空間マップ シリーズの作成

空間マップ シリーズでは、1 つのレイアウトを使用して複数のマップ範囲を反復処理することで、複数の出力ページを生成します。 範囲は、インデックス レイヤーと呼ばれるレイヤー内のフィーチャによって定義されます。 空間マップ シリーズは、インデックス レイヤーを選択し、[レイアウト プロパティ] ウィンドウで追加オプションを設定することで作成されます。 マップ シリーズのオプションは、[インデックス レイヤー][オプション フィールド]、および [マップ範囲] の 3 つのセクションに分かれています。

注意:

空間マップ シリーズは 2D マップでのみサポートされています。3D シーンに基づいたマップ シリーズを作成するには、ブックマーク マップ シリーズを使用します。

空間マップ シリーズを作成する手順

マップ シリーズを作成するには、シリーズの各ページで更新するマップ フレームを含む既存のレイアウトが必要です。 このレイアウトには、テキスト縮尺記号などのレイアウト エレメントを追加することもできます。 空間マップ シリーズを作成するには、次の手順に従います。

  1. 関連コンテンツを含むレイアウトを開きます。
  2. レイアウトにマップ フレームが複数ある場合は、マップ シリーズで更新するマップ フレームを選択します。
  3. [挿入] タブで、[マップ シリーズ] ボタン List Map Series Pages の下半分をクリックします。
  4. [定義] Spatial map series を選択します。
  5. 各ドロップダウン リストから値を選択して、[マップ フレーム][レイヤー][名前フィールド][並べ替えフィールド] オプションを設定します。
  6. 必要に応じて、各ドロップダウン リストから値を選択して、[グループ化][ページ番号][回転]、および [空間参照] オプションを設定します。 [先頭ページ] テキスト ボックスを設定することもできます。
  7. [マップ範囲] オプションを、[ベスト フィット][中央に配置して縮尺を維持]、または [フィールドの縮尺を使用] から選択します。
  8. [OK] をクリックするとマップ シリーズが作成されます。

    その後、マップ シリーズの各ページにアクセスして、その外観を確認できます。

インデックス レイヤー

空間マップ シリーズは、インデックス レイヤーによって定義されます。 インデックス レイヤーの各フィーチャによって、マップ シリーズのページが構成されます。 空間マップ シリーズが存在するには、インデックス レイヤーが不可欠です。 空間マップ シリーズを作成する際は、インデックス レイヤーを定義する 4 つのオプション ([マップ フレーム][レイヤー][名前フィールド][並べ替えフィールド]) が必要です。

マップ フレーム

マップ フレームのマップ範囲は、インデックス レイヤー内のフィーチャに基づくマップ シリーズのページごとに変わります。 [マップ フレーム] ドロップダウン メニューには、レイアウト内のすべてのマップ フレームが一覧表示されます。 各ページで更新するマップ フレームを選択します。 このマップ フレームには、インデックス レイヤーを備えたマップが含まれている必要があります。 マップ シリーズには、一度に 1 つのマップ フレームしか設定できません。

レイヤー

インデックス レイヤーは、マップ シリーズの各ページについてマップ フレームの地理範囲を定義します。 インデックス レイヤーの各フィーチャによって、マップ シリーズの各ページが定義されます。 インデックス レイヤーの属性によって、他のマップ シリーズ オプション ([オプション フィールド] グループのオプションなど) の値が設定されます。 [レイヤー] ドロップダウン メニューに、マップ フレーム内のすべてのレイヤーが一覧表示されます。必要なレイヤーを選択します。 任意のポイント、ライン、またはポリゴン レイヤーをインデックス レイヤーに設定できますが、ラスター レイヤーなどのフィーチャ レイヤー以外のレイヤーを使用することはできません。

マップ シリーズを作成する際に、マップにインデックス フィーチャが明確に存在しないことがあります。 このような場合、[カートグラフィ] ツールボックスの [マップ シリーズ] ツールセットには、インデックス レイヤーの生成に使用できる 2 つのジオプロセシング ツール ([インデックス フィーチャ (格子状) の作成 (Grid Index Features)][インデックス フィーチャ (帯状) の作成 (Strip Map Index Features)]) があります。

名前フィールド

マップ シリーズの各ページには、インデックス レイヤーの属性値に基づく名前が付与されます。 マップ シリーズのページは [コンテンツ] ウィンドウの名前別に表示されるため、シリーズを操作する際に便利です。 名前はダイナミック テキストとしてレイアウトに追加することもでき、シリーズのページごとに更新されます。 NULL 値および重複する値をページ名として使用できます。ただし、混乱を避けるために、すべての値が一意である名前フィールドの使用をお勧めします。

[名前] ドロップダウン メニューには、インデックス レイヤーに結合されたテーブルのフィールドを含む、インデックス レイヤーの該当するすべてのフィールドが一覧表示されます。 ここでは、short integer、long integer、text のフィールド タイプが該当します。

