ゾーン間の空間的関連性 (Spatial Association Between Zones) (空間統計)

サマリー

同じ調査エリアの 2 つの地域間の空間的関連性の度合いを計測します。調査エリアでは、各地域がゾーンと呼ばれるカテゴリ セットから構成されます。 地域間の関連性は、各地域のゾーン間で重なるエリアによって決定されます。 関連性は、1 つの地域の各ゾーンが他の地域のゾーンにほぼ一致する場合に、最も高くなります。 同様に、空間的関連性は、1 つの地域の複数のゾーンが他の地域の多くの異なるゾーンと大きく重なる場合に、最も低くなります。 ツールの主要出力は、カテゴリ変数間の空間的関連性のグローバルな計測です。これは、0 (一致なし) から 1 (ゾーンの完全な空間的整合) までの 1 つの数字です。 必要に応じて、グローバルな関連性を、いずれかの地域の特定のゾーンまたは複数の地域間のゾーンの特定の組み合わせに対して、計算および視覚化できます。

たとえば、このツールを使用して、農業エリアの農作物タイプや土壌排水クラスなど、2 セットのカテゴリ ゾーンを比較し、特定の農作物が土壌排水の特定のクラスにどのように非常に一致しているかを計測します。 ただし、このツールを使用して、同じカテゴリ ゾーンの経時的変化の度合いを計測することも可能です。 たとえば、1990 年以降の気候ゾーンを、2020 年以降の気候ゾーンに比較して、気候ゾーンが 30 年間でどれほど変化したかを計測できます。 オプションの出力を使用することで、以前の半乾燥地域に乾燥気候ゾーンが拡大したかどうかなど、個々の気候ゾーンがどのように変化したかを判断できます。

ゾーン間の空間的関連性の仕組みの詳細

ゾーン間の空間的関連性ツールのイラスト
青と橙のゾーン間の高関連性と低関連性の例を示します。

使用法

  • 最初の地域のゾーンは入力ゾーンと呼ばれ、2 つ目の地域のゾーンはオーバーレイゾーンと呼ばれます。 ゾーンの各セットは、ポリゴン フィーチャとして、またはフィールドとともにラスターとして供給され、各ポリゴン フィーチャまたはラスター セルのカテゴリを示します。 カテゴリ ゾーン フィールドの同じ値を共有するすべてのフィーチャまたはセルは、同じゾーンとして考慮されます。

  • デフォルトでは、ツールの出力は 3 つの数字で、それぞれお、異なるタイプのグローバルな関連性を計測します。 値は、ジオプロセシング メッセージに表示され、得られた出力として返されます。 これらの得られた出力は、Python スクリプトの変数として参照するか (下の 2 番目のコード サンプル)、ModelBuilder の他のツールへの入力として使用することができます。 関連性には次の 3 つの計測があります。

    • 関連性のグローバルな計測 - 入力ゾーンとオーバーレイ ゾーン間の全体の関連性を計測します。 値の範囲は 0 (関連性がまったくない) ~ 1 (完全に一致) です。 値は、2 つの地域のどちらが入力ゾーンでもオーバーレイ ゾーンでも変わりません (入力ゾーンとオーバーレイ ゾーンが逆になった場合でも、この値は変わりません)。 統計は、次の 2 つのグローバルな関連性計測の調和平均によって決定されます。
    • 入力ゾーン内のオーバーレイ ゾーンのグローバルな一致 - 0 ~ 1 の範囲の各入力ゾーン内のオーバーレイのカテゴリの一貫性を計測します。 値 1 は、すべての入力ゾーン内に含まれるオーバーレイ ゾーンは 1 つのみであることを示します (ゾーンの完全な一致)。 値が 0 に近い場合は、入力ゾーンが、多数のカテゴリのオーバーレイ ゾーンに均一に分割されていることを示します (1 つのオーバーレイ ゾーンへの低一致)。
    • オーバーレイ ゾーン内の入力ゾーンのグローバルな一致 - 各オーバーレイ ゾーン内の入力のカテゴリの一貫性を計測します。 この値は、グローバルに一致する他の値に類似していますが、オーバーレイ ゾーン内の入力ゾーンの変動性を計測します。 これら 2 つの計測は、入力ゾーンとオーバーレイ ゾーンが逆になった場合、値が逆になります。

