ナレッジ グラフの構成

ナレッジ グラフを作成する際に、デフォルト構成を変更することができます。 プロセスを開始して一般的なプロパティを設定するには、「プロジェクトでの調査の作成」をご参照ください。

ユーザーが基になるデータを編集できるようにナレッジ グラフを構成したり、ナレッジ グラフ データの管理方法を構成したり、Document エンティティと HasDocument リレーションシップがサポートされる方法を定義したりできます。 また、一部のサービスレベル パラメーターも構成できます。 構成可能なプロパティは、お使いのソフトウェア バージョンと、ナレッジ グラフでホスト グラフ ストアまたは NoSQL データ ストアのどちらを使用するかによって異なります。

ナレッジ グラフの構成

次の手順に従って、ナレッジ グラフの操作とプロパティを構成します。 これらの設定は、作成される ArcGIS Knowledge Server サービスの定義の一部として保存されます。

  1. 調査の作成ウィザードの [ナレッジ グラフの定義] ページで、「デフォルト構成を使用したナレッジ グラフの作成」の説明に従って [一般] タブの情報を指定します。

    [データ ストア] で行った選択を記録しておきます。この選択はナレッジ グラフの構成方法に影響します。

  2. [構成] タブをクリックします。 必要に応じて、その下の [サービスの構成] タブ サービスの構成 をクリックします。
  3. [操作] の下の [編集の有効化] チェックボックスをオンにして、ナレッジ グラフ データの編集を有効にします。

    ナレッジ グラフの所有者とポータル管理者は常にデータを編集できます。 デフォルトでは、編集が有効化されない限り、他のユーザーはこのナレッジ グラフのデータを変更することはできません。

  4. 十分な権限を持つ他のユーザーに認める編集操作のタイプを選択します。

    次の表に、編集操作の説明を示します。

    追加

    編集者はエンティティとリレーションシップをナレッジ グラフに追加できます。 編集者は新しいエンティティ タイプとリレーションシップ タイプを定義して、プロパティを追加できます。 編集者はマップ上に新しいエンティティを作成して、そのエンティティのジオメトリを定義できます。 このオプションはデフォルトで有効になっています。 エンティティとリレーションシップが作成されたら、編集者がエンティティ、リレーションシップ、プロパティ、ジオメトリを変更できるように [更新] オプションを有効にする必要があります。

    削除

    編集者はフィーチャを削除できます。 このオプションはデフォルトで有効になっています。

    更新

    このオプションを有効にすると、[プロパティとジオメトリ] オプションがデフォルトで有効になり、編集者がエンティティとリレーションシップのプロパティおよびエンティティのジオメトリを更新できるようになります。 編集者が既存のエンティティとリレーションシップのプロパティのみを更新できるようにするには、[プロパティのみ] を選択します。 この場合、編集者は既存のエンティティのジオメトリを変更できません。

    このオプションは、[一般] タブで NoSQL データ ストアが選択され、[ユーザー管理] データ オプションが選択されている場合、利用できません。

    注意:

    ナレッジ グラフを作成した後、「Enterprise ポータルでその編集オプションを変更」できます。

  5. [データ ストア] で、ナレッジ グラフの NoSQL データ ストア内のデータの管理方法を選択します。

    このオプションは、[ホスト グラフ ストア] オプションが [一般] タブで選択されている場合、利用できません。

    ArcGIS Enterprise 11.1 以降では、Neo4j データベースを使用して、NoSQL データ ストアに基づくナレッジ グラフを作成できます。 ナレッジ グラフを構成して、Neo4j データベースに ArcGIS 管理またはユーザー管理のデータを含めることができます。

    ArcGIS Enterprise 11.2 では、ArangoDB データベースを使用して、NoSQL データ ストアに基づくナレッジ グラフを作成できます。 ナレッジ グラフを構成して、ArangoDB データベースに ArcGIS 管理のデータのみを含めることができます。

    ArcGIS 管理

    ArcGIS Knowledge がエンティティとリレーションシップを作成、管理、削除し、NoSQL データベースに格納されるグラフ アイテムのデータ モデルを定義します。 このデータベースは Neo4j または ArangoDB で直接編集することはできません。 このオプションはデフォルトで有効になっています。 この設定では、NoSQL データベースが空の場合のみナレッジ グラフが正常に作成されます。

    ユーザー管理

    ユーザーがエンティティとリレーションシップを作成、管理、削除し、Neo4j を使用してグラフ アイテムのデータ モデルを定義する必要があります。 Neo4j データベースが ArcGIS Knowledge からアクセスされると、ナレッジ グラフは読み取り専用になります。 Neo4j データベースは空である必要はありませんが、データベース名およびデータ モデルのタイプとプロパティの名前はすべての「命名規則」を満たす必要があります。

    注意:

