時系列の変化の検出

Image Analyst ライセンスで利用できます。

画像またはラスターの時系列は、経時的に (通常は定期的に) 収集されたデータで構成されています。多くの場合、このデータは地表の変化を分析することを目的に収集されます。 AllSource では、ラスター データの時系列は多次元ラスター データセットまたは多次元モザイク データセットに整理できます。ピクセルの経時的な履歴に関する情報は、ツールを使用して抽出できます。

通常、膨大な数の画像からピクセルの履歴をモデル化する目的とは、何らかの変化が発生した日にちを特定することです。

CCDC 解析ラスター関数と LandTrendr 解析ラスター関数を変化解析ラスターから変化を検出ラスター関数と組み合わせることで、多次元ラスターから変化が発生した日にちを抽出できます。

[LandTrendr を使用した変化の解析 (Analyze Changes Using LandTrendr)] ツールまたは [CCDC を使用した変化の解析 (Analyze Changes Using CCDC)] ツールを [変化解析ラスターから変化を検出 (Detect Change Using Change Analysis Raster)] ツールと組み合わせて使用することで、土地利用や土地被覆の変化を示すピクセル値の経時的な変化を識別できます。

[変化の検出ウィザード] は、使用可能なツールや関数を組み合わせて、画像やラスターの時系列から変化が発生した日にちの情報を手順を追って抽出します。 ウィザードによって出力されるラスターでは、特定のタイプの変化が起こった時点に対応する日付値が各ピクセルに含まれます。

次のセクションで、時系列の変化の検出を実行する [変化の検出ウィザード] の各ウィンドウについて詳しく説明します。

変化の検出ウィザード

[変化検出ウィザード] は、[画像] タブの [解析] グループにある [変化の検出] ドロップダウン ボタンから開きます。 2D マップ シーンで作業していない場合、あるいは Image Analyst エクステンションがない場合、このボタンは使用できません。

構成

[変化の検出ウィザード] の最初のウィンドウは [構成] ウィンドウです。このウィンドウでは、[変化の検出方法] オプションを選択できます。 多次元ラスターから変更情報の日付を抽出するには、[変化の検出方法][時系列の変化の検出] に設定します。

パラメーター説明
入力ラスター

解析する入力多次元ラスター データセット。 サポートされる入力には、多次元クラウド ラスター形式 (*.crf) ファイル、多次元モザイク データセット、または多次元イメージ サービスが含まれます。

このツールは、観測対象フィーチャの変化を抽出するため、入力多次元画像としては、期間全体を通して一貫した観測データがキャプチャされ、大気やセンサーによる干渉、雲、雲の影が含まれないものが最適です。 ベスト プラクティスは、正規化済みで、QA バンドを使用してマスクできるデータを使用することです (例: 雲のマスクを含む Landsat Collection 1 Surface Reflectance 製品)。

[LandTrendr を使用した変化の解析 (Analyze Changes Using LandTrendr)] ツールまたは [CCDC を使用した変化の解析 (Analyze Changes Using CCDC)] ツールを使用して変化解析ラスターをすでに生成している場合は、その結果を入力ラスターとしてウィザードで指定し、次のウィンドウをスキップできます。

処理範囲

出力変化ラスターの処理範囲。

時系列解析

[時系列解析] ウィンドウでは、時系列解析を実行するモデルのタイプを指定し、そのモデルを構成できます。 このウィンドウは、[構成] ウィンドウで既存の変化解析ラスターを入力すると表示されません。

このウィンドウに表示されるパラメーターは、[変化の解析方法] パラメーターで選択されたモデリング オプションによって変わります。

  • [CCDC] - Continuous Change Detection and Classification (CCDC) アルゴリズムは、ピクセル値の経時的な変化を評価するために使用されます。 このオプションを使用するには、入力多次元ラスターに少なくとも 1 年間にわたって 12 個以上のスライスが含まれている必要があります。 このアルゴリズムとパラメーターの詳細については、「CCDC を使用した変化の解析 (Analyze Changes Using CCDC) ツールの詳細」をご参照ください。
  • [LandTrendr] - Landsat-based detection of trends in disturbance and recovery (LandTrendr) アルゴリズムは、ピクセル値の経時的な変化を評価するために使用されます。 このアルゴリズムとパラメーターの詳細については、「LandTrendr を使用した変化の解析 (Analyze Changes Using LandTrendr) ツールの詳細」をご参照ください。

