方向付き画像データセットをジオデータベースに作成して、方向付き画像のコレクションを管理することができます。 データセットは、標高ソースなどのコレクション全体のプロパティと、カメラの位置や方向などの画像固有のメタデータの両方を定義します。
データセットがマップに追加されると、方向付き画像レイヤーとして表示されます。
方向付き画像データセットの作成と公開
方向付き画像ツールボックスの以下のジオプロセシング ツールを使用して、方向付き画像データセットを作成します。
- 方向付き画像データセットの作成では、ジオデータベース内に空の方向付き画像データセットを作成します。
- 方向付き画像データセットに画像を追加では、方向付き画像データセットに、画像および対応するメタデータを入力します。 ファイル、フォルダー、テーブル、画像パスのリスト、ポイント フィーチャ レイヤーを入力ソースとして使用できます。 入力ソースがファイル、フォルダー、または画像パスのリストの場合、ツールは、.jpeg ファイルの EXIF および XMP メタデータから直接画像のメタデータを読み込みます。
入力データが標準メタデータ形式でない場合、方向付き画像カスタム タイプを ArcPy で定義して使用し、カスタム入力タイプからの画像の追加ジオプロセシング ツールを使用して方向付き画像データセットに画像を追加することができます。
- 方向付き画像フットプリントを構築では、方向付き画像データセットの画像を参照するマップ上のエリアを表示するためのフィーチャ レイヤーが生成されます。
- 方向付き画像データセットからのサービスの生成では、方向付き画像レイヤーおよびフットプリント レイヤーをサブレイヤーとしてフィーチャ サービスが生成されます。 このツールを使用することで、方向付き画像データセットで参照されているローカル画像ファイルを方向付き画像レイヤーへのフィーチャ アタッチメントとして公開することができます。
標準的な共有ワークフローを使用して、方向付き画像レイヤー (および必要に応じて方向付き画像フットプリント) を、ArcGIS Online または ArcGIS Enterprise ポータルに公開できます。 方向付き画像フットプリントも公開する場合は、[Web レイヤーとして共有] を選択する前に、方向付き画像フットプリント レイヤーと方向付き画像レイヤーを両方とも選択します。
注意:
11.2 より前の ArcGIS Enterprise ポータルで方向付き画像レイヤーを作成することはできません。
画像形式とストレージ
方向付き画像データセットは、属性テーブルに画像の場所へのパスを格納します。 画像は、ローカル ストレージやネットワーク ストレージにも、パブリックにアクセスできるクラウド ストレージにも保存できます。 方向付き画像データセットは、JPG、JPEG、TIF 画像形式をサポートしています。 クラウド ストレージに格納された画像の場合は、MRF 画像形式もサポートされます。
注意:
方向付き画像データセットを ArcGIS Online または ArcGIS Enterprise に公開するには、画像は、パブリックにアクセスできるクラウド ストレージに格納されている必要があります。
カメラの位置と方向
属性テーブルの Shape フィールドは、カメラの位置をデータセットの座標系で定義します。 カメラの方向は、Camera Heading、Camera Pitch、および Camera Roll フィールドの値によって表されます。 これらの角度は、ローカルの投影座標系を基準としたカメラの向きです。カメラ位置と、画像の中心を通るポイントの間のポイントを参照します。
カメラの方向は以下のとおりです。
- カメラの初期の方向は、レンズが直下 (負の Z 軸) を向き、カメラの上部 (ピクセルの列) が北を向き、センサー内のピクセルの行が座標系の X 軸に沿っています。
- 最初の回転 (Camera Heading) は、Z 軸 (レンズの光軸) を中心とした、北から時計回り (左手の法則) の正回転です。
- 2 度目の回転 (Camera Pitch) はカメラの X 軸 (ピクセルの行) を中心として、直下視から開始する反時計回り (右手の法則) の正回転です。
- 最後の回転 (Camera Roll) は、カメラの Z 軸を中心とした、2 度目の時計回り (左手の法則) の正回転です。
撮影者が北向きのカメラ位置に立っていると仮定して、時計回りに回転 (進行方向) し、次にカメラを上に傾け (ピッチ)、続いてカメラの軸に沿って回転 (ロール) して、指定された方向に向きます。
方向の例を以下に示します。
- 下向きのカメラで、ピクセルの行が西から東に向かう場合、方向は 0,0,0 になります。
- ピクセルが北から南に向かうようカメラを 90 度回転すると、90,0,0 になります。
- 地平線に向けてカメラを回転させると、方向は 90,90,0 になります。
- カメラを反時計回りに 20 度回転すると、方向は 90,90,20 になります。
ほとんどの適用ケースでロール角度は 0 です。 ロール角度は、使用するとカメラ本体がレンズ軸を中心に回転することを示し、ピクセルと画像の正確な相関を決定するために必要です。
場合によっては、画像はカメラを基準にして回転されます。 たとえば、ほとんどのデジタル カメラまたは携帯電話で写真を撮影すると、カメラを回転させても、撮影された写真は画像の上部に上が来ます。 これは、カメラに対する追加の回転を指定する Image Rotation フィールドによって処理されます。 視野の水平角 (HFOV) および視野の鉛直角 (VFOV) はそのカメラによって異なり、ロール角度に基づいて変更しないでください。
方向付き画像カテゴリ
画像カテゴリは、データセットに追加された画像のタイプを指定し、データセットの方向付き画像のデフォルト プロパティを定義するために使用されます。 これらのプロパティは、方向付き画像データセット プロパティの更新ツールを使用して変更できます。 カテゴリおよび関連プロパティを以下に示します。
- [水平] - 地面に対して平行に撮影され、地平線を向いている画像。
- [斜め] - 地面に対してある角度 (通常は約 45 度) に傾いて撮影され、したがって撮影対象の側面が見える画像。
- [直下] - 地面に対して垂直に撮影され、真下を向いている画像。 撮影対象の上部のみが見えます。