    このオプションのデフォルト設定は [ArcGIS 管理] であり、その設定で作成されたナレッジ グラフでは、他のユーザーによるナレッジ グラフのデータの編集 (前述の手順で指定した設定によって決まる) がサポートされます。 しかし、[ユーザー管理] オプションを選択した場合、ナレッジ グラフのデータは読み取り専用になります。 先に [編集の有効化] オプションをオンにしていたとしても、そのオプションは自動的にオフになり、編集に関連するすべてのオプションがこのタブで使用できなくなります。

  6. ナレッジ グラフを構成します。

    ナレッジ グラフのコンテンツが格納されるデータ ストアとコンテンツの管理方法に応じて、さまざまなオプションを使用できます。 使用される設定を変更できない場合がありますが、設定は表示されたままとなるため、ナレッジ グラフがどのように構成されるかがわかります。 次の表に、オプションの説明を示します。

    一意識別子

    ナレッジ グラフ内のすべてのエンティティとリレーションシップが、そのグラフ アイテムの識別に使用できる一意の文字列値を持つ必要があります。

    • ナレッジ グラフのデータがホスト グラフ ストアに格納されている場合、または ArcGIS 管理のデータが格納される NoSQL データ ストアが使用されている場合、この設定を編集することはできません。 すべてのエンティティ タイプとリレーションシップ タイプには、一意識別子が格納される globalid という名前のプロパティがあります。
    • ナレッジ グラフに NoSQL データ ストアが使用され、このデータ ストアにユーザー管理のデータが含まれる場合、この設定を構成する必要があります。 NoSQL データ ストア内でこの値が格納されるプロパティを指定します。 たとえば、データベースで「id」という名前のプロパティが使用される場合、このプロパティの名前を [一意識別子] テキスト ボックスに入力します。 この例では、ナレッジ グラフ内のすべてのエンティティ タイプとリレーションシップ タイプに id という名前のプロパティが必要です。
    検索の有効化

    すべてのナレッジ グラフ データに、openCypher クエリを使用してアクセスできます。 ただし、検索が有効になっている場合、グラフ アイテムの検索は、そのプロパティ値を対象としたフルテキスト検索のみになります。

    • ナレッジ グラフのデータがホスト グラフ ストアに格納されている場合、または ArcGIS 管理のデータが格納される NoSQL データ ストアが使用されている場合、この設定を編集することはできません。 これらの場合、このオプションはオンになり、ナレッジ グラフの検索がサポートされます。
    • ナレッジ グラフに NoSQL データ ストアが使用され、このデータ ストアにユーザー管理のデータが含まれる場合、このオプションはデフォルトでオンになりますが、この設定は変更することができます。 このオプションをオフにしてアイテムを検索しようとすると、openCypher クエリが使用され、プロパティに指定した値が含まれるグラフ アイテムが検索されます。 ただし、検索文字列に ORLIKE などの演算子を含む Lucene 構文を使用することはできません。 また、「plan*」のように、部分的なキーワードにアスタリスクを追加し、ステミングやその他のフルテキスト検索機能を活用して、関連するすべての単語を一致させることはできません。
    ドキュメントの有効化

    ナレッジ グラフでドキュメントがサポートされている場合、サポート マテリアルを提供する Web サイトやファイルに各エンティティを関連付けて、各ドキュメント内の情報に関する備考を保存することができます。 このオプションは、ドキュメントをナレッジ グラフに追加できるかどうかを示すもので、編集できません。

    • ナレッジ グラフのデータがホスト グラフ ストアに格納されている場合、または ArcGIS 管理のデータが格納される NoSQL データ ストアが使用されている場合、このオプションはオンになり、ドキュメントがサポートされます。
    • ナレッジ グラフに NoSQL データ ストアが使用され、このデータ ストアにユーザー管理のデータが含まれる場合、このオプションはオフになり、ドキュメントはサポートされません。
    来歴の有効化

    ナレッジ グラフで来歴がサポートされている場合、その情報の生成元を示すことができます。 各エンティティまたはリレーションシップのプロパティ値は、ナレッジ グラフ内のドキュメント、外部の Web サイトまたはファイル、値のソースについて説明するテキストを参照することができます。 このオプションは、来歴をナレッジ グラフに追加できるかどうかを示します。

    • ナレッジ グラフのデータがホスト グラフ ストアに格納されている場合、または ArcGIS 管理のデータが格納される NoSQL データ ストアが使用されている場合、このオプションはデフォルトでオフになりますが、この設定は変更することができます。 このオプションをオンにした場合、来歴がサポートされます。
    • ナレッジ グラフに NoSQL データ ストアが使用され、このデータ ストアにユーザー管理のデータが含まれる場合、この設定を編集することはできません。 このオプションはオフになり、来歴はサポートされません。

    注意:

