画像の行の方向に対して平行です。 Y 方向は画像の列の方向に対して平行です。

Distortion Coefficient - K1, K2, K3, P1, P2

レンズの歪みパラメーターは、Brown-Conrady モデルで定義されます。

D.C. Brown, Close-range camera calibration, Photogramm. Eng. 37 (6) (1971) 855–866.

Focal Length (mm)

カメラ レンズの初期焦点距離と調整済み焦点距離の差 (単位: ミリメートル)。 この初期値は、プロジェクト画像の読み込み時にカメラ データベースから取得されます。 初期値と調整値の差がパーセントで表示されます。 差が 25% 未満の場合、カメラ キャリブレーションが入力焦点距離に近い最適化された値に収束することを意味します。 それ以外の場合は、入力焦点距離またはピクセル サイズに誤りがある可能性があります。

ジオロケーションの詳細

処理レポートの [ジオロケーションの詳細] セクションでは、プロジェクトで使用されたコントロール ポイントの調整の詳細を確認できます。

[地上コントロール ポイント (GCP)] テーブルと [チェックポイント] テーブルに、プロジェクトのコントロール ポイントのサマリー全体が表示されます。 これは、調整でコントロールを使用した場合にのみレポートに表示されます。 各ポイントは、ポイントの統計情報とともに、それ自体のフィールドとしてテーブルに表示されます。 これらのテーブルの各フィールドについて以下で説明します。

フィールド名説明

Name

調整で使用される地上コントロール ポイントの名前。 各ポイントの統計情報には、初期の X (dX)、Y (dY)、Z (dZ) の位置からの調整後の移動が含まれます。 各ポイントの投影エラーは、ピクセル単位で表示されます。 ステータスには、地上コントロール ポイントに使用される有効な画像リンク数と合計画像リンク数が表示されます。

Survey Accuracy (m)- XY, Z

GCP が測量された精度。 最初にコントロール ポイントをインポートしたときの精度の初期値。

Residual Error (m)- X, Y, Z

そのポイントの観測位置と予測位置の差 (計測単位: メートル)。

Reprojection Error (pixels)

そのポイントの初期位置と再投影位置の差。

Used/Linked

調整時に使用されたリンクの数 (切り捨てなし) と作成されたリンクの総数。

Control Quality Check Icon

すべての残差が GCP の地表解像度の 3 倍未満またはチェック ポイントの地表解像度の 5 倍未満である場合、このチェックは合格 成功 です。

プロジェクト設定

処理レポートのプロジェクト設定セクションには、プロジェクトの処理に使用されたシステム、プロジェクト内で使用された座標系、プロジェクトの解像度、前処理が使用されたか否かに関する情報が表示されます。 これらのセクションについて、以下で詳しく説明します。

[システム情報] テーブルには、各プロジェクトのシステム ハードウェアとオペレーティング システムに関する情報が表示されます。 ハードウェア情報は、システムの CPU、RAM、GPU で表示されます。 ArcGIS Drone2Map でサポートされているハードウェアの詳細については、「ArcGIS Drone2Map のシステム要件」をご参照ください。

[座標系情報] テーブルには、そのプロジェクトで使用されている座標系がリストされます。 テーブルは、画像、プロジェクト、地上コントロール ポイントに使用される座標系に分けられます。 プロジェクトに地上コントロール ポイントが存在しない場合、そのフィールドは表示されません。

[前処理] テーブルには、プロジェクトの処理に前処理調整が使用されたかどうかが示されます。 前処理オプションごとに「はい」か「いいえ」が表示されます。

処理オプション

[一般オプション] テーブルには、調整プロセスで使用されたユーザー定義設定が表示されます。 ポイント クラウド密度とプロジェクト解像度は処理オプション内で定義され、デフォルトは使用されているテンプレートに依存します。

[画像調整オプション] の各フィールドについて以下で説明します。

フィールド名説明

Fix Image Locations

[高精度 GPS (RTK および PPK) の画像位置の修正] オプションが有効になっているかどうかを示します。 有効になっている場合、調整ステップで画像メタデータの GPS 情報が変更されない状態で使用されます。

Use Image Orientations

[画像方向を使用] オプションが有効になっているかどうかを示します。 有効になっている場合は、調整ステップで画像メタデータの方向パラメーターが使用されます。

Initial Image Scale

調整用のフィーチャ ポイントの抽出に使用される画像の縮尺

Refine Adjustment Scale

調整の改善オプションが有効になっている場合に使用される画像の縮尺

Matching Neighborhood

調整中にタイ ポイントを見つけるために使用される近傍のサイズ

Rolling Shutter Correction

処理中にローリング シャッター補正が適用されたかどうかを示します。 有効になっている場合、画像調整ステップでローリング シャッター補正が使用され、ローリング シャッター カメラで生じる歪みと不正確性が軽減されます。

処理レポートの [2D プロダクト オプション] セクションには、そのプロジェクトの処理で有効になっている 2D プロダクトの概要が表示されます。

処理レポートの [3D プロダクト オプション] セクションには、そのプロジェクトの処理で有効になっている 3D プロダクトの概要が表示されます。