フィールドの並べ替え

マップ シリーズの先頭ページは、[並べ替えフィールド] オプションで指定された、インデックス レイヤーのフィールドに基づく並べ替えロジックによって設定されます。 整数フィールドを選択すると、ページは数値順に並べ替えられます。 テキスト フィールドを選択すると、ページはアルファベット順に並べ替えられます。 ページを昇順に並べ替えるには、[昇順で並べ替え] をオンにします。オフにすると、ページが降順 (Z ~ A) に並べ替えられます。 NULL 値および重複する値を使用できます。ただし、マップ シリーズのページを操作するときの混乱を避けるために、すべての値が一意である並べ替えフィールドの使用をお勧めします。

[並べ替えフィールド] ドロップダウン メニューには、インデックス レイヤーの該当するフィールドが一覧表示されます。 このリストには、インデックス レイヤーに結合されたテーブルからのフィールドが含まれます。 ここでは、short integer、long integer、float、double、date、text のフィールド タイプが該当します。 並べ替え順が必要であるため、新しいインデックス レイヤーが選択されるたびにデフォルト フィールドが識別されます。

オプション フィールド

インデックス レイヤーのフィールドに基づいて追加オプションを設定することで、マップ シリーズのページをさらにカスタマイズできます。 これらのフィールドは空間マップ シリーズの作成に必須ではないため、それぞれのデフォルト値は [<なし>] になっています。 以下では、これらのオプションについて説明します。

フィールド別にグループ化

マップ シリーズのページをインデックス レイヤーのフィールド別にグループ化できます。 マップ シリーズのページは [コンテンツ] ウィンドウのグループ別に表示されるため、シリーズを操作する際に便利です。 たとえば、米国の郡のマップ シリーズを作成する場合、州ごとに郡をまとめたいと思うかもしれません。 この場合、州名を含むインデックス レイヤーのフィールド別にグループ化できます。 シリーズを作成すると、各州のすべての郡がまとまって表示されるようになります。 [並べ替えフィールド] オプションのロジックは各グループに適用されます。

ページ番号

マップ シリーズの各ページにはページ番号が付与されています。 マップ シリーズのページは [コンテンツ] ウィンドウのグループ別に表示されるため、シリーズを操作する際に便利です。 ダイナミック テキストを使用して、マップ シリーズ レイアウトにページ番号を含めることもできます。

デフォルトでは、[並べ替えフィールド] オプションのページ順に基づいて、ページに 1 から始まる連番が付与されます。 このデフォルトを変更し、インデックス レイヤー フィールドに基づいて空間マップ シリーズのページ番号を定義できます。 これらの値には英数字を使用できます。 たとえば、ローマ数字やダッシュ付きの数字を使用してページ番号を指定することができます。 マップの間にページを挿入する場合は、このフィールドに入力するページ番号をスキップさせます。

ページ番号、ページ インデックス、および総ページ数付きページ番号の違いに注意してください。これらはすべてダイナミック テキストとして追加できます。 ページ番号は、[ページ番号] ドロップダウン メニューのオプションに基づいています。ページ インデックスはページが連番で付与されたものであり、[グループ レイヤー] の設定は無視されます。総ページ数付きページ番号には、ページ インデックスとページの総数が含まれています。 次の表に、例を示します。

ページ番号ページ インデックス総ページ数付きページ番号

4 ページ

1

1/10

6 ページ

2

2/10

8 ページ

3

3/10

10 ページ

4

4/10

12 ページ

5

5/10

14 ページ

6

6/10

16 ページ

7

7/10

18 ページ

8

8/10

20 ページ

9

9/10

22 ページ

10

10/10

先頭ページ

マップ シリーズのページ番号を 1 以外から開始したい場合があります。 たとえば、マップ ブックを作成し、最初の 3 ページをタイトル、目次、および概観図にすることができます。 マップ シリーズのマップのページ番号は 4 から始まります。 この場合、[ページ番号] を「4」に設定すると、マップ シリーズには 4 から始まる連番が付与されます。

注意:

[ページ番号] がフィールドに設定されている場合、番号の付与がフィールドで設定されるため、このオプションは使用できません。

Rotation

インデックス フィーチャのフィールドに基づいて、マップ シリーズの各ページに異なるマップの回転を度単位で適用できます。 たとえば、ストリップ マップは、多くの場合、河川や高速道路などのライン フィーチャに追従し、マップ シリーズの各ページはフィーチャの異なるセグメントに重点を置くようにします。 ページをもっと読みやすくするには、マップを回転させて、インデックス フィーチャのエッジをレイアウト ページのエッジに揃えます。 インデックス フィーチャ (帯状) を作成する [インデックス フィーチャ (帯状) の作成 (Strip Map Index Features)] ツールでは、入力に適した回転値を含むフィールドも生成されます。 [磁気偏角の計算 (Calculate Grid Convergence Angle)] ツールでは、シリーズ内のマップ ページごとにマップを真北に回転するために使用できる値も作成されます。

空間参照

インデックス レイヤーのフィールドに基づいて、マップ シリーズのページごとに異なる空間参照を使用できます。 フィールドに空間参照を記録するには、次の手順を実行します。

手順

空間参照文字列全体を使用します。

GEOGCS ["GCS_WGS_1984",DATUM["D_WGS_1984",SPHEROID["WGS_1984",6378137,298.257223563]],PRIMEM["Greenwich",0],UNIT["Degree",0.0174532925199433]]

ローカル コンピューター上またはネットワーク上の投影情報ファイルを指定します (適切なファイル権限が必要)。

C:\MyProjectionFiles\WGS 1984.prj.

