[平均最近隣 (Average Nearest Neighbor)]ツールは、各フィーチャの重心と、最近隣の重心の場所との距離を測定します。 その後で、それらの最近隣すべての距離の平均を計算します。 平均距離が仮想的なランダム分布の平均よりも小さい場合、解析対象のフィーチャの分散はクラスターと見なされます。 平均距離が仮想的なランダム分布のものよりも大きい場合、それらのフィーチャは分散していると見なされます。 平均最近隣比率は、観測された平均距離を、予測される平均距離で乗算して計算されます (予測される平均距離は、同じ数のフィーチャが同じ合計面積をカバーしている、仮想的なランダム分布に基づきます)。
演算

解釈
指数 (平均最近隣比率) が 1 より小さい場合、そのパターンはクラスターを示しています。 指数が 1 より大きい場合、分散に向かうトレンドです。
平均最近隣距離の指数 (1) と Z スコア (4) を計算するために使用される数式は、測定されるポイントは分析範囲内のどこにでも自由に配置できるという仮定に基づいています (たとえば、バリアがなく、すべてのケースやフィーチャは互いに独立して配置される)。 p 値は、検定統計量によって制限される、既知の分布曲線の下にある面積の近似値です。 これらの統計の詳細については、「Z スコアと p 値とは」をご参照ください。
注意:
この統計の Z スコアと p 値は、分析範囲の変化や、Area パラメーターの変化の影響を強く受けます。 このため、調査地域が固定されている場合にのみ、この統計による Z スコアと p 値の結果を比較してください。
出力
平均最近隣距離分析ツールは、観測された平均距離、期待される平均距離、最近隣距離インデックス、Z スコア、p 値という 5 つの値を返します。 これらの値は、ツールの実行中に「ジオプロセシング」ウィンドウの下部に [メッセージ] として書き込まれ、モデルまたはスクリプトでの潜在的な用途のために、出力値として渡されます。 このメッセージにアクセスするには、[ジオプロセシング] ウィンドウでプログレス バーの上にカーソルを置くか、ポップアップ ボタンをクリックするか、メッセージ セクションを展開します。 「ジオプロセシング履歴」を介して、以前に実行したツールのメッセージにアクセスすることもできます。 オプションとして、このツールは結果の概要図を持つ HTML レポート ファイルを作成します。 レポートへのパスは、ツールの実行パラメーターを要約するメッセージに含まれています。 このパスをクリックすると、レポート ファイルが開きます。
有効なアプリケーション
- コンペティションまたはテリトリーの評価: 固定された分析範囲内の各種の植物や動物の種の空間的な分布を定量化し、比較します。都市内のさまざまなタイプのビジネスの平均最近隣距離を比較します。
- 時間経過による変化のモニタリング: 固定された分析範囲内で、単一のタイプのビジネスについて、時間経過による空間的なクラスターの変化を評価します。
- 観測された分布と、コントロール分布との比較: 樹木の解析で、全体の収穫可能な樹木の分布に基づいて、収穫されたエリアのパターンを、収穫可能なエリアのパターンと比較し、伐採されたエリアが予測よりもクラスター化しているかを判断します。
参考資料
このツールの詳細については、以下の書籍をご参照ください。
Ebdon, David. Statistics in Geography. Blackwell, 1985.
Mitchell, Andy. The ESRI Guide to GIS Analysis, Volume 2. ESRI Press, 2005.