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高精度な受信機

デバイスの位置情報サービスを使用してデータを収集するとき、位置情報は GPS、モバイル データ通信、Wi-Fi、Bluetooth ネットワークなど、さまざまなソースから判定できます。これらのソースの精度は変化し、デバイスの位置情報サービスは常に信頼できるわけではありません。高い精度と信頼できる品質管理が必要なデータ収集を行うユーザーにとって、通常は専門家向けまたは高精度な GPS 受信機を使用することが最善の選択です。

注意:

GNSS (全世界的航法衛星システム) は、航法衛星システムの標準的な総称です。GNSS 受信機は、さまざまな航法衛星システムを使用できます。一方、GPS 受信機は、全地球測位システムと呼ばれる航法衛星システムのみを使用できます。GPS 受信機は広く使用されているため、このヘルプでは GPS という用語を総称として使用しています。

高精度な GPS 受信機は、GPS 衛星からの情報を使用して、地理的な位置を正確に計算します。これらの受信機の精度は、衛星信号を追跡および処理する機能に応じて、数メートルからセンチメートルになります。GPS 衛星信号は、さまざまな周波数で伝送されます。GPS 受信機が使用する周波数が高いほど、結果的に多くの信号も受信することになるため、精度が高くなります。これは、全世界的航法衛星システム (GNSS) の数についても当てはまります。受信機が使用するシステムが多いほど (多くの信号を受信するほど)、精度が高くなります。今日では、複数の航法衛星システムを利用できます。ただし、通常は GPS 受信機の精度が高くなるほど、受信機は高価になり、現場に持ち運ぶことが困難になります。また、位置情報の精度は、このトピックで後述するデータの差分補正によっても改善できます。

市場では多くの GPS 受信機を入手できますが、すべての機種を Collector で直接使用できるわけではありません。GPS 受信機を Collector で使用するには、受信機が NMEA 0183 センテンスの出力をサポートしている必要があります。NMEA は Collector が GPS 受信機との通信に使用するデータ仕様規格です。NMEA メッセージには、センテンスと呼ばれる複数の行が含まれています。Collector は、NMEA メッセージの特定のセンテンスを読み取ることで、緯度、経度、高さ、補正タイプなどの GPS 情報を取得します。Collector が使用する NMEA センテンス、iOS でサポートされている受信機、Esri がテストに使用した GPS 受信機などの詳細については、「GPS 受信機のサポート」をご参照ください。

ヒント:

ほとんどの高精度の GPS 受信機は Collector が使用する NMEA センテンスをサポートしていますが、Collector に接続する前に、受信機がこれらの NMEA センテンスをサポートしているかどうかを受信機のユーザー マニュアルで確認することをお勧めします。

NMEA センテンスの出力をサポートするすべての受信機が、すぐに使用できるように構成されているわけではありません。デバイスのユーザー マニュアルには、NMEA を出力するように構成する方法が記載されているはずです。

受信機を選択したら、データ収集者は位置情報プロファイルを使用して、受信機からのデータの座標系を定義し、必要な場合は測地基準系変換をデータに適用する必要があります。差分補正を使用していて、提供される位置の座標系がマップと異なる場合は、データ収集者に測地基準系変換の情報を提供する必要があります。詳細については、このトピックで後述する「測地基準系変換」をご参照ください。高品質のデータを確保するために、データ収集者にアプリで設定すべき必要な精度を指定したり、95% の信頼度が必要かどうかを通知することもできます。また、データ収集者が GPS 平均化を有効にするべきかどうか、有効にする場合は、平均化する位置の数も指定できます。

差分補正

位置の精度を改善するために、差分補正をサポートする GPS 受信機の使用を検討してください。差分補正テクノロジは、基準局 (基地局) を活用して精度を大幅に改善します。基準局は、既知の位置に設置されている別の GPS 受信機です。基準局は、衛星信号に基づいて自分の位置を推定し、この推定位置を既知の位置と比較します。これらの位置の差異が、ユーザーの GPS 受信機 (ローバー) が計算した推定 GPS 位置に適用され、より正確な位置が取得されます。差分補正を行うには、ユーザーの受信機が基準局から一定の距離内にある必要があります。差分補正は、現場でリアルタイムに適用したり、オフィスでのデータの後処理時に適用したりできます。

差分補正は、パブリックまたは商用のソースによって指定できます。最も広く使用されパブリックにアクセスできるリアルタイムの補正ソースの 1 つは、SBAS (衛星型衛星航法補強システム) です。米国では一般に WAAS (Wide Area Augmentation System) とも呼ばれています。SBAS は自由に利用できますが、GPS 受信機が補正メッセージを RTCM (Radio Technical Commission for Maritime Services) 形式で受信できる必要があります。商用の補正サービスを使用するには通常、サブスクリプションが必要で、これらの補正信号を受信できる特定タイプの GPS 受信機を購入する必要がある場合もあります。詳細については、ArcUser Online の「Differential GPS Explained」をご参照ください。

測地基準系変換

受信機から提供される位置の座標系が Collector で使用しているマップと異なる場合があります。この場合、データの精度を維持するために測地基準系変換を使用します。

GPS から位置を受信し、それを使用してフィーチャを追加または更新する場合、その位置は地理座標系 (GCS) で参照される地理座標です。GCS には、角度の計測単位、本初子午線、および回転楕円体に基づく測地基準系が含まれます。マップには、使用されているベースマップによって決まる座標系もあります。これは、GCS または投影座標系 (PCS) です。位置とマップの座標系が異なる場合、追加または更新される位置をマップの座標系に合わせて変換する必要があります。この変換プロセスを測地基準系変換と呼びます。測地基準系変換には水平方向と垂直方向がありますが、Collector がサポートしているのは水平方向の変換のみです。

座標、マップ、フィーチャ サービス、データベースにはすべて座標系があるため、データの使用箇所と座標系が一致しない場合 (GPS とマップ、マップとフィーチャ サービス、フィーチャ サービスとジオデータベース) は、必ず測地基準系変換を行う必要があります。測地基準系変換が行われると、必ず位置に誤差が生じます。マップ、フィーチャ サービス、データベースに適切な座標系を選択することで、変換の数と変換のたびに発生する誤差を制限することができます。さまざまな変換により発生する誤差の詳細については、「ArcGIS の地理座標系変換および鉛直座標変換テーブル」をご参照ください。

注意:

座標系が一致せず、測地基準系変換が指定されていない場合、データは提供された状態のまま使用されます。その結果、その位置は他の既存データの位置と整合しなくなります。同様に、間違った測地基準系変換を指定した場合も、正しくない位置が表示されます。

Collector では、データ収集者は収集前に位置情報プロファイルを作成して、使用する特定の測地基準系変換を指定することができます。位置情報プロファイルを作成するとき、GPS データとマップの座標系が指定されます。この情報に基づき、ユーザーには関連する変換方法のみが提示されます。推奨される方法が最初にリストされます。マップ作成者は、GPS とマップの座標系と、使用する必要がある変換方法をデータ収集者に提供する必要があります。

ArcGIS Online で Esri が提供しているベースマップの 1 つを使用している場合、その座標系は WGS 1984 Web メルカトル (球体補正) [WGS84] です。同様に、Collector で受信する GPS データのデフォルトの座標系は WGS84 です。ArcGIS Online のベースマップとデフォルトの位置プロバイダーを使用している場合、Collector で測地基準系変換を使用する必要はありません。


このトピックの内容
  1. 差分補正
  2. 測地基準系変換