- [360] - 360 度の球状のサラウンド ビューを提供する特殊なカメラを使用して撮影された画像。
- [検査] - アセットのクローズアップ画像 (カメラ位置から 5 メートル未満)。
画像カテゴリ | カメラのピッチ (度) | カメラのロール角 (度) | HFOV (度) | VFOV (度) | カメラの高さ (m) | 近隣距離 (m) | 遠距離 (m) | 最大距離 (m) |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
水平 | 90 | 0 | 60 | 40 | 1.8 | 1 | 30 | 200 |
斜め | 45 | 0 | 60 | 40 | 200 | 1 | 500 | 2000 |
直下 | 0 | 0 | 60 | 40 | 200 | 1 | 500 | 1000 |
360 | 90 | 0 | 360 | 180 | 1.8 | 1 | 30 | 100 |
検査 | 90 | 0 | 60 | 40 | 1.8 | 0 | 5 | 30 |
注意:
ArcGIS AllSource の方向付き画像ビューアーでは、360 度画像の視覚化は現在サポートされていません。
方向付き画像の属性テーブル
属性テーブルは、方向付き画像データセットの作成時に生成され、一部のフィールドは、デフォルトで表示されます。 画像を追加するとフィールドに値が入力されます。さらにフィールドを追加して特定のメタデータ情報を入力できます。 メタデータは、対象のサイトを含む画像を検索して表示できる検索機能を提供し、多数の近似値が含まれます。 オプションの CameraOrientation フィールドは、画像から地面への座標変換、および地面から画像への座標変換を改善するために提供され、Omega、Phi、Kappa またはヨー、ピッチ、ロール、およびローカル接平面を使用して定義された画像の方向をサポートします。
属性テーブルでは、次のフィールドがサポートされています。
- ObjectID- このテーブルの各行の一意な ID。 このフィールドは ArcGIS によって管理されます。
- Shape- 定義されたカメラ位置。
- Name (オプション) - 画像を識別するエイリアス名。
- ImagePath- 画像ファイルへのパス。 ローカル パスまたは Web でアクセスできる URL を使用できます。 使用できる画像形式は、JPEG、JPG、または TIFF です。 クラウドに格納された画像の場合は、MRF 形式もサポートされます。
- AcquisitionDate (オプション) - 画像が収集された日付。 画像の収集時間も格納できます。
- CameraHeading (オプション) - カメラの Z 軸を中心とした最初の回転のカメラの方向。 値の単位は度です。 カメラが向いている方向の値は、北が 0 度として定義された正の時計回りの方向で計測されます。 方向が不明な場合は ‐999 が使用されます。
- CameraPitch (オプション) - カメラの X 軸を中心した 2 度目の反時計回りの正回転のカメラの方向。 値の単位は度です。 カメラが地面に向かって真下に向いている場合、ピッチは 0 度です。 ピッチの値の有効な範囲は 0 ~ 180 度です。180 度ではカメラは真上を向き、90 度ではカメラは地平線を向きます。
- CameraRoll (オプション) - カメラの Z 軸を中心とした最後の時計回りの正回転のカメラの方向。 値の単位は度です。 有効な値の範囲は -90 ~ 90 です。
- CameraHeight (オプション) - 地面からのカメラの高さ (標高ソース)。 単位はメートルです。 カメラの高さは、画像の可視範囲を決定するために使用され、値を大きくすると範囲が広がります。 0 より大きい値を指定する必要があります。
- HorizontalFieldOfView (オプション) - カメラの水平方向の撮影範囲。 値の単位は度で、有効な範囲は 0 ~ 360 です。
- VerticalFieldOfView (オプション) - カメラの鉛直方向の撮影範囲。 値の単位は度で、有効な範囲は 0 ~ 180 です。
- NearDistance (オプション) - カメラ位置から画像までの使用可能な最短距離。 単位はメートルです。
- FarDistance (オプション) - カメラ位置から画像までの使用可能な最長距離。 この値は、画像フットプリントの範囲を決定するために使用されます。これにより、マップのクリック時に画像が返されるかどうかが決定し、また、オプションのフットプリント フィーチャが作成されます。 単位はメートルです。 0 より大きい値を指定する必要があります。
- OrientedImageryType (オプション) - 画像タイプを以下から指定します。
- 水平
- 斜め
- 直下
- 360
- 検査
- ImageRotation (オプション) - 画像が撮影されたときのシーンに対するカメラの方向 (度単位)。 この値は CameraRoll に加算されます。 有効な値の範囲は -360 ~ 360 です。
- CameraOrientation (オプション) - 詳細なカメラ方向パラメーターを、パイプ区切り文字列として格納します。 このフィールドは、画像から地面への座標変換、および地面から画像への座標変換の精度改善に役立ちます。
- ElevationSource (オプション) - JSON 文字列で表された標高ソース。地面から画像への座標変換の計算に使用されます。 標高ソースには、デジタル標高モデル (DEM) または定数値を使用できます。 動的イメージ サービスやタイル イメージ サービスをデジタル標高モデルとして使用することができます。 VerticalMeasurementUnit 値は、一定の標高値の計測単位として使用されます。 たとえば、DEM が使用されると、標高ソースは次のようになります。
- {“url”:<dem_url>,”rasterFunction”:,”lod”:}
- DEM がダイナミック イメージ サービスの場合は rasterFunction を、DEM がタイル イメージ サービスの場合は lod を指定できます。
- 一定の標高値が使用される場合、標高ソースは {“constantElevation”:<elevation_value>} です。