    ナレッジ グラフを作成した後、「Enterprise ポータルでその検索と来歴のオプションを変更」できます。

パラメーターの構成

ナレッジ グラフのパラメーターを構成するには、次の手順に従います。 これらの設定は、作成される ArcGIS Knowledge Server サービスの定義の一部として保存されます。

  1. 調査の作成ウィザードの上部にある [構成] タブで、[パラメーターの構成] パラメーターの構成 をクリックします。
  2. [プロパティ][サーバーから返される最大レコード数] の値を指定します。

    このプロパティは、openCypher クエリによってか、または調査、マップ、リンク チャートにデータを表示するときに返されるグラフ アイテムの数を指定します。 数が多くなると、パフォーマンスが低下することがあります。 デフォルト値は 10,000 です。

  3. [検索処理中にサーバーから返される最大レコード数] の値を指定します。

    このプロパティは、エンティティとリレーションシップのインデックス付きのプロパティを対象とする検索によって返されるグラフ アイテムの数を指定します。 数が多くなると、パフォーマンスが低下することがあります。 デフォルト値は 2,000 です。

ドキュメントの構成

ナレッジ グラフでのドキュメントの表現方法を構成するには、次の手順に従います。 これらの設定は、作成される ArcGIS Knowledge Server サービスの定義の一部として保存されます。

注意:

ユーザー管理のデータを含む NoSQL データ ストアを使用するナレッジ グラフにドキュメントを追加することはできません。

ドキュメントの詳細

  1. 調査の作成ウィザードの上部にある [構成] タブで、[ドキュメントの構成] ドキュメント をクリックします。
  2. [ドキュメント エンティティ タイプ名] テキスト ボックスに、データ モデル内でナレッジ グラフによって参照されるドキュメントを表すエンティティ タイプの名前を入力します。

    デフォルト値は Document です。 デフォルト値では、ドキュメントをナレッジ グラフに追加すると、Document エンティティ タイプの新しいエンティティが作成されます。 たとえば、すべてのドキュメントが写真の場合、このエンティティ タイプの名前を Photo に変更できます。

  3. [HasDocument リレーションシップ タイプ名] テキスト ボックスに、データ モデル内でナレッジ グラフのエンティティとそのエンティティに関連付けられたドキュメントの間のリレーションシップを表すリレーションシップ タイプの名前を入力します。

    デフォルト値は HasDocument です。 デフォルト値では、ドキュメントを Person エンティティなどのナレッジ グラフの特定のエンティティに追加すると、Person エンティティと Document エンティティの間に HasDocument リレーションシップ タイプの新しいリレーションシップが作成されます。 ドキュメントの格納に使用するエンティティ タイプにカスタム名を指定した場合、このリレーションシップ タイプの名前も変更できます。 たとえば、リレーションシップ タイプの名前を HasPhoto に変更できます。

  4. 必要に応じて、ドキュメント エンティティ タイプの定義方法を構成します。

    すべてのナレッジ グラフのすべてのドキュメントで必須または強く推奨されている情報もあります。 各ドキュメント エンティティでは、デフォルトで以下に示すプロパティ セットが作成され、これらの情報を入力することができます。 これらのプロパティにカスタム名を指定した場合、調査でドキュメントを定義および探索する際に、その名前が表示されます。

    text

    ドキュメント内のすべてのテキストが抽出され、このプロパティに格納されます。 デフォルトのプロパティ名は text です。

    URL

    ドキュメントの場所がこのプロパティに格納されます。 この値には、インターネット上で利用可能な Web サイトまたはドキュメントへの URL か、またはネットワーク上のドキュメントへのアクセスに使用できるファイル パスを指定できます。 デフォルトのプロパティ名は url です。

    keywords

    このプロパティには、ドキュメントの検索に役立つキーワードを指定できます。 デフォルトのプロパティ名は keywords です。

    name

    ドキュメントのファイル名です。 たとえば、notes.txt という名前のファイルをナレッジ グラフに追加すると、そのファイル名が格納されます。 デフォルトのプロパティ名は name です。

    contentType

    参照されるドキュメントに含まれているデータのタイプが、MIME (多目的インターネット メール拡張) タイプとしてこのプロパティに格納されます。 たとえば、単純なテキスト ファイルをナレッジ グラフに追加すると、値 text/plain が記録されます。 デフォルトのプロパティ名は contentType です。

    title

    このプロパティには、ドキュメントのタイトルを指定できます。 デフォルトのプロパティ名は title です。

    metadata

    このプロパティには、ドキュメントを説明するメタデータを指定できます。 デフォルトのプロパティ名は metadata です。

    fileExtension

    参照されるドキュメントがファイルの場合に、ファイル拡張子が記録されます。 Web サイトの場合、ファイル拡張子 .htm が格納されます。 デフォルトのプロパティ名は fileExtension です。

