可視領域関数

Spatial Analyst のライセンスで利用可能。

概要

測地線による方法を使用して、一連の観測フィーチャから見通せるラスター サーフェスの位置を決定します。

この関数によって実行可能な可視解析には 2 つのタイプがあります。

  • 頻度 - 一連の観測点から見通せるラスター サーフェスの位置を決定します。
  • 観測点 - 各ラスター サーフェスの位置から見通せる観測点を特定します。

[頻度] オプションが設定された可視領域の図
陰影起伏標高サーフェスに表示された、[頻度] オプション設定済みの可視領域の出力

[観測点] オプションが設定された可視領域の図
陰影起伏標高サーフェスに表示された、[観測点] オプション設定済みの可視領域の出力

[可視領域 (Viewshed)] ツールの詳細

備考

この関数は GPU (グラフィックス処理装置) により処理を加速化できます。つまり、システムで GPU デバイスを使用可能な場合は、そのデバイスを使用してパフォーマンスを強化できます。

他の類似のツールとは異なり、この関数には Z 係数パラメーターがありません。出力可視領域ラスターの正確性を維持するには、回転楕円体鉛直座標系を入力ラスターに割り当てます (入力ラスターにまだ含まれていない場合)。

各ピクセルの中心の可視領域は、目標点と各観測点の間の見通し線テストにより判定されます。観測点が目標点をピクセルの中心で見通せる場合、このピクセルは可視と見なされます。このツールは、可視領域を判定するときに地球の曲率を常に考慮します。

出力可視領域ラスターでは、見通せないピクセルに NoData が割り当てられます。

入力ラスターにサンプリング エラーによって発生した望ましくないノイズが含まれている場合、この関数を実行する前に [フォーカル統計 (Focal Statistics)] ツールの平均オプションのようなローパス フィルターを使用することでラスターを滑らかにすることも考えられます。

入力ラスターをリサンプリングする必要がある場合は、共一次内挿法を使用します。入力ラスをリサンプリングする例としては、出力座標系、範囲、またはセル サイズが入力と異なる場合があります。

[解析方法] パラメーターを使用すると、結果の品質と、結果を取得するまでにかかる時間を制御できます。[周長の見通し線] 方法は、出力品質は落ちますがパフォーマンスが向上するので、予備的な解析に使用します。最も正確な出力を得るには、[すべての見通し線] 方法を使用します。

観測点解析タイプの場合、入力観測点の許容最大数は 32 です。

デフォルトでは、可視領域は入力データセットの最大範囲まで計算されます。パフォーマンスを向上させるために、外部半径パラメーターを解析対象の最大距離に明示的に設定しておくことをお勧めします。このパラメーターを使用すると、ツールが観測点から特定の距離内にあるセルだけに計算を実行します。

このツールの実装の技術的側面に関する詳細については、このツールのリソース ノートをご参照ください。

パラメーター

パラメーター名説明

ラスター

(必須)

入力サーフェス ラスター。整数または浮動小数点のいずれのラスターでもかまいません。

可視領域計算中に、入力は 3 次元地心座標系に変換されます。入力ラスターの NoData セルは可視領域をブロックしません。

観測点フィーチャ

(必須)

観測位置を指定する入力フィーチャクラス。入力には、ポイント フィーチャ、マルチポイント フィーチャ、またはポリライン フィーチャを使用できます。

可視領域計算中に、入力フィーチャクラスは 3 次元地心座標系に変換されます。サーフェス ラスターの範囲外の観測点または NoData セル上にある観測点は計算で無視されます。

解析方法

可視性を計算する方法を選択します。このオプションを使用すると、精度の低下を許容する代わりにパフォーマンスを向上させることができます。

  • すべての見通し線 - 可視領域を設定するために、見通し線がラスター上のすべてのピクセルに対して実行されます。これがデフォルトの手法です。
  • 周長の見通し線 - 可視領域を設定するために、見通し線が可視領域の周長にあるピクセルのみに対して実行されます。この方法では、計算で実行される見通し線の数が少なくなるため、[すべての見通し線] 方法よりもパフォーマンスが向上します。

解析タイプ

実行する可視解析のタイプを選択します。観測点に対して各セルがどのように見えるかを決定するか、サーフェスの位置ごとに見ることができる観測点を特定します。

  • 頻度 - 入力観測点の位置 (ポイントまたはポリライン観測点フィーチャの頂点) から入力サーフェス ラスターの各ピクセル位置を見通せる回数。これがデフォルトです。
  • 観測点 - 出力では、各ラスターのサーフェス位置から見える観測点を正確に特定します。この解析タイプで許可されている入力観測点の最大数は 32 です。

垂直誤差

二乗平均平方根誤差 (RMSE) として計算される、サーフェス標高値の不確実性の大きさ。これは、入力標高値の予測誤差を表す浮動小数点値です。このパラメーターに 0 よりも大きい値を指定すると、出力可視領域ラスターは浮動小数点になります。この場合、出力可視領域ラスターの各ピクセルの値は観測点からセルを見通せる確率の合計を表しています。