CCDC 変化解析パラメーター

パラメーター説明
変化を検出するバンド

変化検出を解析するスペクトル バンド。

デフォルトでは、すべてのバンドが使用されます。

時間マスキングのバンド

雲、雲の影、雪のマスクに使用するバンドを指定します。 短波赤外 (SWIR) バンドでは雲の影と雪は非常に暗く表示され、緑バンドでは雲と雪が非常に明るくなるため、マスキングには SWIR バンドと緑バンドを使用することをお勧めします。

バンドを指定しない場合、マスキングは実行されません。

変化検出のためのカイ二乗閾値

カイ二乗統計変化確率閾値。観測データに含まれている計算された変化確率がこの閾値を超えている場合、異常としてフラグが付けられ、変化イベントの可能性があります。デフォルト値は 0.99 です。

最小連続異常観測数

イベントが変化と見なされる前に発生する連続異常観測の最小数です。ピクセルは、変化と見なされる前に、指定した数の連続するタイム スライスに対して、異常としてフラグを付けられる必要があります。デフォルト値は 6 です。

更新フィッティング頻度 (年)

時系列モデルを新しい観測データで更新する頻度 (年)。 モデルを頻繁に更新すると、処理コストが高く、メリットがわずかになります。 たとえば、多次元ラスターでスライスが 365 個ある、または年に一度観測データを削除する場合、観測データごとに更新が行われるとすると、その処理は年に一度の更新に比べて 365 倍の時間がかかりますが、精度は高くなりません。

デフォルト値は 1 です。

LandTrendr 変化解析パラメーター

パラメーター説明
処理バンド

経時的なピクセル値の軌道をセグメント化する際に使用する画像バンド名。 観測対象フィーチャの変化を最もよく捉えたバンド名を選択します。

デフォルトでは最初のバンドです。

スナップ日付

入力多次元データセットの各年のスライスを識別する際に使用される日付。 スナップ日付と最も近い日付のスライスが使用されます。 このパラメーターは、入力データセットに年単位未満のデータが含まれている場合に必要です。

デフォルトは 06-30 (暦年のほぼ中間の 6 月 30 日) です。

最大セグメント数

各ピクセルの時系列に適合させるセグメントの最大数を指定します。 デフォルトは 5 です。

頂点数オーバーシュート閾値

頂点を識別する初期段階でモデルを適合させるために使用できる、maximum number of segments + 1 を超える追加の頂点数。 モデリング プロセスの後半では、追加の頂点数は maximum number of segments + 1 に削減されます。

デフォルトは 2 です。

スパイク閾値

ピクセル値の軌道のスパイクや異常値を減衰させるために使用する閾値。 値の範囲は 0 ~ 1 で、1 の場合は減衰させません。 デフォルトは 0.9 です。

回復閾値

年単位の回復閾値。 地形のフィーチャは、森林火災や昆虫の侵入などの非永続的な変化から回復するのに時間がかかることがよくあります。 このパラメーターは、モデルが認識した回復率を制御するために使用します。

1/recovery threshold よりも速い回復率を持つセグメントがある場合、そのセグメントは破棄され、時系列モデルには含まれません。 指定する値は、0 ~ 1 の間の値でなければなりません。

デフォルトは 0.25 です。

最小観測数

適合の実行に必要とする、有効な観測データの最小数。 入力多次元データセットの年数は、この値以上である必要があります。 デフォルトは 6 です。

p 値閾値

選択するモデルの p 値の閾値。 モデル適合の初期段階で頂点が検出された後、ツールは各セグメントを適合させ、p 値を計算して、モデルの有意性を決定します。 次の反復では、モデルはセグメント数を 1 つ減らして、p 値を再計算します。 この処理を継続し、p 値がこのパラメーターで指定した値よりも小さくなった場合にモデルが選択され、ツールは最適なモデルの探索を停止します。 この処理でモデルが選択されなかった場合、ツールは lowest p-value × best model proportion value よりも小さい p 値を持つモデルを選択します。 デフォルトは 0.01 です。