  • グローバルな一致の計測は、入力ゾーンとオーバーレイ ゾーンの各交差部分に空間的に分割できます。 これらの各交差部分は、入力ゾーンとオーバーレイ ゾーンの特定の組み合わせの一致を計測します。たとえば、農作物のタイプや個々の土壌排水クラスなどです。 このような特定の組み合わせは、[出力フィーチャ] パラメーターまたは [出力ラスター] パラメーターを使用して作成できます。どちらのパラメーターかは、ゾーンがポリゴン フィーチャかラスターかによります。 これらの各出力には、2 つのチャートが含まれます。 最初のチャートは、各入力ゾーン内のオーバーレイ ゾーンの重なるエリアの対照バー チャートを示しています。 2 つ目のチャートは、各オーバーレイ ゾーン内の入力ゾーンの重なるエリアのバー チャートを類似的に示しています。 これらのチャートにより特定のゾーンが他の地域の 1 つのゾーンに十分に一致しているかどうか (トウモロコシと十分な排水の土壌の間の一致など) を調査できます。

    また、これらの交差部分は、入力ゾーンとオーバーレイ ゾーンがポリゴンの場合に、それぞれ [入力ゾーン内のオーバーレイ ゾーンの一致] パラメーターと [オーバーレイ ゾーン内の入力ゾーンの一致] パラメーターを使用して、各入力ゾーンとオーバーレイ ゾーンに集約できます。 ラスターの場合、これらの集約は出力ラスターのフィールドとして格納されます。 これらの出力により、1 つの特定の入力ゾーンまたはオーバーレイ ゾーンについて、他の地域のすべてのゾーンと全体的な一致を同時に計測できます。 これにより、他の地域との全体的な一致が高いまたは低い特定のゾーンを確認できます。 これらのゾーンは、ゾーンの個々のすべての交差部分を見ることでさらに詳細に調査して、どのゾーンの組み合わせが全体的に高いまたは低い一致となるかを判断できます。

    グローバルな関連性や一致の計測と異なり、ローカルでの計測の一致の小さな値は、より高いレベルで一致していることを示します。 最小値の 0 は完全な一致を示します。ローカルでの計測には制限がありませんが、2 より大きくなることはほとんどありません。

  • ラスターをツールの入力または出力として使用するには ArcGIS Spatial Analyst extension ライセンスが必要です。

  • 入力ゾーンとオーバーレイ ゾーンは、関連性の計測を計算するには、交差している必要があります。 他の地域の少なくとも 1 つのゾーンとも交差していない地域のゾーンは、いずれも計算には含まれません。

  • 詳細と数学的詳細については、次の参考文献をご参照ください:

    • Nowosad, J., Stepinski, T. F. (2018). "Spatial association between regionalizations using the information-theoretical V-measure." International Journal of Geographical Information Science. https://doi.org/10.1080/13658816.2018.1511794

パラメーター

ラベル説明データ タイプ
ポリゴン フィーチャまたはラスター ゾーンの入力

最初の地域のゾーンを表すデータセットです。 ゾーンは、ポリゴン フィーチャまたはラスターを使用して定義できます。

Feature Layer; Raster Layer; Image Service
カテゴリ ゾーン フィールド

入力ゾーンのゾーン カテゴリを表すフィールド。 このフィールドの一意の各値が、個々のゾーンを定義します。 フィーチャでは、フィールドは整数またはテキストである必要があります。 ラスターの場合、VALUE フィールドもサポートされます。

Field
オーバーレイ ポリゴン フィーチャまたはラスター ゾーン

2 番目の地域のゾーンを表すデータセットです。 ゾーンは、ポリゴン フィーチャまたはラスターが可能です。

Feature Layer; Raster Layer; Image Service
カテゴリ オーバーレイ ゾーン フィールド

オーバーレイ ゾーンのゾーン カテゴリを表すフィールド。 このフィールドの一意の各値が、個々のゾーンを定義します。 フィーチャでは、フィールドは整数またはテキストである必要があります。 ラスターの場合、VALUE フィールドもサポートされます。

Field
出力フィーチャ
(オプション)

空間的関連性を含む出力ポリゴン フィーチャは、入力ゾーンとオーバーレイ ゾーンの全交差部分を計測します。

出力フィーチャを使用して、トウモロコシ生産エリア (農作物タイプ) と水はけの良い土壌エリア (土壌排水クラス) の間の関連性など、入力ゾーンとオーバーレイ ゾーンの特定の組み合わせの間の関連性を計測できます。 このパラメーターは、入力ゾーンとオーバーレイ ゾーンの両方がポリゴン フィーチャの場合のみ有効です。

