Standard または Advancedのライセンスで利用可能。
ピクセル値をモザイク データセットから削除するためにフットプリントを再計算する必要がある場合、[フットプリントの構築 (Build Footprints)] ツールを使用できます。 たとえば、フットプリントが最初は画像全体の大きさであったのが、回転したことによって、画像の実際の有効なピクセル値を反映する必要が生じることがあります。 
[フットプリントの構築 (Build Footprints)] ツールの一部のパラメーターを変更することで、フットプリントの出力を調整できます。 たとえば、データ値の上端と下端に、出力に含めたくないピクセル値の範囲が存在することがあります。 通常は、これらのピクセル値を定義できますが、データが非可逆圧縮で保存されている場合、値にばらつきがあります。 たとえば、すべての NULL データが値 0 ではなく、0 ～ 3 の値であることがあります。
推奨パラメーター設定
次の表では、フットプリントを放射量的に調整するために変更可能なパラメーターについて説明します。
| パラメーター | 説明 |
|---|---|
最小データ値 | この数値未満の値のピクセルを除外します。 たとえば、8 ビット データでは、値の範囲は 0 ～ 255 までになります。 0 に近い値は、黒枠のピクセルのような、非常に濃い色を表します。 1 を指定した場合、1 より小さい値は 0 しかないため、0 はすべて無効なデータと見なされ、フットプリントの外周から削除されます。 画像が非可逆圧縮方式で圧縮されている場合は、1 より少し大きい値を定義し、黒色のピクセルをすべて削除します。 影などの暗い部分がフットプリントから不適切に削除される場合は、この値を下げる必要があります。 |
最大データ値 | この数値より大きい値のピクセルを除外します。 たとえば、8 ビット データでは、値の範囲は 0 ～ 255 までになります。 255 に近い値は、白い雲や雪のような、非常に明るい色を表します。 245 を指定した場合、246 〜 255 のすべての値がフットプリントの外周から削除されます。 |
頂点の概数 | 4 ～ 10,000 の数値を選択します。頂点数が多いほど、精度が高くなりますが、処理時間は長くなる可能性があります。値が -1 の場合、すべての頂点を計算します。頂点数が多いほど、精度が高くなりますが、処理時間もかかります。 最小値は 4 で最大値は 10,000 です。 この値を大きくするほど、より正確で不規則なポリゴンが作成されますが、処理時間は長くなります。 値を -1 にすると、フットプリントのすべての頂点が表示されます。つまり、このポリゴンのフットプリントでは頂点の間引きは行われていません。 |
縮小距離 | この距離でフットプリントをクリップします。これは、NoData 領域に画像のエッジが重なる原因となる、非可逆圧縮の使用からアーティファクトを除去できます。 ポリゴンの縮小は、NoData 領域に画像のエッジが重なる原因となる非可逆圧縮の効果を無効にするために使用します。 |
リクエスト サイズ | フットプリントを構築するときにラスターをリサンプリングする範囲 (カラムとロウ) を設定します。画像の解像度が大きくなるほど、ラスター データセットは詳細になりますが、処理時間は長くなります。値が -1 の場合、フットプリントを元の解像度で計算します。 ラスター データの複雑さに基づいて、この値を増減させることができます。 画像の解像度が大きくなるほど、ラスター データセットは詳細になりますが、それによって処理時間は長くなります。 値を -1 にすると、フットプリントのリサンプリングは行われません。そのため、フットプリントが元々のピクセル サイズで計算されます。 |
最小領域サイズ | ピクセル値を使用してマスクを作成するときに、画像の小さなホールを避けます。たとえば、画像の値の範囲が 0 ～ 255 で、雲をマスクするために 245 ～ 255 の値を除外すると、雲でない他のピクセルもマスクされてしまう可能性があります。それらのエリアがここで指定したピクセル数より小さい場合、マスクされません。 この値はピクセル単位で指定し、ソース ラスターのピクセル解像度ではなく、リクエスト サイズに直接関連付けられます。 |