ベスト モデル比率

ベスト モデルの比率値。 モデル選択プロセスでは、ツールは各モデルの p 値を計算し、この比率値に基づいて最小の (最も有意な) p 値を維持しながら、最も多くの頂点を含むモデルを特定します。 値が 1 の場合、モデルの p 値は最小になるものの、含まれる頂点の数が多くない可能性があります。 デフォルトは 1.25 です。

1 年での回復を防ぐ

1 年での回復を示すセグメントを除外するかどうかを指定します。

  • オン - 1 年での回復を示すセグメントを除外します。 これがデフォルトです。
  • オフ - 1 年での回復を示すセグメントを除外しません。

回復が増加傾向

回復が増加傾向 (正の傾向) にあるかどうかを指定します。

  • オン - 回復が増加傾向にあります。 これがデフォルトです。
  • オフ - 回復が減少傾向にあります。

地形の変化からの回復は、正または負の方向に発生します。 たとえば、地形で森林が喪失した場合、植生指数を時系列で見ると低下しますが、回復につれて植生指数は緩やかに上昇し、正の回復傾向を示します。

他のバンドの出力

他のバンドを結果に含めるかどうかを指定します。

  • オン - 他のバンドを結果に含めます。 [処理バンド] パラメーターで指定した初期のセグメンテーション バンドのセグメンテーション情報と頂点情報は、マルチバンド画像の残りのバンドにも適合されます。 モデルの結果には、最初にセグメンテーション バンドが含まれ、次に残りのバンドが含まれます。
  • オフ - 他のバンドは結果に含められません。 これがデフォルトです。

変化日の検出

[変化日の検出] ウィンドウには、モデルから抽出する変化日情報を指定するためのパラメーターがあります。

パラメーター説明
変化タイプ

各ピクセルで計算する変更情報を指定します。

CCDC 変化解析方法を使用する場合、次のオプションから選択できます。

  • [最新の変化が発生した時間] - ピクセルに変化フラグが付与された最新の日時。
  • [最古の変化が発生した時間] - ピクセルに変化フラグが付与された最も古い日時。
  • [最大の変化が発生した時間] - ピクセルにおいて計算された変化が最大だった日時。
  • [変化数] - ピクセルが変化された合計回数。

LandTrendr 変化解析を使用する場合は、次のオプションを追加で選択できます。

  • [最長の変化が発生した時間] - 変化の最長期間の開始時または終了時の変化フラグがピクセルに付与された日付。
  • [最短の変化が発生した時間] - 変化の最短期間の開始時または終了時の変化フラグがピクセルに付与された日付。
  • [最速の変化が発生した日時] - 変化の最も速い期間の開始時または終了時の変化フラグがピクセルに付与された日付。
  • [最も遅い変化が発生した時間] - 変化の最も遅い期間の開始時または終了時の変化フラグがピクセルに付与された日付。
  • [開始値でフィルター] - 結果を開始値でフィルター処理して、指定した開始値の変化のみが出力に含まれるようにします。
  • [終了値でフィルター] - 結果を終了値でフィルター処理して、指定した終了値の変化のみが出力に含まれるようにします。

最大変化数

ピクセルごとに計算される最大変化数。 この数は、出力ラスターのバンド数に対応します。 デフォルトは 1 です。この場合、計算される変化日付は 1 つのみで、出力ラスターには 1 つのバンドのみが含まれます。

このパラメーターは、[変化タイプ] パラメーターが [変化数] に設定されている場合には適用されません。

セグメントの日付

変化セグメントの開始時の日付を抽出するか、終了時の日付を抽出するかを指定します。

このパラメーターは、LandTrendr 変化解析方法を使用する場合にのみ利用できます。

変化の方向

解析に含める変化の方向を指定します。

  • [すべての方向] - 出力にはすべての変化の方向が含まれます。 これがデフォルトです。
  • [増加] - 出力には正 (増加) 方向の変化のみが含まれます。
  • [減少] - 出力には負 (減少) 方向の変化のみが含まれます。

このパラメーターは、LandTrendr 変化解析方法を使用する場合にのみ利用できます。

年によるフィルター

出力を年単位でフィルター処理するかどうかを指定します。

  • オン - 結果がフィルター処理されて、指定された年の範囲で発生した変化だけが出力に含まれます。
  • オフ - 結果が年でフィルター処理されません。 これがデフォルトです。