Feature Class
出力ラスター
(オプション)

空間的関連性を含む出力ラスターは、入力ゾーンとオーバーレイ ゾーン間を計測します。

出力ラスターには 3 つのフィールドがあり、入力ゾーンとオーバーレイ ゾーンの交差部分の空間的関連性の計測、入力ゾーン内のオーバーレイ ゾーンの一致、オーバーレイ ゾーン内の入力ゾーンの一致を示します。 このパラメーターは、少なくとも 1 つの入力ゾーンとオーバーレイ ゾーンがラスターである場合のみ、有効です。

Raster Dataset
入力ゾーン内のオーバーレイ ゾーンの一致
(オプション)

入力ゾーン内のオーバーレイ ゾーンの一致の計測を含む出力ポリゴン フィーチャ。

この出力は入力ゾーンと同じジオメトリがあり、これを使用して、オーバーレイ ゾーンに全体としてどの入力ゾーンが一致するかを特定できます。 そして、特定のゾーンの組み合わせは、出力フィーチャで調査できます。 このパラメーターは、入力ゾーンとオーバーレイ ゾーンの両方がポリゴン フィーチャの場合のみ有効です。

Feature Class
オーバーレイ ゾーン内の入力ゾーンの一致
(オプション)

オーバーレイ ゾーン内の入力ゾーンの一致の計測を含む出力ポリゴン フィーチャ。

この出力はオーバーレイ ゾーンと同じジオメトリがあり、これを使用して、入力ゾーンに全体としてどのオーバーレイ ゾーンが一致するかを特定できます。 そして、特定のゾーンの組み合わせは、出力フィーチャで調査できます。 このパラメーターは、入力ゾーンとオーバーレイ ゾーンの両方がポリゴン フィーチャの場合のみ有効です。

Feature Class

派生した出力

ラベル説明データ タイプ
空間的関連性のグローバルな計測

入力ゾーンとオーバーレイ ゾーンの間のグローバルな関連性の計測です。 値の範囲は 0 (関連性がまったくない) ~ 1 (完全な関連性) です。

Double
入力ゾーン内のオーバーレイ ゾーンのグローバルな一致

入力ゾーン内のオーバーレイ ゾーンのグローバルな一致の計測。 値はマイナスになることはなく、値がゼロに近くなるほど、一致が高くなります (変動制は低下)。

Double
オーバーレイ ゾーン内の入力ゾーンのグローバルな一致

オーバーレイ ゾーン内の入力ゾーンのグローバルな一致の計測。 値はマイナスになることはなく、値がゼロに近くなるほど、一致が高くなります (変動制は低下)。

Double

arcpy.stats.SpatialAssociationBetweenZones(input_feature_or_raster, categorical_zone_field, overlay_feature_or_raster, categorical_overlay_zone_field, {output_features}, {output_raster}, {correspondence_overlay_to_input}, {correspondence_input_to_overlay})
名前説明データ タイプ
input_feature_or_raster

最初の地域のゾーンを表すデータセットです。 ゾーンは、ポリゴン フィーチャまたはラスターを使用して定義できます。

Feature Layer; Raster Layer; Image Service
categorical_zone_field

入力ゾーンのゾーン カテゴリを表すフィールド。 このフィールドの一意の各値が、個々のゾーンを定義します。 フィーチャでは、フィールドは整数またはテキストである必要があります。 ラスターの場合、VALUE フィールドもサポートされます。

Field
overlay_feature_or_raster

2 番目の地域のゾーンを表すデータセットです。 ゾーンは、ポリゴン フィーチャまたはラスターが可能です。

Feature Layer; Raster Layer; Image Service
categorical_overlay_zone_field

オーバーレイ ゾーンのゾーン カテゴリを表すフィールド。 このフィールドの一意の各値が、個々のゾーンを定義します。 フィーチャでは、フィールドは整数またはテキストである必要があります。 ラスターの場合、VALUE フィールドもサポートされます。

Field
output_features
(オプション)