シートのエッジを維持 | このパラメーターは、タイル分割された、つまり重なる部分が小さいか重ならない状態で、継ぎ目に沿って並べられているラスター データセットを使用する場合にオンにします。 シートのエッジが削除されないようにするため、画像のエッジの解析が実行されます。 |
以下の表では、NoData 境界を持つ可能性がある各種データセットおよび推奨されるパラメーター設定について説明します。
注意:
次に示す縮小距離はピクセル単位で定義されていますが、このパラメーターの単位はモザイク データセットの座標系の単位で入力する必要があります。 たとえば、単位がメートルで、各ピクセルが 10 メートル、推奨される縮小距離が 3 の場合、30 と入力します。
形状が規則的で、シートにクリップする
これらのパラメーターは、各画像内のデータ ピクセルが回転された長方形エリアを形成するデータセットに使用されます。 作成される画像は、クリップされて新しいシートまたはタイルになります。 このようなデータセットは通常、画像またはシーンの再投影によって作成され、重なる部分が小さいか重ならない状態で、複数のマップ シートまたはタイルに分割されます。 これらのパラメーターは、少数の頂点だけがフットプリントに含まれるように設定されています。 シートまたはタイルの境界が維持されるように、エッジの解析が実行されます。
| パラメーター | 圧縮なし、または可逆圧縮 | 非可逆圧縮 |
|---|---|---|
最小データ値 | 1 | 10 |
最大データ値 | 254 | 245 |
頂点の概数 | 4 | 4 |
縮小距離 | 2 ピクセル | 6 ピクセル |
リクエスト サイズ | 1000 | 1000 |
シートのエッジを維持 | Yes | Yes |
形状が不規則で、シートにクリップする
これらのパラメーターは、データ ピクセルが長方形エリアを形成しないデータセットに使用されます。 作成される画像は、複数のマップ シートまたはタイルに分割できます。 このようなデータセットは、パイプラインなどの直線コリドーに沿った画像によく使用されます。 ピクセル エリアによって線形フィーチャがカバーされた後、画像がモザイク化されて複数のタイルに分割されます。 これらのパラメーターは、多数の頂点によって境界を定義するように設定されています。 シートまたはタイルの境界が維持されるように、作成されるフットプリントのエッジの解析が実行されます。
| パラメーター | 圧縮なし、または可逆圧縮 | 非可逆圧縮 |
|---|---|---|
最小データ値 | 1 | 10 |
最大データ値 | 254 | 245 |
頂点の概数 | 30 | 30 |
縮小距離 | 6 ピクセル | 6 ピクセル |
リクエスト サイズ | 1500 | 1500 |
シートのエッジを維持 | Yes | Yes |
回転された長方形
これらのパラメーターは、回転された長方形を形成する画像に使用されます。 このようなデータセットは通常、個々のシーンまたはマップ シートを回転すると作成され、フットプリントの辺は直線に保たれます。 これらのパラメーターは、4 つの頂点だけでフットプリントを定義するように設定されています。
| パラメーター | 圧縮なし、または可逆圧縮 | 非可逆圧縮 |
|---|---|---|
最小データ値 | 1 | 1 |
最大データ値 | 254 | 245 |
頂点の概数 | 4 | 4 |
縮小距離 | 2 ピクセル | 6 ピクセル |
リクエスト サイズ | 1000 | 1000 |
シートのエッジを維持 | No | No |
再投影された長方形
これらのパラメーターは、曲線エッジをもつ長方形フットプリントを形成する、再投影された回転画像に使用されます。 このようなデータセットは通常、個々のシーンまたはマップ シートが再投影された場合に作成されます。 これらのパラメーターは、曲線を表すために十分な数の頂点によってフットプリントを定義するように設定されています。
| パラメーター | 圧縮なし、または可逆圧縮 | 非可逆圧縮 |
|---|---|---|
最小データ値 | 1 | 10 |
最大データ値 | 254 | 245 |
頂点の概数 | 20 | 20 |
縮小距離 | 2 ピクセル | 6 ピクセル |
リクエスト サイズ | 2000 | 2000 |
シートのエッジを維持 | No | No |
平らなテレインでのオルソ幾何補正画像
