無効な空間参照の検出と修正

ジオプロセシング ツールを使用する場合は、フィーチャクラスの空間参照プロパティが幾何学計算とストレージに対して有効であることが前提になります。 幾何学計算は XY 座標精度と XY 許容値を使用します。これらが正しく設定されていない場合、パフォーマンスの低下、エラー、強制終了、誤った結果が生じる可能性があります。 常に空間参照プロパティのデフォルト値を使用することをお勧めします。

空間参照

入力フィーチャクラスの空間参照プロパティをデフォルト値に設定します。 空間参照に影響するジオプロセシング環境とツール パラメーターの設定もデフォルト値のままにします。

空間参照の詳細については、以下のトピックをご参照ください。

座標系と空間参照の 2 つの用語は、同じ意味ではありません。 空間参照は、以下で構成されます。

  • 座標系
  • XY 座標精度、および必要に応じて M 値と Z 値の解像度とドメイン
  • XY 許容値、および必要に応じて M 許容値と Z 許容値

空間参照はジオプロセシングに影響するため、解析を実行する前に評価する必要があります。

無効な空間参照

フィーチャクラスの空間参照は、次の状況で無効になる場合があります。

  • ArcGIS 以外のシステムからデータがインポートされます。
  • ジオプロセシングの XY 座標精度環境XY 許容値環境の誤った使用。 通常、ジオプロセシング ツールは、解析の実行時に最初の入力の空間参照を使用します。 設定すると、代わりにツールはジオプロセシング環境を使用します。 これらの環境を優先するツールにより作成された出力フィーチャクラスは、その空間参照でこれらのプロパティを継承します。
  • 空間参照プロパティの誤解によるデータの問題の管理。
  • 検索距離としての XY 許容値の使用。

無効な空間参照の影響。

ジオプロセシング ツールに対する無効な空間参照の XY 座標精度プロパティと XY 許容値プロパティの影響には、次のものがあります。

  • ディスク空き容量の確保とパフォーマンスの向上のために XY 座標精度をデフォルトよりも大きい値に設定すると、誤った結果が生成されることがあります。
  • データの問題に対処するのではなくデータを生成するために XY 許容値をデフォルトよりも大きい値に設定すると、誤った結果が生成されることがあります。
  • データの精度を高めるために XY 座標精度をデフォルトよりも小さい値に設定すると、多くの場合急激に、個々のジオメトリのサイズが拡大する傾向があります。 内部処理では、メモリとディスクのフットプリントが大きくなります。 パフォーマンスの問題、エラー、強制終了は、多くの場合、この変更を行ったために発生します。特に、XY 許容値が変更されず、推奨される XY 座標精度の 10 倍の値よりも大きくなっている場合に発生します。
  • 処理中にデータが移動しないように XY 許容値をデフォルトよりも小さい値に設定すると、誤った結果が生成されることがあります。 XY 許容値を小さい値に設定して、推奨される XY 座標精度値の 10 倍のサイズよりも小さい値になる場合、パフォーマンスの問題、エラー、誤った解析結果が生じることがあります。

責任

プロジェクトや解析でデータを使用する前に、フィーチャクラスの空間参照が有効であること、できればデフォルトに設定されていることを確認する責任は、データの使用者にあります。

有効な空間参照

フィーチャクラスの XY 座標精度は、0.0001 メートル (1/10 ミリメートル)、またはマップ単位でそれに相当する値である必要があります。 たとえば、フィーチャクラスが State Plane Feet で格納される場合、デフォルトの座標精度は 0.0003281 フィート (0.003937 インチ) です。 座標が緯度経度で記録される場合、デフォルトの座標精度は 0.000000001 度になります。 XY 許容値は、0.001 メートル、またはマップ単位でそれに相当する値である必要があります。 これはデフォルトの座標精度値の 10 倍であり、ほとんどの場合に推奨されます。

無効な空間参照の修正

フィーチャクラスがデフォルトの座標精度値と許容値に設定されていない場合、次の手順に従って修正します。 これらのプロパティはフィーチャクラスの作成時にしか指定できないため、元のフィーチャクラスからフィーチャクラスを作成します。

  1. [カタログ] ウィンドウで、フィーチャクラスを作成するジオデータベースを右クリックして、[新規作成] > [フィーチャクラス] の順にクリックします。

    [フィーチャクラスの作成] ウィザードが表示されます。

  2. このウィザードの [定義] ページで、該当するフィーチャクラスの名前を [名前] テキスト ボックスに入力します。
  3. 元のフィーチャクラスと一致する [フィーチャクラス タイプ] 値と [ジオメトリック プロパティ] 値を選択します。
  4. [次へ] をクリックします。
  5. ウィザードの [フィールド] ページで、[インポート] ボタンをクリックします。
  6. 元のフィーチャクラスの場所を参照して、[OK] をクリックします。
  7. [次へ] をクリックします。
  8. ウィザードの [空間参照] ページで、[座標系の追加] ボタン 座標系の追加 をクリックし、[座標系のインポート] をクリックします。
  9. 元のフィーチャクラスの場所を参照して、[OK] をクリックします。
  10. [次へ] をクリックします。
  11. [許容値] タブで [デフォルトにリセット] ボタンをクリックします。

    これは重要なステップです。 プロパティをデフォルトにリセットしないと、新しいフィーチャクラスのプロパティが無効なままになります。

  12. [次へ] をクリックします。
  13. [座標精度] タブで、[デフォルトの座標精度とドメイン範囲を適用する (推奨)] チェックボックスをオンのままにします。
  14. [完了] をクリックして、フィーチャクラスを作成します。

    新しい空のフィーチャクラスが正しいスキーマ (元のフィーチャクラスからのすべてのフィールドと定義)、つまり、元のフィーチャクラスと同じ座標系および、最も重要なこととして、座標精度、許容値、ドメインにデフォルト値を使用して作成されます。

  15. [カタログ] ウィンドウで、新しいフィーチャクラスを右クリックして [データの読み込み] を選択します。

    [ジオプロセシング] ウィンドウで [アペンド (Append)] ツールが開きます。

  16. [入力データセット] パラメーターを元のフィーチャクラスに設定し、[ターゲット フィーチャクラス] パラメーターを新しいフィーチャクラスに設定して、[実行] ボタン 実行 をクリックします。
  17. データが読み込まれた後、[ジオメトリのチェック (Check Geometry)] ツールを使用して、ジオメトリの問題を特定します。 問題がある場合は、[ジオメトリの修正 (Repair Geometry)] ツールを実行します。

    新しい適切な空間参照プロパティでジオメトリに潜む問題が明らかになるため、修正が必要になることがあります。