空間的関連性を含む出力ポリゴン フィーチャは、入力ゾーンとオーバーレイ ゾーンの全交差部分を計測します。

出力フィーチャを使用して、トウモロコシ生産エリア (農作物タイプ) と水はけの良い土壌エリア (土壌排水クラス) の間の関連性など、入力ゾーンとオーバーレイ ゾーンの特定の組み合わせの間の関連性を計測できます。 このパラメーターは、入力ゾーンとオーバーレイ ゾーンの両方がポリゴン フィーチャの場合のみ有効です。

Feature Class
output_raster
(オプション)

空間的関連性を含む出力ラスターは、入力ゾーンとオーバーレイ ゾーン間を計測します。

出力ラスターには 3 つのフィールドがあり、入力ゾーンとオーバーレイ ゾーンの交差部分の空間的関連性の計測、入力ゾーン内のオーバーレイ ゾーンの一致、オーバーレイ ゾーン内の入力ゾーンの一致を示します。 このパラメーターは、少なくとも 1 つの入力ゾーンとオーバーレイ ゾーンがラスターである場合のみ、有効です。

Raster Dataset
correspondence_overlay_to_input
(オプション)

入力ゾーン内のオーバーレイ ゾーンの一致の計測を含む出力ポリゴン フィーチャ。

この出力は入力ゾーンと同じジオメトリがあり、これを使用して、オーバーレイ ゾーンに全体としてどの入力ゾーンが一致するかを特定できます。 そして、特定のゾーンの組み合わせは、出力フィーチャで調査できます。 このパラメーターは、入力ゾーンとオーバーレイ ゾーンの両方がポリゴン フィーチャの場合のみ有効です。

Feature Class
correspondence_input_to_overlay
(オプション)

オーバーレイ ゾーン内の入力ゾーンの一致の計測を含む出力ポリゴン フィーチャ。

この出力はオーバーレイ ゾーンと同じジオメトリがあり、これを使用して、入力ゾーンに全体としてどのオーバーレイ ゾーンが一致するかを特定できます。 そして、特定のゾーンの組み合わせは、出力フィーチャで調査できます。 このパラメーターは、入力ゾーンとオーバーレイ ゾーンの両方がポリゴン フィーチャの場合のみ有効です。

Feature Class

派生した出力

名前説明データ タイプ
global_measure_of_spatial_association

入力ゾーンとオーバーレイ ゾーンの間のグローバルな関連性の計測です。 値の範囲は 0 (関連性がまったくない) ~ 1 (完全な関連性) です。

Double
global_correspondence_overlay_to_input

入力ゾーン内のオーバーレイ ゾーンのグローバルな一致の計測。 値はマイナスになることはなく、値がゼロに近くなるほど、一致が高くなります (変動制は低下)。

Double
global_correspondence_input_to_overlay

オーバーレイ ゾーン内の入力ゾーンのグローバルな一致の計測。 値はマイナスになることはなく、値がゼロに近くなるほど、一致が高くなります (変動制は低下)。

Double

コードのサンプル

SpatialAssociationBetweenZones の例 1 (Python ウィンドウ)

次の Python ウィンドウ スクリプトは、SpatialAssociationBetweenZones 関数の使用方法を示しています。


import arcpy
arcpy.stats.SpatialAssociationBetweenZones("forest_type", "Class_Name", 
               "soil_drainage", "ClassName", None, 
               "forest_soil", None, None)
SpatialAssociationBetweenZones の例 2 (スタンドアロン スクリプト)

次のスタンドアロン Python スクリプトは、SpatialAssociationBetweenZones 関数の使用方法を示しています。


# Calculate the association between forest type and soil drainage class rasters.  

import arcpy 

# Set the current workspace
arcpy.env.workspace = r"c:\data\project_data.gdb"
arcpy.env.overwriteOutput = True

# Determine the association.
result = arcpy.stats.SpatialAssociationBetweenZones("forest_type", "Class_Name", 
               "soil_drainage", "ClassName", None, "forest_soil")

# Print the derived output for the Global Measure of Spatial Association.
globalV = result[4]
if globalV > 0.9:
    print('Forest type and soil drainage class are highly associated.')

環境

特殊なケース

範囲

この環境は、出力ラスターにのみ影響します。

セル サイズ

この環境は、出力ラスターにのみ影響します。

セル サイズ投影法

この環境は、出力ラスターにのみ影響します。

マスク

この環境は、出力ラスターにのみ影響します。

スナップ対象ラスター

この環境は、出力ラスターにのみ影響します。