これらのパラメーターは、ラスター データセットの作成元が、平らなテレインに合わせてオルソ幾何補正されたシーンまたは画像である場合に使用されます。 画像の各エッジは、標高の滑らかな変化によって生じる単純な曲線を形成します。
| パラメーター | 圧縮なし、または可逆圧縮 | 非可逆圧縮 |
|---|---|---|
最小データ値 | 1 | 10 |
最大データ値 | 254 | 245 |
頂点の概数 | 30 | 30 |
縮小距離 | 9 ピクセル | 9 ピクセル |
リクエスト サイズ | 2000 | 2000 |
シートのエッジを維持 | No | No |
起伏のあるテレインでのオルソ幾何補正画像
これらのパラメーターは、標高の大きな変化があるエリアでラスター データセットがオルソ幾何補正されている場合に使用されます。 標高の急激な変化によって、画像のエッジは不規則になります。 フットプリントを定義するには、さらに多くの頂点が必要です。
| パラメーター | 圧縮なし、または可逆圧縮 | 非可逆圧縮 |
|---|---|---|
最小データ値 | 1 | 10 |
最大データ値 | 254 | 245 |
頂点の概数 | 200 | 200 |
縮小距離 | 9 ピクセル | 50 ピクセル |
リクエスト サイズ | 2000 | 2000 |
シートのエッジを維持 | No | No |
最小領域サイズ
このパラメーターの値は複雑な要素によって決まる場合があるので、このパラメーターの推奨デフォルト値は前記の表に示されていません。 ラスター データの性質、およびフットプリントにどの程度の詳細さが必要なのかを検討する必要があります。
フットプリントの目的は、ラスター データセットの表示したいエリアを定義することです。 フットプリントは通常はラスター データセットの範囲ですが、変更を加えることで、ラスター データセットの一部がユーザーに表示されないようにすることができます。
最小データ値と最大データ値を使用して有効なデータを指定します。 領域の作成に使用された値の範囲外にあるピクセル値によって、フットプリント ポリゴンにホールが生じます。 たとえば、0 ～ 255 のピクセル値から成るラスター データセットがある場合、有効な範囲を 10 ～ 255 として定義できます。 0 ～ 9 のピクセルによってフットプリントにホールが生じます。 ただし、画像内で 0 ～ 9 のピクセルが有効なフィーチャを表しているために、これらのピクセルを残したい場合があります。 たとえば、住宅の屋根のピクセル値が 0 ～ 9 である場合、これらのピクセルによってフットプリントにホールが生じないようにします。これに対し、大きな雲など、大きなフィーチャではホールになるようにします。
最小領域サイズを使用して計算された面積とホールの面積が比較されます。 最小領域サイズによって計算された面積よりホールの面積が小さい場合、ホールがフットプリントから削除されます。
以下の図で、灰色のピクセル値は有効なデータ値を表しています。 オレンジ色のピクセル値は、画像内の除外する可能性がある値が含まれている 3 つの領域を表しています。 黄色の枠は、最小領域サイズによって定義されるエリアを表しています。 左側の 2 つの小さなオレンジ色の領域は最小領域サイズ (黄色の枠) より小さいため、これらのピクセルは画像に残ります。 ただし、右側の大きなオレンジ色の領域は最小領域サイズより大きいため、これらのピクセルはモザイク データセット内のモザイク画像から除外されます。
フットプリントの再計算に使用されるラスターの解像度や詳細度はリクエスト サイズによって決まるため、最小領域サイズを指定する際にはリクエスト サイズを考慮してください。 通常は、元のソース ラスターの寸法より小さいリクエスト サイズを使用します。 これは領域サイズに影響します。 たとえば、屋根のエリアを残すには、ソース画像での屋根のピクセル寸法とリクエスト サイズでの屋根の寸法を考慮します。 屋根がソース画像で 50 x 50 ピクセルであり、リクエスト サイズが表す画像のピクセル数が x および y 次元で 50 パーセント少ない場合、屋根は 25 x 25 ピクセルの寸法のフィーチャによって表されます。 最小領域に対してリクエスト サイズを正しく定義することによって、不要なピクセルを除去しながらフットプリントに含めることで有効なデータを残すことができます。