このパラメーターは、LandTrendr 変化解析方法を使用する場合にのみ利用できます。

このパラメーターを使用すると、特定の期間内に起こった変化を特定できます。たとえば、5 年間の干ばつの間に地形に見られた変化を確認する場合などです。

このパラメーターをオンにすると、フィルタリングの結果に使用する最小および最大の年を入力する必要があります。

期間によるフィルター

結果を変化期間でフィルター処理するかどうかを指定します。

  • オン - 結果が期間でフィルター処理されて、指定された期間続いた変化だけが出力に含まれます。
  • オフ - 結果が期間でフィルター処理されません。 これがデフォルトです。

このパラメーターは、LandTrendr 変化解析方法を使用する場合にのみ利用できます。

このパラメーターは、所定の期間中に起こった変化を特定するために使用します。たとえば、1 ~ 2 年以内に発生した急激な変化のみを確認する場合などです。 対象の期間は、end year - start year +1 という数式で計算できます。 時系列のギャップはこの期間に含まれます。

このパラメーターをオンにすると、フィルタリングの結果に使用する最小および最大の期間の値を入力する必要があります。

強度によるフィルター

結果を変化強度でフィルター処理するかどうかを指定します。

  • オン - 結果が強度でフィルター処理されて、指定された強度の変化だけが出力に含まれます。
  • オフ - 結果が強度でフィルター処理されません。 これがデフォルトです。

このパラメーターは、LandTrendr 変化解析方法を使用する場合にのみ利用できます。

このパラメーターは、所定のマグニチュードの変化を特定するために使用します。たとえば、植生指数 NDVI の大きな変化のみを確認する場合などです。 マグニチュードは絶対値なので、最小値と最大値には負の値を指定できません。 変化の方向を指定するには、[変化の方向] パラメーターを使用します。

このパラメーターをオンにすると、フィルタリングの結果に使用する最小および最大のマグニチュードの値を入力する必要があります。

出力変化日ラスター

出力データセット。

出力はマルチバンド ラスターで、その各バンドには、選択した変化タイプと指定した最大変化数に応じた変化情報が含まれています。 たとえば、[変化タイプ] パラメーターが [変化が発生した最も古い時間] に設定され、[最大変化数] パラメーターが「2」に設定されている場合、ツールは全ピクセルの時系列全体で変化が発生した最も古い 2 つの日付を計算します。 その結果、最初のバンドには各ピクセルで変化が発生した最も古い日付が含まれ、2 番目のバンドには各ピクセルで変化が発生した 2 番目に古い日付が含まれたラスターが生成されます。

次の例では、2000 年~ 2019 年の年間 NDVI ラスターの時系列から、最も急激な変化があった日付を抽出します。

  1. NDVI 多次元ラスター データセットをマップに追加します。
  2. [コンテンツ] ウィンドウでレイヤーが選択された状態で、[解析] グループの [画像] タブから [変化の検出ウィザード] を開きます。
  3. [構成] ウィンドウで [変化の検出方法][時系列の変化] に設定し、[入力ラスター] が NDVI 多次元ラスターに設定されていることを確認します。 [次へ] をクリックします。
  4. [時系列解析] ウィンドウで、LandTrendr モデリングを実行するパラメーターを構成します。
    1. [変化の解析方法] パラメーターを [LandTrendr] に設定します。
    2. [最大セグメント数] パラメーターを 10 に設定します。
    3. それ以外はすべて、デフォルト値のままにします。
    4. [次へ] をクリックします。
  5. [変化の検出] ウィンドウで、時系列における変化が最速、かつ負方向 (NDVI の減少) に大きくなった開始点を抽出するパラメーターを構成します。
    1. [変化タイプ][最も早い変化が発生した時間] に設定します。
    2. [変化の方向][減少] に設定します。
    3. [マグニチュードによるフィルタリング] チェックボックスをオンにします。
    4. [最小] マグニチュードを 0.5、[最大] マグニチュードを 2 に設定します。
    5. [出力変化日ラスター] で「FastestNDVILoss.crf」と入力します。
  6. [実行] をクリックします。

このトピックの内容
  1. 変化の検出ウィザード