    ナレッジ グラフが作成されると、指定したテキストがドキュメント エンティティ タイプのプロパティの識別に使用されます。

    カスタム プロパティ名は、ドキュメントを追加する際に表示されます。

来歴の構成

ナレッジ グラフでの来歴の格納方法を構成するには、次の手順に従います。 これらの設定は、作成される ArcGIS Knowledge Server サービスの定義の一部として保存されます。

注意:

ユーザー管理のデータを含む NoSQL データ ストアを使用するナレッジ グラフに来歴を追加することはできません。

来歴の詳細

  1. 調査の作成ウィザードの上部にある [構成] タブで、[来歴の構成] 来歴 をクリックします。
  2. [来歴名] テキスト ボックスに、ナレッジ グラフに格納されている情報ソースを定義するレコードの識別に使用する名前を入力します。

    デフォルト値は Provenance です。 たとえば、この設定で指定した値は、[カタログ] ウィンドウおよびカタログ ビューで調査の [メタ タイプ] を参照する際に表示され、来歴レコードを表示する際に調査のタイプ列にも表示されます。

  3. 必要に応じて、来歴レコードのプロパティの定義方法を構成します。

    すべてのナレッジ グラフのすべての来歴レコードで必須または強く推奨されている情報もあります。 デフォルトで以下に示すプロパティ セットが作成され、各来歴レコードでこれらの情報を入力することができます。 これらのプロパティにカスタム名を指定した場合、調査で来歴レコードを定義および探索する際に、その名前が表示されます。

    instanceID

    このプロパティには、来歴レコードに関連付けられたエンティティまたはリレーションシップの Global ID 値が格納されます。 デフォルトのプロパティ名は instanceID です。

    sourceType

    このプロパティには、この来歴レコードに関連付けられたソース資料のタイプが格納されます。 サポートされるソース タイプは、Document、URL、String です。 デフォルトのプロパティ名は sourceType です。

    sourceName

    このプロパティには、ソース資料の名前を指定します。 sourceType が Document の場合、この値には Document エンティティの name プロパティが設定されます。 sourceType が URL または String の場合、Web サイトの名前やインタビューされた人物の名前などのテキストを指定できます。 デフォルトのプロパティ名は sourceName です。

    source

    このプロパティにより、情報のソースが識別されます。 デフォルトのプロパティ名は source です。

    • sourceType が Document の場合、来歴レコードは、以前にナレッジ グラフに追加されたドキュメントを参照します。
    • sourceType が URL の場合、値にはインターネット上の Web サイトまたはドキュメントの場所、またはネットワーク上のドキュメントにアクセスするファイル パスを指定できます。
    • sourceType が String の場合、値はテキストで、ソース資料へのアクセスに関する情報または手順を指定できます。
    comment

    このプロパティを使用すると、ソース資料に関する備考や、この来歴レコードに関連付けられたエンティティまたはリレーションシップとの関連性を記述できます。 デフォルトのプロパティ名は comment です。

    typeName

    このプロパティには、来歴レコードに関連付けられたエンティティまたはリレーションシップのタイプが格納されます。 たとえば、来歴レコードが人名を表している場合、エンティティ タイプ名 Person が格納されます。 デフォルトのプロパティ名は typeName です。

    propertyName

    このプロパティは、来歴レコードに関連付けられたエンティティまたはリレーションシップのプロパティを識別します。 たとえば、来歴レコードが人物の誕生日を表している場合、プロパティ名 birthDate が格納されます。 デフォルトのプロパティ名は propertyName です。

    ナレッジ グラフが作成されると、指定したテキストが来歴レコードのプロパティの識別に使用されます。

    カスタム プロパティ名は、来歴レコードを表示する際に表示されます。

  4. 必要に応じて、来歴レコードのソース タイプの定義方法を構成します。

    来歴レコードを定義する場合、以下の 3 つのソース タイプがサポートされています。 これらのタイプにカスタム名を指定した場合、調査で来歴レコードを定義し探索する際に、その名前が表示されます。 これらのソース タイプの値は来歴レコードの sourceType プロパティに格納されます。

    Document

    このタイプを選択した場合、来歴レコードはナレッジ グラフのドキュメントを参照します。 この sourceType 値のデフォルト名は Document です。

    URL

    このタイプを選択した場合、来歴レコードには、ソース ドキュメントがインターネットまたはネットワーク上で配置されている場所が格納されます。 この sourceType 値のデフォルト名は URL です。

    String

    このタイプを選択した場合、情報、ソース自体の説明、ソース資料へのアクセス方法を入力できます。 この sourceType 値のデフォルト名は String です。

    ナレッジ グラフが作成されると、指定したテキストは、来歴レコードが説明するソース資料のタイプの識別に使用されます。

    カスタム ソース タイプ名は、来歴レコードを追加する際に表示されます。