数値フィールドの座標系に WKID (Well Known Identifier) を使用します。 カスタム座標系は WKID 0 になります。

地理座標系 WGS 1984 の WKID は 4326 です。

[空間参照] フィールドを指定した場合、このフィールドの値に基づいて、マップ シリーズの各ページでマップ フレームの空間参照が決定されます。 [空間参照] フィールドの値が NULL の場合、不完全な場合、または不適切な場合は、値が無視され、最後にページに適用した空間参照が使用されます。 空間参照フィールドを計算するには、[中央子午線と緯線の計算 (Calculate Central Meridian and Parallels)][UTM ゾーンの計算 (Calculate UTM Zone)] という 2 つのジオプロセシング ツールを使用します。

マップの範囲

マップ シリーズの各ページで、インデックス フィーチャに基づいてマップ フレームの範囲が更新されます。 [ベスト フィット範囲][中央に配置して縮尺を維持][フィールドの縮尺を使用] という 3 つのマップ範囲オプションを使用して、各フィーチャの範囲の計算方法をカスタマイズできます。 また、[インデックス フィーチャにクリップ] オプションを使用して、マップ内のデータをインデックス フィーチャ境界にクリップすることもできます。

ベスト フィット範囲

[ベスト フィット範囲] オプションを使用すると、マップ フレーム エッジと、そのエッジに最近隣のインデックス フィーチャ ポイントとの間の余白を設定できます。 最近隣のポイントが左端または右端に最も近い場合、余白は縦軸上に設定されます。 上端または下端に最も近い場合、余白は横軸上に設定されます。 特にインデックス フィーチャの形状がマップ フレームとは異なる場合、インデックス フィーチャ内の他のポイントの余白が、指定した余白よりも大きくなることがあります。 余白が適用されると、マップ フレームの縮尺は [最近隣の縮尺に切り上げる] オプションで設定した値に応じて切り上げられます。 この処理によって、余白の値が若干調整されることがあります。

[余白サイズ] オプションには、[パーセント][マップ単位]、および [ページ単位] の 3 つの値があります。 余白をパーセントで設定する場合、値を [0 パーセント] に設定すると余白は作成されず、余白の軸に応じて、フィーチャの上端と下端、またはフィーチャの右端と左端がマップ フレームとぴったり重なります。 値を [100 パーセント] に設定すると、最も長いフィーチャ エッジの半分の長さの余白が作成されます。 フィーチャの両側の余白を足し合わせると、その値はフィーチャの距離全体に等しくなります。 [マップ単位] または [ページ単位] オプションを使用して余白を設定する場合、最近隣のポイントの位置に応じて、横軸または縦軸の両側にサイズ値が適用されます。

注意:

ポイント フィーチャクラスがインデックス レイヤーである場合、このオプションは使用できません。

中央に配置して縮尺を維持

[中央に配置して縮尺を維持] オプションを選択すると、マップ シリーズの各ページについて、マップ フレームの中央にインデックス フィーチャが配置され、現在のマップ縮尺が維持されます。 ドロップダウン リストからマップ縮尺を選択するか、カスタム縮尺を作成できます。

フィールドの縮尺を使用

[フィールドの縮尺を使用] オプションでは、マップ シリーズの各ページで、マップ フレームの縮尺がインデックス値のフィールドに基づいて設定されます。 [フィールドの縮尺を使用] を指定した場合、マップ シリーズの各ページで、この値によって詳細データ フレームのマップ縮尺が定義されます。 値が NULL の場合、マップ シリーズでは前のページの縮尺値が使用されます。

インデックス フィーチャにクリップ

[インデックス フィーチャにクリップ] オプションを選択すると、マップ内のレイヤーがインデックス フィーチャの境界に視覚的にクリップされます。 これは描画のみに影響し、データには影響しません。 このオプションでは既存のクリップ範囲を上書きしますが、除外したレイヤーは保持します。 クリップが有効になったら、[マップ プロパティ] ダイアログ ボックスを使用して、クリップからレイヤーを除外することができます。

空間マップ シリーズの編集

空間マップ シリーズが作成されると、任意の設定オプションとインデックス レイヤーを編集できます。

マップ シリーズ オプションを変更するには、[コンテンツ] ウィンドウでレイアウト名を右クリックし、[プロパティ] を選択します。 [レイアウト プロパティ] ウィンドウが開きます。 [マップ シリーズ] を選択し、空間マップ シリーズのすべてのプロパティを確認して調整します。

インデックス レイヤーを編集することもできます。 マップ シリーズで参照されているフィールドやフィーチャのジオメトリに加えた変更はマップ シリーズに反映されますが、変更内容を確認するにはマップ シリーズを更新する必要があります。