マップは地理フィーチャに関する情報を伝達しますが、マップにフィーチャを表示するだけでは、それらの意味を伝えるシンボルが使用されていたとしても、その目的が十分に果たされているとは限りません。 テキストをマップに追加すると、地理情報がうまく伝わるようになります。
マップに追加できるテキストの種類はさまざまです。 個々のマップ フィーチャの周辺に説明文を配置することができます。 たとえば、マップにアフリカの各主要都市の名前を追加することができます。 このマップにサハラ砂漠のおおまかな位置などを示すテキストを追加すれば、マップの特定のエリアに注意を引き付けることができます。 また、マップの表現力を高めるテキストを追加することもできます。 たとえば、マップ タイトルは背景情報を提供します。 マップの作成者、データ ソース、日付などの情報を追加することもできます。
テキストの種類
テキストはマップの作成において非常に多くの役割を果たすので、ArcGIS AllSource は数種類のテキストをサポートしています。 主なタイプは、ラベル、アノテーション、テキスト マップ メモ、レイアウト内のグラフィックス テキスト、およびマップ上のグラフィックス テキストです。 ラベルはフィーチャの属性に基づくテキスト文字列を含んだテキストであり、自動的に配置されます。 ラベルの使用は、個々のフィーチャに関する説明文をマップに追加するための最も迅速かつ簡単な方法です。 たとえば、主要都市のレイヤーでダイナミック ラベリングを有効にすると、すべての都市名をマップにすばやく追加できます。
ArcGIS AllSource には 2 つのラベル エンジンがあります。1 つは 標準ラベル エンジン、もう 1 つは、さらに高度なラベル配置機能を備えた Maplex ラベル エンジン です。
テキストを操作する際の 2 つ目のオプションは、アノテーションを使用することです。 アノテーションを使用すると、特定のフィーチャを説明したり、マップに概要を追加したりできます。 アノテーションはラベルと同様に使用して、マップ フィーチャに説明文を追加したり、マップの特定エリアの説明文を手動で追加したりできます。 ラベルとは異なり、各アノテーションには、その位置、テキスト文字列、および表示プロパティが格納されます。 ラベルと比較した場合、アノテーションでは個々にテキストを選択して位置や表示設定を編集できるので、テキストの表現や配置に関してはアノテーションのほうが柔軟性に優れています。 ArcGIS AllSource を使用して、ラベルをアノテーションに変換することができます。
テキスト マップ メモとは、マップにテンプレートとして追加されるアノテーション フィーチャクラスです。 これらのアノテーション フィーチャクラスは、プロジェクトのジオデータベースに格納されます。
レイアウト内のグラフィックス テキストは、地理空間に格納されるアノテーションとは対照的に、ページ領域内のマップおよびその周辺に関する情報を追加するのに便利です。 ダイナミック テキストは、マップ レイアウト上に配置されるとマップの現在のプロパティに基づいて動的に変化する、グラフィックス テキストの一種です。
グラフィックス テキストは、マップのグラフィックス レイヤーに保存することもできます。 レイアウト テキストとは異なり、これらのエレメントは地理空間に格納されます。 これらのテキスト エレメントを使用すると、ジオデータベースは必要なくマップにアノテーションを付与できます。
テキストを格納するオプション
テキストの操作を開始する前に、ArcGIS AllSource のテキスト格納オプションについて理解しておく必要があります。
まず、ラベルは格納されません。それらは動的に生成され、ラベリング プロパティだけが格納されます。つまり、ラベルの作成に使用される設定はその場に応じたものです。 マップで作業している場合、ラベリング プロパティは、プロジェクト (.aprx) を保存するときに保存されます。 ラベリング プロパティは、レイヤー ファイル (.lyrx) に格納することもできます。 レイヤー ファイルを使用すると、新しいマップで再度ラベリングを設定しなくても、ラベルを再現できます。
ジオデータベース アノテーションは、アノテーション フィーチャクラスのジオデータベースに格納されます。 ジオデータベース アノテーションについては、他の地理データとともにジオデータベースに格納される特殊なタイプの地理フィーチャと考えることができます。 ポイント、ライン、およびポリゴン フィーチャクラスと同様に、アノテーション フィーチャクラスはさまざまなマップで使用できます。
マップのグラフィックス テキストはグラフィックス レイヤーに保存されます。 このグラフィックス レイヤーはマップに格納され、編集と保存が一部制限されます。
使用するテキストの種類
使用するテキストの種類は、利用できるテキストとマップでのテキストの使用方法によって決まります。 テキストを追加することだけが目的で、識別する情報が属性に基づかない場合には、マップのグラフィック テキスト、テキスト マップ メモ、またはジオデータベース アノテーションを使用できます。 ただし、フィーチャの説明テキストが必要な場合は、ラベルを使用し、フィーチャ属性に基づいてテキストを追加します。 これらのラベルをフィーチャリンクされたアノテーションに変換し、その配置をさらに編集することもできます。
一般的なテキスト関連タスク
テキストで実行できる一般的なタスクを次の表に示します。 これには、ラベルおよびジオデータベース アノテーションでの各タスクの実行手順が含まれています。
| タスク | ラベル | マップ上のグラフィックス テキスト | ジオデータベース アノテーション |
|---|---|---|---|
ラベル セット、グラフィックス レイヤー、またはアノテーション フィーチャクラスを作成します。 | デフォルトでは、ArcGIS AllSource のフィーチャ レイヤーごとにラベル セットが 1 つあります。 ラベル クラスを作成してこれらのラベルをさらに分割するか、フィーチャを複数回ラベリングすることができます。 |