[解析タイプ][観測点] の場合、または [解析方法][周長の見通し線] の場合、このパラメーターは無効です。

屈折係数

大気中での可視光線の屈折係数。

デフォルト値は 0.13 です。

サーフェス オフセット

この値は、可視領域解析の各目標点のピクセルの Z 値に加算する垂直距離 (単位: サーフェス) を示します。値は整数または浮動小数点で指定する必要があります。

この値には、入力 [観測点フィーチャ] データセットのフィールドまたは数値のフィールドを指定できます。 このパラメーターに値を設定すると、その値はすべての観測点に適用されます。 観測点ごとに別の値を指定するには、このパラメーターを、[観測点フィーチャ] データセット内のフィールドに設定してください。

観測点の標高

この値は、観測点または頂点のサーフェス標高を定義するために使用されます。

この値には、入力 [観測点フィーチャ] データセットのフィールドまたは数値のフィールドを指定できます。このパラメーターを指定しなかった場合、観測点の標高は共一次内挿法を使用してサーフェス ラスターから取得されます。このパラメーターに値を設定すると、その値はすべての観測点に適用されます。観測点ごとに別の値を指定するには、このパラメーターを、[観測点フィーチャ] データセット内のフィールドに設定してください。

観測点オフセット

この値は、観測点の標高に追加する垂直距離 (単位: サーフェス) を示します。値は整数または浮動小数点で指定する必要があります。

この値には、入力 [観測点フィーチャ] データセットのフィールドまたは数値のフィールドを指定できます。 このパラメーターに値を設定すると、その値はすべての観測点に適用されます。 観測点ごとに別の値を指定するには、このパラメーターを、[観測点フィーチャ] データセット内のフィールドに設定してください。

非観測距離

この値は、可視領域を決定する開始 (最小) 距離を定義します。この距離よりも近くにあるピクセルは出力では見えないものとされますが、[非観測距離][観測距離] の間にあるピクセルの可視領域をブロックします。デフォルト値は 0 です。

この値には、入力 [観測点フィーチャ] データセットのフィールドまたは数値のフィールドを指定できます。 このパラメーターに値を設定すると、その値はすべての観測点に適用されます。 観測点ごとに別の値を指定するには、このパラメーターを、[観測点フィーチャ] データセット内のフィールドに設定してください。

非観測距離は 3D 距離

非観測距離パラメーターの距離のタイプ。

  • オフ - [非観測距離] は 2D 距離として解釈されます。これがデフォルトです。
  • オン - [非観測距離] は 3D 距離として解釈されます。

観測距離

この値は、可視領域を決定する最大距離を定義します。この距離を超えるピクセルは、解析から除外されます。

この値には、入力 [観測点フィーチャ] データセットのフィールドまたは数値のフィールドを指定できます。 このパラメーターに値を設定すると、その値はすべての観測点に適用されます。 観測点ごとに別の値を指定するには、このパラメーターを、[観測点フィーチャ] データセット内のフィールドに設定してください。

観測距離は 3D 距離

観測距離パラメーターの距離のタイプ。

  • オフ - [観測距離] は 2D 距離として解釈されます。これがデフォルトです。
  • オン - [観測距離] は 3D 距離として解釈されます。

方位角始点

この値は、水平方向のスキャン範囲の開始角度を定義します。値は、0 を北の方向として度単位の 0 〜 360.0 で指定する必要があります。デフォルト値は 0 です。

この値には、入力 [観測点フィーチャ] データセットのフィールドまたは数値のフィールドを指定できます。 このパラメーターに値を設定すると、その値はすべての観測点に適用されます。 観測点ごとに別の値を指定するには、このパラメーターを、[観測点フィーチャ] データセット内のフィールドに設定してください。

方位角終点

この値は、水平方向のスキャン範囲の終了角度を定義します。値は、0 を北の方向として度単位の 0 〜 360.0 で指定する必要があります。デフォルト値は 360.0 です。

この値には、入力 [観測点フィーチャ] データセットのフィールドまたは数値のフィールドを指定できます。 このパラメーターに値を設定すると、その値はすべての観測点に適用されます。 観測点ごとに別の値を指定するには、このパラメーターを、[観測点フィーチャ] データセット内のフィールドに設定してください。

仰角

この値は、水平面より上でスキャンするときの仰角の上限を定義します。値は、0 ~ 90.0 の角度で指定する必要があり、整数または浮動小数点を使用できます。デフォルト値は 90.0 です。

この値には、入力 [観測点フィーチャ] データセットのフィールドまたは数値のフィールドを指定できます。 このパラメーターに値を設定すると、その値はすべての観測点に適用されます。 観測点ごとに別の値を指定するには、このパラメーターを、[観測点フィーチャ] データセット内のフィールドに設定してください。

俯角

この値は、水平面より下でスキャンするときの仰角の下限を定義します。値は、-90.0 ~ 0 の角度で指定する必要があり、整数または浮動小数点を使用できます。デフォルト値は -90.0 です。

この値には、入力 [観測点フィーチャ] データセットのフィールドまたは数値のフィールドを指定できます。 このパラメーターに値を設定すると、その値はすべての観測点に適用されます。 観測点ごとに別の値を指定するには、このパラメーターを、[観測点フィーチャ] データセット内のフィールドに設定してください。

環境設定

グローバル関数のジオプロセシング環境設定は、アプリケーション レベルで制御されます。 AllSource での処理環境の設定は、[解析] タブの [環境] ボタンをクリックして行うことができます。 環境設定の詳細については、「解析環境と Spatial Analyst」をご参照ください。

このグローバル関数では、次の環境がサポートされています。


このトピックの内容
  1. 概要
  2. 備考
  3. パラメーター
  4. 環境設定