[カタログ] ウィンドウ内にアノテーション フィーチャクラスを作成します。 [挿入] タブからテキスト マップ メモを挿入します。 ラベルをアノテーションに変換します。 | |
ArcGIS AllSource で、ラベル クラス、グラフィックス レイヤー、またはアノテーション フィーチャクラスのリストを表示します。 | [コンテンツ] ウィンドウのラベリングに一覧表示されます。 | ArcGIS AllSource の [コンテンツ] ウィンドウに表示されます。 |
ArcGIS AllSource の [コンテンツ] ウィンドウに表示されます。 |
テキストの属性テーブルの表示 | ラベルはフィーチャ属性から生成され、独自の属性を持ちません。 | グラフィックス テキストには属性がありません。 |
ArcGIS AllSource でレイヤー属性テーブルを開きます。 |
基準縮尺の表示 |
ArcGIS AllSource の [マップ プロパティ] ダイアログ ボックスの [一般] タブ | ArcGIS AllSource の [グラフィックス レイヤー] タブ このタブにアクセスするには、[コンテンツ] ウィンドウでグラフィックス レイヤーを選択します。 |
ArcGIS AllSource では、[レイヤー プロパティ] ダイアログ ボックスの [ソース] タブ、または [アノテーション フィーチャクラス プロパティ] ウィンドウに表示されます。 |
基準縮尺の設定 | ArcGIS AllSource の [マップ プロパティ] ダイアログ ボックスの [一般] タブ | ArcGIS AllSource の [グラフィックス レイヤー] タブ このタブにアクセスするには、[コンテンツ] ウィンドウでグラフィックス レイヤーを選択します。 |
基準縮尺は、アノテーション フィーチャクラスを作成するときに設定します。 |
マップでテキストを作成します。 | ArcGIS AllSource で [コンテンツ] ウィンドウのレイヤーを右クリックし、[ラベリング] をクリックします。 | [グラフィックス] タブのテキスト ツールを使用します。 このタブにアクセスするには、[コンテンツ] ウィンドウでグラフィックス レイヤーを選択します。 [自動テキスト] ツール |
編集を開始し、テンプレートを使用してアノテーションを追加します。 フィーチャリンク アノテーションがある場合、新しいアノテーションは新しいフィーチャが追加されたときに自動的に作成されます。 選択フィーチャにアノテーション追加 を使用することもできます。 |
ArcGIS AllSource でのテキストの選択と移動 | ラベルの選択または移動はできません。 | [グラフィックス] タブの [選択] ツールを使用します。 このタブにアクセスするには、[コンテンツ] ウィンドウでグラフィックス レイヤーを選択します。 |
編集を開始し、修正ツールを使用します。 |
ArcGIS AllSource でテキスト シンボルの外観を変更します。 | [ラベリング] リボンまたは [ラベル クラス] ウィンドウで行います。 | [グラフィックス] タブまたは [テキストの書式設定] ウィンドウで行います。 このウィンドウを開くには、マップ ビューで 1 つ以上のエレメントを選択し、いずれかのエレメントを右クリックして [プロパティ] を選択します。 |
編集を開始し、アノテーション シンボル属性を編集します。 代替シンボルを使用し、マップのアノテーションの外観を一時的に変更します。 |
テキストをフィーチャにリンク | 定義上、すべてのラベルはフィーチャにリンクされています。 | ArcGIS AllSource では、グラフィックス レイヤーをフィーチャ レイヤーにリンクさせることができません。 |
フィーチャにリンクできるのは、フィーチャリンク アノテーション フィーチャクラスに格納されているアノテーションのみです。 |
テキストを異なる形式に変換 | ラベルの変換を準備します。 ラベルをグラフィックスに変換します。 | グラフィックス テキスト エレメントは、[グラフィックス → フィーチャ (Graphics To Features)] ツールを使用してアノテーションに変換できます。 | ArcGIS AllSource では、アノテーションを別の形式に変換することができません。 |
テキスト パフォーマンスの改善 | ラベル クラスで SQL クエリが重複しないようにするには、[サマリー] を使用します。 また、フィーチャ ウェイトの使用は控え目にし、ラベルの表示縮尺範囲を設定します。 | 数百個以上のテキストがある場合は、グラフィックス テキストを使用しないでください。 |
大量のテキストを格納する場合は、ジオデータベース アノテーションを使用します。 |
は、クリックしたフィーチャのテキストのデフォルトの設定
デフォルトでは、新しいマップは Maplex ラベル エンジン を使用して開きます。 デフォルトのラベル エンジンを 標準ラベル エンジン に変更して、ラベリングにデフォルトのフォント名およびフォント スタイルを設定できます。 既存のマップのラベル エンジンとフォントは変更されません。新規作成されたマップのみ変更されます。
注意:
アノテーション フィーチャクラスが新しく作成された場合も、デフォルトのラベル エンジン、フォント名、フォント スタイルが使用されます。
- [オプション] ダイアログ ボックスを開きます。
プロジェクトが現在開いている場合、リボン上の [プロジェクト] タブをクリックします。
ArcGIS AllSource を起動した後、開始ページの下部にある [設定] をクリックします。
- [オプション] をクリックします。
[オプション] ダイアログ ボックスが表示されます。
- [アプリケーション] 見出しの下にある [マップおよびシーン] タブをクリックし、[ラベル エンジン] を展開して、デフォルトのラベル エンジンを変更します。
- [アプリケーション] 見出しの下にある [テキストおよびグラフィックス] タブをクリックして、デフォルトのフォント プロパティを変更します。